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食としての魚を楽しく学びたい人向け(2限目)

    2限目をはじめる。

    今回はまず、全国の漁業協同組合が選んだ地域ごとのイチオシ海産物を見てみよう。

    北海道:石狩湾のニシン。秋田:ハタハタ。福島:小名浜のサンマ。千葉:房総沖のマカジキ。富山:富山湾のホタルイカ。福井:若挟の寒ブリ。滋賀:ビワマス。京都:京サワラ。岡山:ママカリ。高知:土佐佐賀日戻りガツオ。佐賀:呼子のケンサキイカ。……

    各地1つだけではないので(季節別)まだまだあるし、とても全ての地域を書き出すことはできない。

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    一部をピックアップして小ネタを書いていく。

    ハタハタ/鱩/鰰

    読み方と漢字の一説として。晴天の霹靂 = 晴れ渡った空に突然の落雷 = そのくらい思いもよらない出来事が起こること。古代、雷が鳴り響くことを雷が霹靂く(はたたく)と言っていた。正月前だけ秋田に大群で押し寄せてくることから、晴天の霹靂的な神の恵みであるとし、漢字も鱩や鰰と。

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    卵のカラバリがすごくて、たしかに神の恵みっぽい。
    メスが何をどんな割合で食べたかで、違いが出る。

    ビワマス

    琵琶湖にのみ自然分布する固有種だが、現在は中禅寺湖や芦ノ湖に移殖もされている。遺伝的にはサツキマスに近いが、もっと目が大きい。細い糸の網で獲らねばならないし、明るい月夜は獲れる量が少ない。ビワマスは視力がよいのだ。

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    ビワマスの親子卵の見た目は鮭いくら丼に似ている。
    めちゃくちゃおいしいらしい。

    雷とか月とか、なんだか神秘的だよね。

    京サワラ

    京都府内で水揚げされた3kg以上かつ脂質含有量10%以上のものを、特選京鰆と呼ぶそう。中トロくらい脂のりがいいと。つまり、寒鰆。春と書きはするが鰆は回遊魚だから、関西では春に多く/関東では冬に多く獲れるため、いつが旬かの認識は異なるのだが。海水温の上昇にともない、京都で冬にたくさん獲れるようになった。

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    海水温の上昇は大きな懸念事項だけれども、それでもおいしそうだ。

    ママカリ/飯借

    おいしくて食が進み、となりの家からご飯を借りてきてしまいそうだと。伝説の「隣人から調味料を借りる」じゃん😂海水と淡水が混ざった汽水域に生息するママカリは、ニシン目ニシン科に分類される小魚だ。どちらからの栄養も供給されるため、プランクトンや海藻類が繁殖しやすい汽水域には、魚たちがよく集まる。

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    岡山県のママカリ寿司。小肌みたいだね。

    土佐佐賀日戻りガツオ

    高知県のカツオ消費量は全国一。土佐佐賀(高知県幡多郡黒潮町)には、黒潮の流れに乗って、春は初鰹・秋は戻り鰹の群れがやってくる。釣れたその日の内に食べる、日戻り鰹。

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    貼った動画2つとも、ほっこりの極みで好き。

    何よりのぜいたくという感じの魚料理ばかり。


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    「赤チーム」の代表選手にインタビューしてみる。

    なぜ身が赤いのですか。

    ミオグロビンというタンパク質が多いから。私もチームメイトも回遊するんでね、筋肉に酸素をたくわえないと。私たちの筋肉よりもミオグロビン量がずっと少ないから、君たちの筋肉は白に近いピンク色なはず。

    自分の筋肉も赤いという認識でした。

    筋肉に酸素をたくわえるミオグロビンではなく、体中の細胞に酸素を届けるヘモグロビンで、赤く見えるのだろう。君たちは、筋肉も血液も赤いのではなくて、血液が赤いのさ。

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    ヘモグロビンから酸素を受けとるミオグロビン。
    肺に比べると酸素の少ない筋肉に存在し、低酸素下でも酸素と結合しやすい性質をもっている。

    止まると死ぬというのは本当ですか。

    口を開けながら泳いでエラを通過する海水に含まれる酸素を取入れることが、私たちにとっての呼吸だからな。君は私に、息を止めると死ぬというのは本当かと聞いてきたわけだ。

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    すみません。そう言えば、Tuna の語源は古代ギリシャ語で疾走を意味す……

    時々、底でじっとしている白チームの連中がうらやましいよ。人間からは上品で淡白な味わいとか言われちゃって。ムニエルって何語だよって話で。

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    でも、白チームには白チームなりの苦労があるかと存じます。あと、フランス語です。à la meunière …… 

    何より、ヒラメ筋というのが許せないね。いや、そこはマグロ筋かカツオ筋だろっていう。

    人間がセンスがなくてすみません。お忙しい中、お話ありがとうございました。

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    ビンチョウマグロは赤チームと白チームの中間的な存在だ。身がピンク色なのは、他マグロよりもミオグロビンが少ないため。ビンチョウは赤道を越える回遊をしない。

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    キハダとメバチももっとピンクっぽい、という声もあるかもしれない。個体差もあるだろう。

    ビンチョウが好む水温は16~20℃で。クロとミナミはビンチョウより低温を好む。キハダとメバチはビンチョウより高温を好む。よって、水温の影響ではない。


    過去回の内容もあわせつつ、タンパク質について書く。

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    タンパク質構造科学は、このPDBJ(Protein Data Bank Japan)からお借りした文章にもある、ケンドリュー博士のミオグロビン研究からはじまった。

    私たちはこれに感謝して然るべきである。

    たとえば。有効な治療法を開発するために、多くの研究者がコロナウイルスのタンパク質の立体構造を明らかにして、データベースに登録していったのだから。

    いまいちピンとこない人は、タンパク質の基本的なことをわかっていないのかもしれない。

    ヒトの体内で10万種以上・自然界全体では約100億種のタンパク質が存在する、と言われている。それぞれが固有の構造や働きをもち、生命活動を支えている。

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    タンパク質の構造がわかれば、その機能についてもわかりやすくなるし、特定のタンパク質をターゲットとする創薬もしやすくなる。

    感染症の原因となるウイルスも、タンパク質でできた殻(カプシドと呼ばれる)をもっているのだから。

    ウイルスは、標的の細胞内に侵入すると、2つの役割(ウイルスの遺伝情報を守る・標的となる細胞に付着する)を果たしていた殻をぬぐ。そして遺伝子を放出する。

    この画像のいたるところに、Icosahedral という言葉が書かれているのを見てほしい。

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    正二十面体がもつ、幾何学において最も高い回転対称性の1つ、Icosahedral Symmetry(正二十面体対称)。ウイルスのカプシドは、この構造をとるものが最も一般的なのだ。この構造は、できるだけ少ないタンパク質でできるだけ大きな空間を覆える。

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    余談。

    Truncated Icosahedron(切頂二十面体)は、正二十面体の各頂点を切り落とすことによってつくることができる、半正多面体だ。

    数学的に言って切頂十二面体、正五角形12枚と正六角形20枚の計32面で構成されたものが、どんな形になるか想像してみて。

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    半正多面体(アルキメデスの立体)は13種類ある。
    この画像だと9番。

    正解はサッカーボール。

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    空気を入れることでより丸くなっている。

    タンパク質の重要性を改めて確認したところで、ツナ缶について。

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    はごろもフーズさんのHPに、「まぐろ油漬缶詰と呼ばれていた頃は、その多くがアメリカへ輸出されていた。私たちが日本国内での販売をはじめる際、シーチキンと名づけた」と書いてあった。

    シーチキンの原料となる魚は、ビンチョウマグロやキハダマグロ、カツオやブリだ。

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    1限目の、江戸時代の高速和船(人力)や、高度経済成長期以降のコールドチェーン(技術発展)を思い出しながら、読んでほしい。

    マグロは縄文時代から食べられていた。青森県の三内丸山遺跡などからマグロの骨が出土している。

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    ただし。脂っぽい部分は、鮮度劣化が速いこともあり、長い間価値が低いとされていた。日もちさせるために醤油づけしてみた赤身は、江戸の人々に好かれたが。

    港に戻るまで長い時間を要する遠洋漁業では、釣ったマグロを船上で処理し、超低温急速冷凍する。(ちなみにマイナス60℃)

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    左を見ると、あーねと思うが。
    右を見ると、途端に難しく感じる。

    お借りしておいて悪いが……「誰でもできる」こんなすごいこと私にできるわけがない😭

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    本来、包丁は「庖丁」と書く。

    厨房の厨(チュウ/くりや)は、調理場しか表さないが。庖丁の庖(ホウ/くりや)は、調理所も料理人も意味する。庖人 = 料理人なのだ。

    中国の古い文献によると、二千年以上前の中国に、庖丁(ほうてい)という名の伝説的な料理人が存在した。

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    🥲

    1876年の廃刀令で、軍人と警察官以外の帯刀が禁止され。多くの刀鍛冶が廃業し、異業種への転向を余儀なくされたが。腕のよい刀鍛冶は包丁を手がけるようになった。(農具や漁具も)

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    打刃物(うちはもの)と呼ばれる、日本刀の製造技術を生かした包丁の製造方法。鋼や軟鉄を釜で高温に熱し、ハンマーなどで打って形に仕上げる。

    彼らが刀をつくっていた技術を取入れて包丁をつくると、切れ味が良く耐久性が高いとたちまち評判となった。実際、それだけではないのだろうが。やわらかい食材でも繊維や細胞膜を壊すことなく切れるとか?切った食材が刃から離れやすいとか?

    私にはわからないため、動画をお借りする。

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    和包丁が最適解なのかな。すごい。

    白身の魚には、血抜きや神経締めなどを正しく行ってから数日おくことで、旨味が増すものもあるが。例)マダイ・ヒラメ・ハタ類。

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    迅速な処置と的確な管理のもと、はじめて成り立つのであって。熟成と放置は全く異なるし、熟成と腐敗は紙一重だ。

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    生魚で、要は、イノシン酸が残っている内にアミノ酸を最大限にひき出そうだなんて。どれだけ難しいか。少なくとも私は、自力でやってみる気になどなれない。

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    明治時代に入ると、文明開化によって海外からさまざまな調理方法が伝わり。それとともに洋包丁も知られるように。

    文化包丁/三徳包丁が開発されたのは、昭和になってから。

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    多くの外国人が日本で、包丁を売っている店へも行きたがる。

    私が最近聞いた中で一番インバウンドを感じた発言。「帰国したらまたがむしゃらに働いて質素倹約に暮らす。お金は日本に来て使った方がずっとコスパがいいから」

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    まいどくんのまいどありスマイル。誰とでもなかよくなれる気さくな子で、お金もうけが大〜好き😂

    しばらく過去回の内容を貼っていく。

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    「黙れ!私は山犬だ!」サンはこうだからいいのだ。彼氏できたから人間の村で暮らそ〜とかない。アシタカも同様だから、いいカップルだと思う。

    互いの人生に異なる軸があり、先の可能性とさらなる拡がりがある。それを奪ったり妨げたりせず、ともに生きることはできる。互いを高めあうこともできるかもしれない。


    1限目もこれ系の話をしたが。

    今は、カツオの一本釣りをロボットが(も)やっている。伝統と新しい技術が融合している、最先端漁業の例だ。

    人間の熟練者にはかなわないようだが、マシーンもなかなかの好成績で釣りあげている。

    この映画を思い出した。本物の鋼鉄ーーいいタイトルだ。

    たくましい人みたいな名前の人が造った最新ロボに、廃棄場で見つけた古いロボで主人公とその息子が勝つ。審判の日やタイムリープをぬかせば、『ターミネーター』の構造もこうだ。

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    思い出した。ラスボス名前、タク・マシドだ😂

    これ↓を見て、観客の応援したい気持ちは一気に高まり(賭け金とか)、多くの企業がスポンサーになりたいと言うだろう。こんなに「もし負けても人気が落ちない存在」を放っておくわけがない。負けても、明らかに不利なのに立ち向かうこと・あきらめずに何度でも挑戦することの象徴にしかならない。

    少年、マインドが良いだけでなくビジネスのセンスもあるな。


    ここからは魚の養殖の話をしていく。

    海に囲まれ川も多い国で、職人たちや研究者たちの力があわさり、ハイレベルな養殖技術が生まれていること。これは、知っていても知らなくてもいい知識ではない。

    近畿大学は、32年の歳月を経て、クロマグロの完全養殖に世界ではじめて成功した。言わずと知れた「近大マグロ」だが、知っているのは名前だけ状態になっていないだろうか。

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    「不可能を可能にするのが近大」と書いてある。

    近大のクロマグロ養殖は人工種苗で行われている。

    天然種苗:自然界で育った稚魚や幼魚を捕獲してきて、養殖に利用する。

    人工種苗:一番最初は自然界の魚から卵を採取するが、その後は孵化させるところからずっと人工飼育。それ以降は飼育した魚から卵を採取するのだから、完全養殖となる。

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    これなら、極端なケースをのぞいて自然界が明日どうなっても、私たちはマグロをいただき続けることができる。

    めでたしめでたし、とはならなかった。

    マダイ・ヒラメ・シマアジ・サーモンの養殖では、すでに人工種苗を使った完全養殖が主流だが。クロマグロの養殖では1割程度にすぎない。(直近はもう少し増えているかも)

    以下で解説していく。


    完全養殖のクロマグロは世界中でよく売れている。

    SDGsの観点から完全養殖魚のニーズがそもそも高い欧米に、安全性などの信頼度が高い日本のそれが売れないわけがない。

    売れていないのは人工種苗なのだ。

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    近大は、人工種苗の販売当初から、価格を天然種苗にあわせているそうだ。

    「養殖業者さんの気持ちを考えてみた。人工種苗が天然種苗よりも高かったら嫌だろうと思った。それで、天然種苗の価格にあわせることにした。私たちが利益を求めていたら、今頃とっくに研究をやめている」

    当たり前だが、人工種苗の生産には研究費・設備費・人件費など莫大なコストがかかっている。実用化まで30年以上かかったのだし。

    「ずっと赤字だった。でも、自分たちが努力して解消していけばいいと思った」

    努力 未来 A Beautiful 星で賞、さしあげないと。

    近大は、人工種苗の人気低迷の理由をこう考えたそう。

    ①完全養殖魚の生残率に問題があったこと。
    ②成魚の変形や奇形が目立っていたこと。
    ③天然種苗が以前より安定的に確保できるようになったこと。

    詳しくはこういうことらしい。

    ①約1kgに成長した魚を業者に渡すのは秋から冬にかけてで、海水温が下がっていく時期にあたる。そのくらいのクロマグロはまだ幼魚で低水温に弱い。最初の冬を越せないケースが多々あった。クロマグロは、皮膚が弱かったり神経質だったりと、成長してもあつかいが難しい魚。

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    ②完全養殖魚は小さい頃から生けす網に入っている。一部は、網に衝突して口がゆがんでしまったりする。

    ③に関しては、よく獲れる時もあるし・あまり獲れなくなる時もあるのだから、ただのタイミングだが。

    クロマグロ養殖において人工種苗による完全養殖は、一時的に盛り上がっただけーーということになってしまった。

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    しかし、近大は解決策に取組んでいる。豊田通商がそれに協力している。例)沖縄の海で稚魚を育てることで、天然の同い年の幼魚よりも大きくでき、生残率が大幅に高まった。

    クロマグロの人工種苗を使う企業はまだまだ少ないが、増えてきていると言う。

    この先の課題は、そのように大きく育てることのできた幼魚を運ぶ船を確保することだそう。スケジュールが空いていてヒマしている大きな船なんて、ぜんぜんないらしい。


    持続可能性って本当に難しい。みんなで協力してとりかからないで、達成できるわけがない。

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    これはマグロに限った話でなく、消費者のマインド・セットも重要だろう。ハッキリ言って、完全養殖で魚が安くなるという短絡的なイメージは捨て去るべきだ。

    高級魚が おいしく 安く 食べられる?そんな簡単に言うな。自分が受ける側でなく発する側だとしたら、こう言いたいだろう。ナチュラルメイク = 簡単な化粧か。たとえば引いたラインをぼかしたり、濃いまんまより手間がかかっていると、多くの女性が言うだろう。

    世界ではじめて、クロマグロの完全養殖とニホンウナギの完全養殖が成功した時。メディアはそれぞれを大きくとりあげ、言った。「高級魚が安く食べられる日がくるかもしれない」メディアの一部はいつもこんな感じのテキトーなことを言っている。視聴者や読者を教育する気など、さらさらないように見える。

    高くてとても買えないという声があることは、重々承知だが。生魚は高いから〇〇にしようという選択を大勢がとればとるほど、食卓に届く魚は高く少なくなっていくことも、また事実である。

    自分たちのために儲からなくても漁業や農業を継続しろ、などとは誰も言わないだろうが。老舗の何々がつぶれて残念だとか、そういうことを言う人は多い印象だ。そんなことを言っていいのは、最低でも年に1度はそこへ通ったりしていた人たちだけだよ。

    再度、近大のクロマグロ完全養殖の研究者より。「それ相応のコストをかければ、量産化はすぐにでも実現可能。実現しないのは、企業が効率的で短期的な利益を求めているから。完全養殖の本来の目的であり一番の価値は、天然資源に負担をかけることなく、おいしい魚を持続的に食べ続けられるようにすること」

    それな。

    トラック・ドライバーに焦点をあてたり、〆を料理人や飲食店につなげたりと、みんなのことを包括的に考えているのが伝わってくる。

    先のことを考えて事前に打つのが、戦略・ストラテジーである。


    ひき続き、養殖の話。

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    『万葉集』に、武奈伎(むなぎ)という名前で、夏バテに効き滋養のある食べ物としてうなぎが登場する。

    江戸の鰻蒲焼店をランキングした「江戸前大蒲焼番付」なるものがあった。

    蒲焼という呼び方の由来は諸説あり。うなぎをロール状にして串にさして焼いていたのが、蒲の穂に似ていたから説。焼けた皮の色が樺の幹に似ているから説。焼く香りが素早く行き渡るから香疾焼(かばやき)説。

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    蒲(ガマ)。それなら「がまやき」でいいのでは?
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    これだけ見るとだけれど、巻いてはいなさそう。

    私にはこれ以上わからない。

    だが、これなら誰もが知っている。天然のうなぎの漁獲量が激減していったことだ。

    世界には19種類のうなぎが存在するが、食用になるのは、ニホンウナギ・ヨーロッパウナギ・アメリカウナギ・ビカーラ種(東南アジア生息)の4種のみ。

    2014年、ニホンウナギが絶滅危惧種IB類に指定された。同年、日中韓台でシラスウナギの採捕規制が敷かれた。(シラスウナギについては後述する)

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    この部分は読みとばしてもいい。

    「我が国におけるシラスウナギ漁獲量の再考」という短い論文を読んだら。このように書かれていた。

    少なくとも1970年代までは海産天然種苗を我が国におけるシラスウナギ漁獲量とすると、1950年代後半から近年まで極端な減少傾向は見られない(1960年の値を除く)。内水面産天然種苗が1970年代半ばまで大きな減少傾向を示し、その後横ばい傾向を示しているのは、1970年代に養鰻技術の発達に伴う養殖用種苗の種ウナギからシラスウナギへの転換があり需要が減少したと考えられる。

    なるほど。海面と内水面を足して出るのが、このようなシラスウナギのグラフなんだな。

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    それらを足したものをトータル捕獲量とするのは、たしかに必要ないかも。因果関係がぜんぜん違うところにあって出ていたAやBの顕著な動きのある数値を足してしまうと、重要な何かが相殺されて見えなくなるというのはあるあるだ。再考したい気持ち、わかる。

    内水面と海面でわかれているグラフを見た方がいい。これならもやもやしない。

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    結局、私の言いたいことは変わらない。再度。①重要な肯定で自然界に依存している部分があると、それをコントロールできていることにはならない。②先のことを考えて事前に打っておくのが戦略。


    物事が突然思いもよらぬ方向へ転じることなどを表す、「山芋変じて鰻と化す」ということわざがある。元は野菜だった魚ーーうなぎが如何に謎に包まれた生物であるかを、物語っているように感じる。

    うなぎの神話みたいな事実の数々。

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    ニホンウナギは日本生まれではない。日本から約3000km離れているマリアナ海溝で生まれる。このことが明らかになったのは2010年頃。世界のうなぎ研究をリードする塚本氏が、3つの仮説:新月仮説・海山仮説・塩分フロント仮説を用いてつきとめた。

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    仮説は正しかった。ニホンウナギは新月の夜に産卵する。昼間は水深約800m・夜間は平均水深約250m・満月の夜は水深約300m・新月の夜は水深約230mーー日周鉛直移動だ。生息できる上下範囲内で光が少ない状態を好むようだ。捕食者に見つかるリスクを卵に対しても減らそうとしているのだろうか。しかし、どの層にも捕食者は存在する。

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    Made in Abyss(私の勝手な名づけ)
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    Space X(私の勝手な名づけ)

    これがうなぎの赤ちゃん。

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    一番最初の状態は『プロメテウス』の続編かという感じだし、成長していっても「人類補完計画」かという感じだ。

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    これはたぶん「のれそれ」だけれど。動画も貼っておく。

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    あなごも、ゆうちょうに?のれそれで食べている場合ではないと思う。

    ラテン語で Leptocephalus と言う。Lepto (小さい)cephalus(頭)。頭しかないように見えるもんね。

    北赤道海流と黒潮の流れに乗りながら、約半年かけて、レプトセファルスは変態する。やっと、シラスウナギ(ウナギの稚魚)になる。こう言わない人が多いようだが、本当はこう言うべきなのだと私は思う。→ 体の表面積はむしろ小さくなることで、ある海流からはとり残されたり・季節風がひき起こさす湧昇流に乗ったりして、日中韓台の河口にたどり着く。

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    シラスウナギ

    以下はこちらからお借りした。

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    お借りしておいてなんだが。人は自分中心で物事を考えがち。帰巣と言うのなら、「日本の川へ戻ってくる」「目的地は日本の河川」ではなく「マリアナ海溝へ戻っていく」「目的地はマリアナ海溝」が正しい。
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    シギウナギやノコバウナギと共通の祖先をもつことがわかったのだから、1億年前のウナギは Abyssal zone までいかないくらいの深海魚だ。今でも、ほぼ光の届かない状況で産卵したいのだろう。それにしたって、マリアナ海溝まで行かなくてもとか思ってしまう。どうしても帰巣してしまうのだろうか。

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    マリアナ海溝に生息する Resigella bilocularis という単細胞有孔虫が磁気を帯びていることが、2018年に判明した。磁気を生み出す物質を体内でつくっていることも、示唆されている。

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    このように、かつてほとんどのことがわからず・まだわからないことも多いニホンウナギの完全養殖にも、日本は成功した。

    前述した3仮説的中の研究者と東大の「ウナギ帝国」が、成功させた。

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    東大のHPより。
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    学術研究船「白鳳丸」の様子。

    人工環境下で稚魚まで育てることが、20年以上できなかった。

    レセプトファルスが一体何を食べるのか、世界中の誰にもわからなかったし。半年間という長い幼生期を人工の環境で再現することも、極めて困難だった。水槽の壁にちょっとぶつかっても・水がちょっと汚れても、死んでしまうと。(結局、ある程度まで試験管の中で育てているのかも)

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    ウナギの卵

    現在、日本で消費されるうなぎのほとんどは養殖だが。シラスウナギを捕獲してきて養殖場で育てるやり方ばかり。

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    見た目は幻想的で美しいけど。

    山田水産さんが現状を打破した。

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    山田社長の動画はおもしろい。

    「山田水産の養鰻場にやってきました。やってきましたと言うか、私の家はすぐそこだけれど」「養鰻場は1から5まであって、朝ランでまわると7km」5まであっての直後がこれで、解説がはじまるんじゃあないんだ、と笑った。

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    魚の養殖という仕事の話にこんなに共感できる点があるなんて、とぜんぜん違うさまざまな仕事の人たちが思うだろう。

    「エサやりが作業になるとダメ。ルールではなくて感性」「うなぎのごはんのベテラン・シェフ」「イソフラボンもやるけれど、やっぱりトータルの食生活。人間と同じ」

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    あーね、こういうすばらしいマインドの人たちが、もし稚魚はさほど減っていないならいいんじゃねとか言わない人たちなんだね、と。納得という感じ。


    で、一部メディアはまたこれ。

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    こんなすごいものを安く買わせてほしいって……。研究者や育成者が自ら、できるだけ多くの人においしいうなぎを食べてほしいからと、安く提供するのが目標だと言うのはいいが。うちらがそれを気軽に言うのは、ちょっと違うんじゃあないのと。くり返し書いちゃったけど。

    うなぎ業界(?)は一気にいろんな動きが出てきているため、本当に安くもなるかもしれないが。

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    こちらからお借りした。

    うなぎは、成長する過程でオスになるかメスになるかわかれる生物で、メスの方が大きく育ちやすい。①琵琶湖に放流すると ②エサに大豆イソフラボンを配合すると、ほとんどがメスになることがわかった。

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    ニホンウナギの代わりとして、ビカーラ種が国内で養殖されるようになってきた。創業から約二百年・現在〇代目・同じ場所・継ぎ足してきたタレ・受け継がれてきた熟練の技……などの言葉が並ぶ、少なくない数の鰻専門店が(存続させてきたことが本当にすごい)、絶滅危惧種のニホンウナギの使用をやめると表明したりしている。

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    こちらからお借りした。

    ビカーラなら稚魚を獲り続けても大丈夫とか、ないと思うけどね。現代人が、ウナギは土から自然発生する・鳥は土の中で冬眠する(アリストテレス)と大差ないようでは、困る。


    つい先日、完全養殖のニホンウナギの一般向け販売がはじまった。

    ここまで読んで。安いことを期待する気持ちよりも、応援するために買おうという気持ちの方が強くなったとか。そういうのがもしあったら、書いてよかったなと思う。

    1限目と2限目で、けっこう違うニュアンスで書けたと思う。3限目まで続ける予定だ。

    動植物について書くことが尽きる日はこない。


     
     

    紗綾

     
     
    世に溢れんばかりに出まわっている処世術や俗説に、「また同じ話だ」「ぶっちゃけこれじゃない」と感じている人へ。 行き止まり感を払拭できるような、そんな文章を目標に書いています。 読みやすいよう仕上げていますが、短い文章が好きな人にオススメできる長さではないです。 月に3~4回更新。