
【旅の栞】子連れ韓国探訪記 #01 いざ、海を越えて韓国へ。胸ポケットの曾祖父と綴る10年目の里帰り。
こんにちは、てるてるです。
この夏、私は10年越しに温めてきた、密やかな夢を叶えました。
胸ポケットに忍ばせたのは、1枚の古い写真。
途切れることなく繋がれてきた命のバトンと、その痕跡を辿るために、私は家族とともに海を渡りました。
1. 戸籍に残された、もうひとつの「故郷」
始まりは10年前、家族の遺品整理の最中に見つけた一通の古い戸籍でした。
黄ばんだ紙に書かれた文字を指で追っていくと、そこには私の知らない曾祖父の「出生地」が、静かに刻まれていたのです。
あまりに意外な事実に、一瞬、息が止まりました。
私の記憶の中にいる曾祖父は、とにかく穏やかで優しい人でした。
まだ土曜日に授業があった小学生の頃、共働きの両親に代わり、彼はよく学校まで迎えに来てくれました。
一人でお留守番をする幼い私を心配して、帰り道に近くのスーパーへ寄り道してくれるのです。
お昼ご飯と一緒に「好きなお菓子を買いなさい」と目尻を下げてくれた、あののんびりとした土曜日の空気感を、私は今でも鮮明に覚えています。
中学生、高校生になっても、私は曾祖父の家をよく訪ねました。 彼の書斎には、いつも本があふれていました。
棚を埋め尽くしていたのは、新聞記事を丁寧に貼り付けたスクラップブックと、膨大な書籍。
当時の私はその背表紙の意味を深く考えることもなく、ただ「物知りなおじいちゃんだな」と眺めているだけでした。
2. 10年かけてあたためた、胸の中の誓い
戸籍の文字を目にしてから、私の曾祖父への眼差しは大きく変わりました。
生年月日を手がかりに、彼が生きた当時の日本と韓国が辿った歴史を、少しずつ調べ始めたのです。
歴史の波に翻弄されながら、海を渡ってきたであろう曾祖父の歩み。
調べれば調べるほど、私の胸の中でひとつの強い決意が芽生えていきました。
「韓国へ行こう」
詳しいルーツの場所までは分からなくてもいい。彼がかつて見上げたはずの空の下に立ち、同じ風を感じてみたい。
曾祖父の写真を胸ポケットに忍ばせて、遅すぎた「里帰り」をさせてあげたい――。
そう思い立ちながらも、子育てや日々の暮らしに追われ、気づけば10年という歳月が流れていました。
3. 閉ざされていた書斎と、言葉なき対話
渡韓を前に、私は久しぶりにあの書斎のスクラップブックを紐解きました。
そこにあったのは、日韓に関する膨大な記録と、静かに重ねられた年月でした。
あの穏やかな笑顔の裏で、曾祖父は何を思いながらこのページをめくっていたのだろう。
自らのルーツを胸の奥に秘め、移り変わる時代をどんな思いで見つめていたのだろう。
生前に一度も尋ねることができなかったその問いを、これからは私自身の手で、旅を通してゆっくりと紐解いていこうと心に決めました。
写真の中の曾祖父は、あの土曜日の下校路と同じように、優しく私を見守ってくれている気がします。
4. ソウルの風の中で、新しい物語が始まる
この夏、私はついに飛行機に乗り、ソウルの地を踏みしめました。
空港を出た瞬間に頬を撫でた熱い風と、賑やかな街の喧騒。
10年越しの思いを胸に抱きながら、小さな子どもたちの手を引いて歩き出したソウルの街並みは、どこか懐かしく、そして愛おしく私を迎えてくれました。
曾祖父が見たかもしれない景色を探す、私の「ルーツを巡る旅」。
そして、わが家の幼い子どもたちにとっても、初めての海を越える冒険。
ここから、私と曾祖父、そして家族の新しい物語が始まります。
(つづく)
▼ 連載 【旅の栞】子連れ韓国探訪記 #02 はこちら
#旅の栞 #一度は行きたいあの場所 #夏の旅行記 #600note祭り
#韓国旅行 #子連れ韓国旅行 #ソウル旅行 #ルーツを巡る旅