
あてられる
先日パソコンを買い替えた。
そのときのことはすでにエッセイに書いた。
それにしてもミスタッチの多いことよ。
いや、ミスタッチだけではない。
Microsoft IMEがまだボクの変換のクセを把握していないので、変換ミスも多くなっている。
今も「ミスタッチ」と書こうとして、2回も「御簾タッチ」と変換されてしまった。こんなにミスタッチや変換ミスが多いと、どこか悪いんじゃないかという気にすらなってくる。
ほら、脳梗塞やくも膜下出血の前兆だとか…
数年前に脳ドックを受けたことがある。
やっぱり知的生産を生業としている者として、脳に障害を抱えることだけは避けたい。だからMRIで検査してもらって、脳梗塞やくも膜下出血などの予兆がないか知っておきたいと思ったのだ。
検査着に着替えたボクはMRIの機械に横になり、耳栓をされ、頭と体を固定され、目にタオルを当てられる。看護師さんがボクの手にナースコールのスイッチを握らせ「何かあったら押してくださいね」と言って退出した。
ボクは混んでる電車が苦手だ。
なんていえばいいだろう。人が密集していて、皆が同じ方向を目指しているシチュエーションが苦手、その熱気や思いみたいなものが苦手なのだ。
だから(席が固定されている)映画や演劇は観に行くが、有名なアーティストのライブなどには行かないようにしている。まあ、大きなホールやアリーナみたいなハコは少しはマシなんだが、小さなライブハウスなどは言わずもがなというところだ。
会社のビンゴ大会などは最悪だ。ボクはそういうときは(そもそも参加しないのだが、どうしても参加しなければならないときは)できるだけ輪の中に入らず、ビンゴに当たらないように気を付けている。
一度、知り合いに誘われるがまま、ちょっとスピ系のアンビエント音楽の演奏会に行ったことがある。行ってみたら蝋燭灯りの薄暗い小さな部屋で、演奏者の周りに車座に座るスタイルで、ちょっと身動きするのも咳払いするのも憚られる雰囲気だった。誘われた手前、最後まで我慢して座っていたが、そのあと2日ほど体調不良になったのを覚えている。
こういうのを「人に中てられる」というのだろう。
「人に中(あ)てられる」とは、他人の強い個性やエネルギー、あるいは親密な様子(のろけ話など)に気圧されたり、悪い影響を受けて気分が悪くなったり疲れてしまったりすることを指します。
MRIのスイッチが入り、ガガガと音が鳴り始めると、なんだか息苦しくなってきた。
この感覚は以前感じたアレに似てる。
薄暗くて、身動きが出来ず、興味のない音を延々と聞かされる。
…まさにアレだ。
ボクはしばらく我慢していたが、10分くらいで耐えきれなくなってナースコールのスイッチを押してしまった。
MRIに中てられることもあるんだな…
ボクはそう思ったのだった。