
湾岸タワマンは下がらない、は本当か? 晴海・勝どき・月島で12日に5戸に1戸が値下げ
「湾岸のタワーマンションは、そう簡単には下がらない」。そう考えて、晴海・勝どき・月島の部屋を様子見している方は多いはずです。では、この10月、湾岸の売出価格は実際にどう動いたのでしょうか?
たとえば、東京五輪の選手村跡にできた大規模な街区の1LDK+S・95.56㎡。2026年3月に5億6,800万円で売り出され、4月に4億8,800万円、4億2,800万円、5月に3億9,800万円と書き換えられ、10月26日には3億5,800万円になりました。4回の値下げで合計2億1,000万円、最初の価格から37.0%下がって、まだ売出中です。
この記事の有料部分には、晴海・勝どき・月島でこの12日間に値下げされた住戸を、実名41棟・164戸すべて、旧価格→新価格、下げ幅と変化率、最初の売出価格からの累計、値下げの回数と価格の履歴つきで載せています(同じ住戸の重複掲載はまとめ済み)。値上げされた1戸と、売出が終了した133戸の建物別内訳も付けました。
結論から言うと、湾岸の値下げは「たまたまの1回」ではありません。10月に入ってから、高い水準が続いています。先に、いちばん大事な3つの数字です
【1】晴海・勝どき・月島で、10月14日と10月26日(約12日)の両方に売り出されていた837戸のうち164戸、19.6%が値下げされました。およそ5戸に1戸です。過去1年の同じくらいの期間(約11日、180回)の中央値は12.9%で、その1.51倍。180回のうち今回を上回ったのは5回だけで、そのうち3回は9月末〜10月の直前の期間です
【2】しかも一度きりではありません。9月30日→10月10日が19.6%、10月1日→12日が21.7%、10月3日→14日が19.7%、そして今回が19.6%。10月に入ってから4回続けて19%を超えました。これほど続いたのは過去1年で初めてです
【3】売出中の住戸は1年前の500戸から893戸へ、1.8倍に増えました。同じ期間に、1㎡あたりの売出価格の中央値は242.7万円から211.7万円へ、12.8%下がっています

湾岸タワマン、12日で5戸に1戸が値下げ。10月は4回続けて19%超え。点線が過去1年の平常値(12.9%)、赤い点が今回です。
普通の週と並べると、違いがはっきりします(左が今回、かっこ内が過去1年の約11日間の中央値)
【1】両方の時点で売出中だった住戸 837戸(平常610戸)
【2】値下げ 164戸(平常81戸)、値下げ率 19.6%(平常12.9%)
【3】値上げ 1戸(平常2戸)、新しく売り出された住戸 121戸(平常114戸)、売出が終了した住戸 133戸(平常100戸)
値下げの戸数は平常の約2倍ですが、売り物そのものが増えているので、戸数だけで比べると大げさになります。そこで、割合(1.51倍)を主な物差しにしています。

売り物は1年で1.8倍、1㎡の売出価格は−13%。棒が売出中の住戸数、赤い線が1㎡あたり売出価格の中央値です。売出中の顔ぶれが変わると中央値も動くので、「相場がこれだけ下がった」とまでは言えません。ただ、売り手どうしの競争が1年前より厳しくなっているのは確かです。
この1年の流れを短くまとめると、こうなります
【1】2025年秋〜2026年初め: 1㎡あたりの売出価格の中央値は240万円台後半まで上がり、売出中の住戸は500戸台でした
【2】2026年春〜夏: 売出中の住戸が700戸台に増える一方、1㎡あたりの中央値は230万円台へ。8月中旬の約11日間の値下げ率は4.9%まで下がり、いったん落ち着いて見えました
【3】2026年9月〜10月: 売出中の住戸が800戸を超え、9月上旬に値下げ率が21.6%へ跳ね上がりました。10月は4回続けて19%超え。1㎡あたりの中央値は211.7万円まで下がっています
夏の静けさのあと、秋に売り手が一斉に値札を見直し始めた、という流れです。
ほかにも、値札の動きが大きかった住戸があります(建物名は有料部分で)
【1】勝どきの2008年完成のタワー、2LDK+S・80.23㎡。2億990万円から1億4,980万円へ、1回の書き換えで6,010万円(28.6%)の値下げ。4月の最初の売出価格2億1,990万円からは31.9%下がりました
【2】月島で2026年4月に完成したばかりのタワー、2LDK・55.82㎡。10月3日に2億3,900万円で出ていた住戸が、3週間後に1億9,990万円(−16.4%)
【3】2019年完成の晴海の大型タワー、2LDK・101.28㎡。7月の3億8,800万円から、8月に3億3,900万円、10月に2億9,800万円。3か月で8,000万円、23.2%の値下げです
値下げの中身も見ておきます
【1】164戸のうち146戸は1億円以上。値下げ幅の中央値は915万円、率では5.3%です
【2】112戸(68%)は、2024年5月以降で2回目以上の値下げ。3回以上は63戸。何度も値札を書き換えている売り手が多数派です
【3】値下げが多かった建物は、晴海の2019年完成の大型タワー(17戸)、晴海フラッグの2つの街区(合わせて36戸)、勝どきのツインタワーの1棟(11戸)。町別では晴海92戸、勝どき46戸、月島26戸です
一方、値上げは豊海町の完成前のタワー1戸だけ。売出が終了した133戸も平常より多めですが、売出の終了は成約とは限りません(売り止めや売り直しも含みます)。
では、どこで、どんな住戸が下げているのか。町・建物のタイプ・価格帯で分けても、ほぼすべてで平常の1.3〜1.8倍でした(12日間の値下げ率、かっこ内は値下げ戸数/比較できた戸数)
【1】町別: 月島23.0%(26/113戸、平常13.0%の1.76倍)、晴海20.0%(92/459戸、平常12.6%の1.59倍)、勝どき18.5%(46/248戸、平常14.2%の1.31倍)。いちばん高いのは月島です
【2】晴海フラッグ: 18.8%(36/192戸、平常12.5%の1.50倍)。入居が始まって数年の大規模街区でも、湾岸全体と同じペースで値札が書き換わっています
【3】タワーとそれ以外: タワー19.3%(98/509戸、平常12.7%の1.52倍)、タワー以外21.0%(66/314戸、平常13.4%の1.57倍)。「タワーだけが下がっている」わけではありません。築年で分けても、2021年以降の完成18.9%(56/296戸、平常12.0%の1.57倍)、2020年以前の完成20.7%(108/523戸、平常13.5%の1.53倍)と差はわずかです
【4】価格帯別: 1億円未満20.7%(18/87戸、平常11.9%の1.75倍)、1〜2億円19.8%(107/540戸、平常14.4%の1.37倍)、2億円以上11.9%(21/177戸、平常8.6%の1.37倍)。2億円以上は、割合は低めでも1回あたりの下げ幅が大きく、最大の下げ幅の住戸もこの帯に集まっています
特定の建物の事情というより、湾岸全体で売り手が価格を合わせにいっている、と読むのが自然です。

タワーだけじゃない。湾岸はどこを切っても平常の1.3〜1.8倍。赤が今回、灰色が過去1年の平常値です。
晴海フラッグだけを取り出すと
【1】12日間に値下げされたのは36戸(PARK VILLAGE 15戸、SUN VILLAGE 19戸、SEA VILLAGE 2戸)。比較できた192戸の18.8%で、平常12.5%の1.50倍です
【2】36戸のうち27戸は2回目以上の値下げ。最初の売出価格からの累計の下げ率は、中央値で13.3%
【3】累計でいちばん大きく下げたのは、冒頭で紹介した1LDK+S・95.56㎡(−37.0%)。2億円前後の3LDKでも、最初の価格から20%前後下げた住戸が複数あります
入居が進んだ大規模街区では、同じ街区の中で似た間取りが何戸も並びます。住戸ごとの値札の比較が、そのまま交渉材料になります。
12日間の下げ幅が大きかった10戸です(建物名は有料部分で)
【1】勝どき・2008年完成・2LDK+S・80.23㎡ 2億990万→1億4,980万円(−6,010万円、値下げ2回目)
【2】晴海・2023年完成・2LDK・107.19㎡ 4億5,000万→4億円(−5,000万円、値下げ1回目)
【3】晴海・2019年完成・2LDK・101.28㎡ 3億3,900万→2億9,800万円(−4,100万円、値下げ2回目)
【4】月島・2020年完成・2LDK・75.23㎡ 2億5,900万→2億1,900万円(−4,000万円、値下げ1回目)
【5】晴海・2025年完成・1LDK+S・95.56㎡ 3億9,800万→3億5,800万円(−4,000万円、値下げ4回目)
【6】月島・2026年完成・2LDK・55.82㎡ 2億3,900万→1億9,990万円(−3,910万円、値下げ1回目)
【7】月島・2026年完成・2LDK+S・78.98㎡ 2億3,800万→2億100万円(−3,700万円、値下げ1回目)
【8】月島・2020年完成・3LDK・70.08㎡ 2億2,800万→1億9,200万円(−3,600万円、値下げ1回目)
【9】晴海・2019年完成・4LDK・83.31㎡ 2億5,800万→2億2,800万円(−3,000万円、値下げ2回目)
【10】晴海・2013年完成・3LDK・78.44㎡ 1億5,500万→1億2,980万円(−2,520万円、値下げ3回目)
10戸のうち9戸は、値下げ前の価格が2億円以上。「億を超える湾岸タワー」でも、一度に数千万円単位で書き換える売り手がいます。
この数字を、買う側と売る側はどう読めばいいでしょうか
【1】買う側: 湾岸では、5戸に1戸が12日で値札を書き換える状態が1か月続いています。気になる建物があるなら、「いまの売出価格」だけでなく「最初はいくらで、何回下げたか」を見ると、売り手がどこまで価格を見直しているかが分かります。3回以上下げた住戸は63戸ありました
【2】売る側: 売出中の住戸が1年で1.8倍に増え、同じ建物の中で何戸もが同時に売りに出ています。同じ建物・近い広さの住戸が先に値下げすると、比べられて後に回されやすくなります。売出価格を決める前に、同じ建物で今いくらの住戸が並んでいるかを確かめておくのが安全です
【3】ただし、売出価格の値下げは成約価格の下落とイコールではありません。値下げ後の価格で成約するとは限らず、売り止めや売り直しもあります。この記事は「売り手の値札がどう動いたか」を住戸単位で記録したものです
湾岸で候補を絞るときのチェックポイントも置いておきます
【1】同じ建物の中で、広さの近い住戸の1㎡あたり価格を比べる。値下げ後でも、同じ建物の他の住戸より高いことがあります
【2】値下げ回数が3回以上で、最初の売出から20%以上下がった住戸は、売り手が価格を見直し続けているサインです。交渉の余地を考える材料になります
【3】完成から1年以内の新しいタワー(月島・晴海フラッグなど)は、最初の価格づけが高めで、短期間に大きく下がる例が目立ちます
【4】「終了」は成約とは限りません。同じ広さ・近い価格で別の掲載が出ていないか、新規の一覧も合わせて確認してください
こんな方に向けて書きました
・晴海・勝どき・月島で、1億〜4億円の中古マンションを探している
・晴海フラッグや湾岸のタワーで、狙っている建物の値札が動いたか知りたい
・湾岸の部屋を持っていて、売り出す時期や価格を迷っている
・「同じ建物で、いくらまで下がった例があるか」を住戸単位で確かめたい
有料部分に入っているもの
【1】値下げされた164戸の全リスト(実名41棟、値下げ戸数の多い建物順)。町名・間取り・面積・築年、旧価格→新価格、下げ幅と変化率
【2】住戸ごとの最初の売出価格からの累計の下げ率、値下げの回数、価格の履歴(2024年5月以降)。重複掲載は1戸にまとめ、まとめた件数も注記
【3】値上げされた1戸と、売出が終了した133戸・新しく売り出された121戸の建物別内訳
【4】下げ幅の大きい10戸の建物名と、各建物で同時に売りに出ている値下げ住戸の並び
この記事の価格837円は、今回12日間の値動きを住戸ごとに突き合わせた湾岸3町の売出837戸にちなんでいます。対象は東京都中央区の晴海・勝どき・月島(豊海町は値下げ0戸)。2026年10月14日19時台と10月26日7時台の公開売出情報を比べました。価格はすべて売出価格(成約価格ではありません)です。
狙っている湾岸の建物が、この12日間で値札を書き換えたかどうか。どの住戸が何回、いくらまで下げたのか。164戸を建物ごとに並べたリストで、ご自身の予算と広さに合う候補を数分で確かめられます。ここから先は有料部分です。