洗濯機の音が、脈々と部屋の中に響いている。
ゴトン、ゴトンと揺れるそのリズムに、机に向かっていた俺はつい鉛筆を止めた。
「なんか心臓の鼓動みたいだな」
思わず口にすると、ソファに寝転んでいた妹が笑う。
「それ、うちの生活リズムじゃない?」
「どういう意味だよ」
「朝はお母さんの味噌汁の音、昼はお父さんの新聞めくる音、夜は洗濯機。ずっと続いてる」
そう言われて耳を澄ますと、確かにこの部屋には脈々とした生活の音が満ちている。
特別じゃないけれど、ずっと前から続いて、きっとこれからも続いていく音だ。
「悪くないな」
「でしょ」
その瞬間、ただの洗濯機の音が少しあたたかく聞こえた。
#脈々と
#風まかせ文芸部