
「またできなかった」で終わらせないために
自分を責める前に、始め方を小さく変えてみる
人間関係と心のしくみ|第5回・改善編
「別のことに気をそらすと、その場では少し楽になる」
前回の心理学解説編では、その経験が、回避を繰り返すことにつながる場合があるとお話ししました。
しくみは分かった。でも、実際に不安になったときには、またスマホに手が伸びてしまう。
そんなこともあると思います。
知っただけで、いつもの反応がすぐに変わるとは限りません。
今回は、不安や自分を責める気持ちが出てきたときに、取り組みやすくするための工夫をお伝えします。
全部を一度に試す必要はありません。今の自分に合いそうなものを、一つ選んでみてください。
まず、手が止まったところに気づく
スマホを見ていたことに気づいたら、
「またやってしまった」
と責める前に、少しだけ直前を振り返ってみます。
何をしようとしていたのか。
どこで手が止まったのか。
たとえば、文章を書こうとして、「うまく書けないかもしれない」と考えたところ。
あるいは、やることが多すぎて、何から始めたらいいか分からなくなったところ。
そこで、
「今、失敗するのが怖くなっていたんだな」
「やることが大きすぎて、困っていたんだな」と、短い言葉にしてみます。
原因を全部突き止めようとしなくても大丈夫です。
今の自分に何が起きているか、ひとつ気づければ、次の工夫を考える手がかりになります。
「終わらせる」から、「ここだけやる」へ
「記事を書く」
「部屋を片づける」
「学んだことを実践する」
こうした目標は、そのままだと、最初に何をすればいいか分かりにくいことがあります。
そこで、目標を「今、手を動かせる形」に小さくしてみます。
記事を書く → 伝えたいことを一行だけメモする
部屋を片づける → 机の上のものを一つ戻す
学んだことを実践する → 今日試すことを一つ選ぶ
ここで大切なのは、「小さく」と言いながら、心の中では全部終わらせようとしないことです。
「一行だけ書く」と決めたなら、まずはそれが今日の一区切り。
続けられそうなら続けてもよいし、そこで終えても構いません。
時間で区切る方が合うなら、「まず5分だけ」と決める方法もあります。
完成させることと、始めることを分けてみる。
それだけでも、取り組み方を変えるきっかけになります。
不安が消えるまで待たず、試せる形にする
「自信がついたら始めよう」
「もっと学んでからやってみよう」
そう思うこともありますよね。
ただ、準備を重ねても、不安がなくならない場合があります。
そんなときは、不安を押し切って大きく行動するのではなく、今の自分でも試せる範囲に、行動を調整してみます。
発信するのが怖いなら、いきなり公開する前に、下書きを一つ作る。
誰かの反応が気になるなら、まず自分が伝えたいことを、手元のノートに書いてみる。
「ちゃんと書かなければ」が強いなら、最初のメモは整えず、思いつく言葉を置くだけにする。
「失敗しないように仕上げる」から、「一度試して、必要なら直す」へ。
自分への要求を少し調整することで、始めやすくなる場合があります。
下書きが続いて次に進めないときは、また一段小さく、「次はどこまで試すか」を考えてみてください。
意志だけでなく、周りの環境も変えてみる
気づくたびに「スマホを見ないようにしよう」と頑張るのは、疲れます。
そこで、取り組む短い時間だけ、周りの環境を調整してみます。
たとえば、
スマホを、すぐには手が届かない場所に置く
不要な通知を一時的に止める
作業に必要な画面だけを開く
最初に使うノートや道具を、机に出しておく
連絡を受ける必要があるなら、必要な通知は残して構いません。
自分の生活に合う形で、気をそらすものを少し減らし、始めるためのものを使いやすくしてみてください。
「明日やろう」よりも、
「明日の朝、お茶を飲んだあとに、ノートへ一行書く」と、いつ・何をするかを決めておく方法もあります。
終わったあとに、「できたこと」を一つ残す
少し取り組めても、
「でも、これしかできなかった」と考えると、できた部分が見えなくなってしまいます。
そこで、終わったあとに、実際にやったことを一つだけ確かめます。
「一行書いた」
「必要な資料を開いた」
「途中でスマホを見たけれど、作業に戻った」
大きく褒めようとしなくても大丈夫です。
できなかったことだけでなく、できたことも、事実として数えてみる。
短く取り組んだあとに、お茶を飲むなど、気持ちよく区切れる時間を用意しておくのも一つの方法です。
途中で気がそれても、そこから戻っていい
工夫をしていても、スマホを見たり、別のことを始めたりする日はあると思います。
そこで、「今日はもうダメだ」
と一日全体を諦めなくても大丈夫です。
気づいたところから、
「今から一行だけ戻ろう」
「次にやることだけ決めて終わろう」
と、もう一度小さく選び直せます。
戻りにくかったなら、最初の目標が大きすぎなかったか、時間帯や環境が合っていたかを見直してみます。
それでも難しい日は、疲れや体調、生活の負担も確かめてください。
休息が必要なときは、休むことも選択の一つです。
今日、一つ試すなら
まずは、こんな形で試してみてください。
取り組みたいことを一つ選び、最初の一歩を「一行だけ」「一つだけ」「5分だけ」にする。
たとえば、
「今日中に全部書く」ではなく、
「スマホを机から離して、伝えたいことを一行書く」。
終わったら、「一行書けた」と確かめる。
試したあとに、やりやすかったか、まだ大きすぎたかを見て、次の大きさを調整します。
自分を責めて動かそうとする代わりに、自分が取り組みやすい条件を、一つずつ探していく。
その積み重ねを、自分のために始めてみませんか。
一人では、同じところで止まってしまう方へ
小さくしようと思っても、強い不安が出てくる。何をしても、自分を責める方へ戻ってしまう。
そんなときは、一人で工夫を重ねるだけでなく、誰かと一緒に整理する方法もあります。
TWINS STARでは、今の悩みや状況を伺いながら、ご自身を理解するお手伝いをしています。
相談をご希望の方は、ホームページの「初めての方へ」をご覧ください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
このnoteでは、人間関係の中で繰り返してしまう反応や、自分を責めてしまう気持ちについて、その仕組みと、少しずつ変えていくための見方をお伝えしています。
河本 京実(セラピールーム・ツインスター)
大学で心理学を学び、心理とスピリチュアルの両面からサポートしています。
リーブス認定ヒーラー/認定創造療法カウンセラー/認定スーパーバイザー
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