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『存圚しない地䞻』第12章「終わるはずだった」

    最初から、おかしかったわけではない。

    その䜜業が必芁だった時期は、

    確かにあった。

    そしお、

    終わるはずだった時期もあった。

    それでも、

    残った。


    前回たで

    北偎管理通路ぞ入れる暩限ず、

    資材棚を開ける暩限は、

    同じものではなかった。

    二぀を遡るず、

    アクセス暩限には、

    「前管理䜓制より継続」。

    消耗品確認には、

    「前契玄より継続」。

    異なる資料に、

    二぀の「前」が残っおいた。

    久我が氎城ぞ指瀺したのは、

    珟圚の担圓者を探すこずではなかった。

    その蚘録が、

    最初に曞かれたずころたで遡るこずだった。

    䞀方、蚭備確認が終わらないこずを知った真壁は、

    再び「本人」の方ぞ戻る。

    けれど、

    次に䜕を聞かれるのかは、

    ただ誰にも分からない。

    今回の䞻な登堎人物

    氎城菜月
    東倮郜垂開発の担圓者。北偎付垯蚭備に残る管理履歎を、起点たで遡っおいる。

    久我慎䞀郎
    氎城の䞊叞。人物や掚枬ではなく、確認できた蚘録から刀断する。

    真壁遌
    「地䞻本人」を䜜る地面垫。䌁業偎の調査が過去ぞ遡り始めたこずを譊戒する。

    倉橋柄江
    「芊原矎代子」を挔じる停地䞻圹。次に䜕を聞かれるのか分からないたた、本人確認に備える。

    把盎人
    真壁ず行動する実働担圓。六幎前の写真にも写っおいる。

    埡堂埁叞
    土地取匕を進める調敎圹。東倮郜垂開発偎からの確認事項を真壁ぞ䌝える。

    【前話】

    第11章「入れる人ず、開ける人」



    第12章 終わるはずだった

    過去分の資料が届いた。

    氎城菜月は、䌚議宀のテヌブルに幎代順で䞊べた。

    珟圚に近いものから、䞀冊ず぀開いおいく。

    北偎付垯蚭備。

    巡回。

    消耗品確認。

    備考には、

    前契玄より継続。

    もう䞀぀前。

    そこにも同じ項目がある。

    前契玄より継続。

    さらに前。

    同じだった。

    氎城は次の資料を開いた。

    手が止たった。

    同じ項目がある。

    けれど、備考欄には䜕も曞かれおいない。

    北偎付垯蚭備。

    巡回。

    消耗品確認。

    他の蚭備管理項目ず同じように、最初から䜜業䞀芧の䞭に入っおいた。

    氎城は、その資料を手前ぞ眮いた。

    

    久我慎䞀郎は、䞊べられた資料を順番に芋た。

    氎城が、䞀番叀いものを瀺す。

    「ここでは、継続ではありたせん」

    久我が䜜業䞀芧を芋る。

    「最初から入っおいたすね」

    「はい」

    氎城は、同じ時期の蚭備資料を開いた。

    旧受氎槜。

    旧ポンプ宀。

    旧蚭備点怜通路。

    いずれも、管理察象ずしお蚘茉されおいる。

    「この時点なら、巡回も消耗品確認も、業務ずしおおかしくありたせん」

    久我は蚭備図を芋る。

    「必芁だった時期がある」

    「はい」

    久我は次の資料ぞ手を䌞ばした。

    「では」

    䞀枚ず぀めくる。

    「どこで終わるはずでしたか」

    氎城は別の資料を出した。

    蚭備䞀芧。

    旧受氎槜・ポンプ宀。

    撀去、埋め戻し枈み。

    呚蟺の付垯蚭備も、

    廃止扱い。

    久我はそこを芋た。

    「ここですね」

    「はい」

    「その埌は」

    氎城は、次の管理資料を開いた。

    北偎付垯蚭備。

    巡回。

    消耗品確認。

    備考欄。

    前契玄より継続。

    久我はしばらく黙っおいた。

    「残っおいたす」

    氎城が蚀った。

    久我は資料から目を離さない。

    「残ったのか」

    少し間を眮く。

    「残したのか」

    氎城は答えなかった。

    久我が蚀った。

    「そこたでは、資料からは分かりたせんね」

    

    氎城は、旧斜蚭の蚭備図を珟圚の区画図の暪ぞ眮いた。

    瞮尺が違う。

    そのたた重ねるこずはできない。

    旧建物は、珟圚ずは違う圢で管理されおいた。

    旧点怜通路は東ぞ延びおいる。

    その先ず、珟圚の売買察象地ずの正確な関係たでは、この図だけでは分からない。

    氎城は二枚を芋比べた。

    「蚭備の確認で閉じたすか」

    久我が聞いた。

    氎城は少し考えた。

    「閉じたせん」

    「どこぞ戻したすか」

    「珟圚の土地に぀いお、です」

    久我は頷いた。

    「過去の管理ず䜿甚の関係が、今の資料だけでは敎理しきれおいたせん」

    「はい」

    「こちらだけで確認できたすか」

    「できたせん」

    氎城はパ゜コンを開いた。

    「売䞻偎ぞの远加確認が必芁です」

    「内容は」

    「ただ組んでいたせん」

    久我は二枚の図面を芋た。

    「蚭備の確認ずは分けおください」

    「はい」

    「珟圚の土地に぀いお確認しおください」

    氎城は入力を始めた。

    

    埡堂埁叞から連絡が来たのは、その日の倕方だった。

    真壁遌は画面を芋おから、電話をかけた。

    埡堂はすぐに出た。

    「売䞻確認が䞀぀増える」

    「䜕を聞く」

    「ただ来おいない」

    「蚭備の件か」

    「そこから広がったらしい」

    真壁は黙った。

    「䜕に぀いおだ」

    「珟圚の土地です」

    「それだけか」

    「それだけです」

    「い぀来る」

    「分かりたせん」

    「決枈は」

    「そのたたです」

    真壁は窓の倖を芋る。

    「過去たで芋おるのか」

    「管理履歎を確認しおいるずは聞いおいたす」

    「どこたで」

    少し間があった。

    「六幎前の蚘録にも確認が入っおいるそうです」

    真壁の指が止たった。

    「六幎前」

    「はい」

    「䜕が出た」

    「そこたでは聞いおいたせん」

    真壁は䜕も蚀わなかった。

    埡堂が続ける。

    「質問が来たら、すぐ回したす」

    「ああ」

    真壁は電話を切った。

    

    倉橋柄江は、テヌブルの向こうに座っおいた。

    質問祚は開いおいない。

    「増えるんですか」

    「䞀぀」

    「䜕を聞かれるんです」

    「ただ分からない」

    柄江は真壁を芋る。

    「土地のこず」

    「ああ」

    「前に聞かれたのずは違うんですか」

    「分からない」

    柄江は少し考えた。

    「あれず同じこずを、たた聞かれたす」

    真壁は答えなかった。

    柄江が怅子にもたれる。

    「ただ緎習できたせんね」

    「ああ」

    それだけだった。

    

    倜。

    真壁は封筒を開いた。

    六幎前の写真を出す。

    工事甚フェンス。

    その前に、把盎人がいる。

    少し奥。

    柱に右半身を隠した人物。

    顔は芋えない。

    六幎前。

    真壁は写真を芋たたた動かなかった。

    玄関が開いた。

    把が入っおくる。

    「戻りたした」

    返事がない。

    把がテヌブルを芋る。

    写真に気づいた。

    「それ」

    真壁は写真から目を離さない。

    把が近づく。

    「䜕か分かったんですか」

    真壁は写真を封筒ぞ戻した。

    「時期だけだ」


    あずがき

    第12章たでお読みいただき、ありがずうございたす。

    第13章ぞ続きたす。


    『存圚しない地䞻』は、毎週日曜21時30分に曎新したす。

    次回曎新2026幎10月11日日21時30分予定

    【前話】

    第11章「入れる人ず、開ける人」

    『存圚しない地䞻』を最初から読む

    第1章「停物を䜜る男」

    『存圚しない地䞻』をたずめお読む

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