メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【短編小説(短編連作)】辻切区のどこか奇妙なXmas 7 ユールなログを燃やすなんて 1000字

    [HL:美味しいとかそういう問題じゃないの、これは]

    「へぇ。こりゃどうした風の吹き回しだい」
    「お前のところはケーキ屋だろ、錦織にしこり。ケーキを、1つ、注文する。ただの何の変哲もないケーキだ。呪いも魔法もなにもなしだ」
     そう呟けば目の前で奈美子の目がキラキラきらめいて、胃が痛くなる。
    「ケーキ屋、だろ」
    「はいはいわかったよ。何の変哲もない呪いも魔法もなにもない詰まらないブッシュドノエルね。しかしお前さんも魔法使いならわかるだろ。アレはその形からすでに呪いで聖物さ。ユールログを食べるっていうんだから、あんたの魔法に干渉しないように気をつけな」
    「うるせぇ。そんなことはわかってる」
     冬至に焚き木をする意味は、宗教的な意味と加護を意味する。
    「で、蝋燭はどうするね」
    「いるわけないだろ。俺はログを燃やしたくはないんでね」
    「ま、あんたがいなくなれば面倒だ。適当にやりすごすんだね」
    「不吉なこと言うな」
     なんでブッシュドノエルに同意をしてしまったんだ。そういう呪いがかかってるんだな、多分。なるべく関わりたくない。かけた本人である奈美子を見れば、ちっとも意味はわかってなさそうだった。
     自覚はあるが、俺はこの隙だらけの女の言動に少し弱いのだ。そういう意味で、奈美子の声は魔法の媒体に微々たる適性があるのかもしれない。

    「おい奈美子。お前がケーキを取りに行け」
    「えぇ?」
    「予約もしたし金を渡す。だから買いに行くのはお前だ」
     俺が約束したのは予約と買うことだけだ。並ぶの方には主語はないし、並ばないだろう。だから俺は俺の言葉に反していない。
    「ええと、ブッシュドノエルって何か意味があるんですか。木っぽいケーキっていうだけで」
    「その木っぽいところに宗教的な意味があるから問題なんだよ」
     最も陽が短い冬至の日に、北欧ではユールログを燃やして太陽の再生を祝い、春の始まりを告げる。つまり他所の神の規則に下手に俺が合わせれば、俺が構築した法則が乱れて智樹が言うところの俺の魔法が使えなくなる可能性がある。
    「気にしなければいいんでは?」
    「気になるから困ってるんだよ」
     認識してしまえば、それは意識下あるいは無意識下で影響を及ぼしてしまうんだ。そう、つまりクリスマスというのはゾーニングな西洋の祝いで、本番に近づけば近づくほど体系の異なる法則がこの街と世界を支配する。まるで呪いにずぶずぶと体が浸食されるようで、だからクリスマスは嫌いだ。そういうと変な奴に見られるところも。

    to be Continued

    北欧神話、本はたくさんもってるんだけどいまいち自身がないから後で多少直すかも。

    画像

    ★次の話

    #いつきちゃんのアドベントカレンダー
    #ろうそく
    おじゃましますー。なるべく毎日、智ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。

    ★似た系列の話

    ともちゃんが幽霊に絡まれる話。

    #小説 #短編連作 #ショートショート #私の作品紹介


    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ