
Steam王者は人口1000万国のスウェーデン。日本開発者が学べる勝ちパターン
人口1000万人の小国が、世界のゲーム市場を席巻している
2025年、PCゲームプラットフォームSteamにおいて、最も多くの収益を上げた国はどこかご存知だろうか。アメリカでも日本でも中国でもない。その答えは、北欧の国スウェーデンだ。
ゲーム市場分析会社Alinea Analyticsの報告によると、2025年のSteamの総収益の約20%をスウェーデン産のゲームが占めた。特に首都ストックホルムだけで全体の16%を稼ぎ出しており、その勢いはとどまるところを知らない。

ゲーム市場分析会社Alinea Analyticsのソースがなく、あくまで参考はここ。Steamは国別・都市別の正式な売上構成を公開していないため、正確なシェアは不明。ただし、インディーゲームを中心にスウェーデン発のタイトルが存在感を強めていることは各種記事内、ランキングからも読み取れる
2024、2025年度のスウェーデン発の大ヒット作品例
1. Split Fiction(スプリット・フィクション)
基本情報
・リリース日: 2025年3月6日(PC/PS5/Xbox Series X/S)、6月5日(Nintendo Switch 2)
・ジャンル: アクション・アドベンチャー(協力プレイ専用)
・開発スタジオ: Hazelight Studios(ストックホルム)
・パブリッシャー: Electronic Arts
・大規模AAA作品
成功の背景
Hazelight Studiosが手がけた本作は、前作『It Takes Two』の成功を受けた期待作。画面分割による2人プレイ専用という独特の設計を貫きながら、SF作家志望のミオとファンタジー作家志望のゾーイーが、サイバーパンク、スペースオペラ、ファンタジー世界など多彩な舞台を冒険する。各エリアに配置された協力前提のギミックは二度と繰り返されず、常に新鮮でテンポの良いゲームプレイが実現されている。
販売実績と評価
24時間で約20万人の同時接続を記録し、2日間で100万本を販売。ギネス世界記録3項目を樹立し、終盤のマップの圧倒的なスケール表現は、ゲーム体験の新しい可能性を示すものとして高く評価されている。
2. R.E.P.O.
リリース日: 2025年2月26日(早期アクセス開始)
タイトル名: R.E.P.O.
ジャンル: ホラー・協力プレイ(インディータイトル)
開発スタジオ: semiwork
開発費想定: 低予算
成功の背景
$9.99という低価格設定にもかかわらず、年末時点での推定累計販売本数は1,920万本に達する(Alinea Analytics調べ)。Steamの2025年総収益の約3%をこの1作だけで占めるという、驚異的な記録を打ち立てている。インディータイトルながら、主要プラットフォームをあわせたランキングで3位となるなど、ゲーム業界全体における大きな存在感を示している。
販売実績と評価
低価格戦略と高い完成度の組み合わせが、幅広いプレイヤー層への浸透を実現。協力プレイの楽しさとホラー要素のバランスが、ソーシャルメディアでの口コミを通じて急速に拡大した。
3. ARC Raiders
リリース日: 2025年10月30日
タイトル名: ARC Raiders
ジャンル: PvPvE エクストラクション・シューター
開発スタジオ: Embark Studios(ストックホルム、元DICE社員中心)
開発費想定: 中~大規模
成功の背景
元DICE社員を中心に立ち上げられたEmbark Studiosによる本作は、PvPvE(プレイヤー対プレイヤー対環境)というハイブリッドな対戦形式を採用したエクストラクション・シューター。圧倒的なグラフィック品質と、緊張感あふれるゲームプレイが、同ジャンルの新たなスタンダードを確立した。
販売実績と評価
第1週で推定$100M以上の収益を記録し、The Game Awards 2025でBest Multiplayer Gameの有力候補と報じられているなど、業界からの高い評価を獲得。発売直前のプレイテストでは、Steam上で約19万人の同時接続を記録し、大きな期待感を集めた。
4. Battlefield 6
リリース日: 2025年10月10日
タイトル名: Battlefield 6
ジャンル: ファーストパーソンシューター(FPS)
開発スタジオ: Battlefield Studios(DICE中心、ストックホルム)
パブリッシャー: Electronic Arts
開発費想定: 推定$400M以上
成功の背景
前作『Battlefield 2042』が批判を受けた後、Vince Zampellaのリーダーシップの下で開発された本作は、シリーズの復権を象徴する作品となる。2027年から2028年を舞台に、NATO軍と民間軍事企業Pax Armataの対立を描く。環境破壊システムの充実、新しい「Kinesthetic Combat System」による移動システムの改善、複数の新モード追加など、シリーズの伝統を踏まえながら大幅な改善が施された。
販売実績と評価
3日間で700万本以上を販売し、シリーズ史上最大のローンチ規模を記録。Steamの開始時点で50万人以上の同時接続を達成したと推定され、The Game Awards 2025ではBest Audio Designと16th Hollywood Music in Media Awards for Music Supervisionにノミネート。
5. Europa Universalis V
リリース日: 2025年11月4日
ジャンル: 歴史シミュレーション・ストラテジー
開発スタジオ: Paradox Interactive(ストックホルム)
開発費想定: 中~大規模
成功の背景
Paradox Interactiveが12年ぶりにリリースした『Europa Universalis』シリーズの最新作。前作『Europa Universalis IV』は2013年のリリースであり、その間にゲーム業界は大きく変化。本作は、戦略ゲームの伝統を守りながら、現代的なゲームデザイン原則を適用した作品として評価。
販売実績と評価
発売直後から最大でSteam同時接続者数7.7万人超を記録(SteamDB調べ)。国内売上ランキング上位入りし、ロケットスタートを切る。戦略ゲームファンの間で圧倒的な支持を受け、2025年のベスト・ストラテジー・タイトルの筆頭として評価。
6. PEAK
・リリース日: 2025年6月17日(PC/Steam)
・ジャンル: 協力プレイ・クライミングゲーム
・開発スタジオ: Landfall(リンシェーピング、スウェーデン) × Aggro Crab(共同開発)
・開発費想定: 低予算(4ヶ月で開発)
成功の背景
わずか4ヶ月の開発期間で完成させられたにもかかわらず、PEAKは2025年の予想外の大ヒット。協力プレイに特化したクライミングゲームという、シンプルながら奥深いコンセプトが、幅広いプレイヤー層に受け入れらた。
販売実績と評価
第1週で100万本以上を販売し、「friendslop」(友人と遊ぶ楽しさを重視したゲーム)というジャンルを確立する一助となりました。低予算で大ヒットを生み出した事例として、ゲーム業界全体で注目を集めている。
7. Satisfactory
・リリース日: 2024年9月10日(PC フル版)、
2025年11月4日(PS5/Xbox Series X/S)
・ジャンル: ファクトリー・シミュレーション・サンドボックス
・開発スタジオ: Coffee Stain Studios(スウェーデン)
・開発費想定: 中規模(長期開発)
成功の背景
2019年3月より早期アクセスが開始されたSatisfactoryは、約5年半の開発期間を経て2024年9月にフル版がリリース。プレイヤーは宇宙企業FICISITの開拓者として、未知の惑星に降り立ち、自動化された工場を構築していく。複雑な生産チェーンの構築と、それに伴う戦略的な意思決定が、ゲームの中核をなしている。
販売実績と評価
2020年時点で130万本超(Epic+Steam)。2025年現在、累計数百万本規模でロングテール継続中。フル版リリース後さらに販売数を増やしている。Unreal Engine 4から5への移行も行われ、グラフィック品質の向上。コンソール版のリリースにより、プレイヤー層が拡大している。
8. Core Keeper
・リリース日:
2022年3月早期アクセス、
2024年8月27日PCフルリリース、
2024年9月17日コンソール版(PS5/Xbox)
・ジャンル: サンドボックス・サバイバル
・開発スタジオ: Pugstorm(リンシェーピング、スウェーデン)
・パブリッシャー: Fireshine Games
・開発費想定: 低~中規模インディー
成功の背景
Pugstormが開発したCore Keeperは、2022年3月より早期アクセスが開始されたサンドボックス・サバイバルゲーム。プレイヤーは手掘りから始まり、採掘、クラフト、農業、自動化、戦闘を組み合わせながら、地下世界を探索します。『Minecraft』『Terraria』『Stardew Valley』の要素を融合させたゲームデザインが、多くのプレイヤーに受け入れられた。
販売実績と評価
早期アクセスで100万本超、フルリリース後Metacritic 85/100。2025年も安定売上継続、累計数百万本推定。Minecraft/Terraria融合のサバイバル要素がロングヒット。
Steam収益No.1を獲得したスウェーデン流ゲーム開発の強さとは?
なぜ、人口約1000万人の国が、世界中のゲーマーを熱狂させ、巨大な市場を席巻することができているのか。
本記事では、スウェーデンのゲーム開発の強さの秘密を「エコシステム」「財務戦略」「組織哲学」「マーケティング」の4つの側面から深掘りし、日本のゲーム産業が学ぶべき点を考察する。
第1部:スウェーデンの強さの秘密
スウェーデンが世界を席巻するゲーム大国となった理由は、単なる偶然や一人の天才の登場によるものではない。それは、90年代の国家戦略にまで遡る、壮大な社会実験の物語の賜物である。
1.成功を生み出す「エコシステム」:歴史が育んだ必然
スウェーデンの成功は、一朝一夕に築かれたものではない。約30年前に蒔かれた種が、官民一体の揺るぎない意志によって育まれ、必然として花開いた結果である。
すべての始まり:90年代の国家戦略「PCとインターネットを全国民へ」
物語は1990年代後半に遡る。スウェーデン政府と労働組合は、来るべきデジタル社会を見据え、驚くべき国家戦略を打ち出した。
それが、国民が安価にPCをリースできる制度の導入と、国策としてのブロードバンドインフラの全国的な整備である。
これは単なる経済政策ではなかった。「国民総デジタル化」とも言うべきこの壮大な社会実験は、スウェーデン全土に、世界で最も早く、最も安価で、最も高速なインターネット環境をもたらした。
結果、スウェーデンの子供たちは、物心ついた頃からPCや高速インターネットに触れる機会を得て、「デジタルネイティブ第一世代」と呼べる層が形成された。そのことが、現在のゲーム・IT産業の土壌の一部になったと考えられている。
産学連携による高度な専門教育
スウェーデンには、FuturegamesやThe Game Assembly、シェブデ大学など、世界的に評価の高いゲーム開発専門の教育機関が多数存在する。
これらの学校は、ゲーム業界と密接に連携し、常に最新の技術や市場のニーズをカリキュラムに反映させている。卒業生は即戦力として業界で活躍し、例えばFuturegamesの卒業生は、特定の年度の調査ではスウェーデンのゲーム業界従事者の約1割前後を占めるとも言われており、業界への供給源として大きな役割を果たしている。
強固な開発者コミュニティ
ストックホルム、マルメ、ウプサラといった都市には、開発者が集う活発なコミュニティが存在する。Game HabitatやEast Sweden Gameといった非営利団体がミートアップやイベントを主催し、開発者同士の知識共有やネットワーキングを促進している。
スウェーデン南部マルメには、ゲーム開発者向けのコワーキングスペース「Game Habitat DevHub」があり、新たな才能が生まれる揺りかごとなっている。こうしたコミュニティの存在が、コラボレーションやイノベーションを生み出す原動力となっていると言われている。
『マインクラフト』が拓いた道
スウェーデンのゲーム産業の歴史を語る上で、『Minecraft』(2011年11月18日リリース、PC/コンソール/モバイル)の存在は無視できない。世界中で社会現象を巻き起こしたこのゲームは、スウェーデンのゲーム開発者に大きな夢と可能性を示した。
個人や小規模なチームでも、世界的なヒットは生み出せる。
この成功体験が、多くの若者をインディーゲーム開発の世界へと導いたのだ。

成り立ちは Markus “Notch” Perssonが2009年にスウェーデンで立ち上げた、小規模インディー開発会社が出発点。最初はほぼ個人プロジェクトに近い形からスタートし、「未完成のアルファ版を安く売り、継続アップデートを約束する」スタイルで資金とユーザーを同時に集めたのが特徴的で、後のアーリーアクセス文化の先駆け的な存在になった。
2. 驚異の利益率を生む「財務戦略」
スウェーデンの強さを象徴するのが、Coffee Stain Groupだ。
彼らは2024/2025年度において、業界筋ではEBIT(利息・税金控除前利益:本業の収益力を示す指標)利益率50%前後との推測も飛び交う驚異的水準を記録したとされる。
これは、AAA企業の平均(20〜30%)を遥かに凌ぐ数字である。EBITと日本の会計基準である経常利益は異なるが、参照としてCoffee Stain Groupは日本企業のよりも効率的に利益を生み出していると予測されている。その背景には精密に設計された財務戦略が存在する。
「資本軽量」(Capital-Light)ビジネスモデル
最大の要因は、開発費用を極めて効率的に管理する「資本軽量」ビジネスモデルである。AAA企業が数億ドル規模の開発費を投じるのに対し、Coffee Stain傘下のスタジオは、一般的に数百万〜数千万ドル規模の比較的コンパクトな予算で開発を行っているとされる。
早期アクセス(Early Access)による資金調達
ゲームが完全に完成する前に、早期アクセスを通じてSteamで販売を開始する。これにより、プレイヤーから直接資金を調達し、開発リスクを大幅に軽減する。
『Valheim』(2021年2月2日早期アクセス開始、PC/Xbox)は、この戦略で販売開始から1年以内に500万本を売り上げた。
「リーン・スタジオ」モデル
『Valheim』はわずか5〜10人のチームで開発が始まったように、極めて小規模なチームで開発を行う。これにより、最大のコストである人件費を大幅に削減し、迅速な意思決定を可能にしている。
ロングテール戦略とパブリッシング事業
リリース後も3〜7年以上にわたってアップデートを続け、ゲームの寿命を延ばす「ロングテール戦略」で継続的な収益を確保する。さらに、自社で開発費用を負担しないパブリッシング事業も展開し、推定50〜70%という高い利益率を確保している。
スウェーデンのR&D税控除
スウェーデン政府は、研究開発(R&D)活動に対して社会保険料を軽減する優遇制度を設けている。対象となる従業員の社会保険料が最大で半減し、年間で数百万SEK規模の負担軽減につながるケースもある。Coffee Stain Groupのような開発集約型の企業にとっては、EBITを押し上げる一因となっていると考えられる。
給与費用の最適化
本社をカールスタッド(Karlstad)という地方都市に置くことで、給与費用を削減。スウェーデンのゲーム開発者の給与は、シリコンバレー(年間150,000〜250,000ドル)と比較して、約30〜50%低い。
マーケティング費用の削減
コミュニティドリブン・マーケティングにより、マーケティング費用を総投資の10〜20%に抑制。AAA企業が40〜50%をマーケティングに費やすのに対し、大幅な削減を実現している。
3. 創造性を最大化する「組織哲学」
スウェーデンのスタジオは、創造性を最大化するためのユニークな組織哲学を持っている。その核心は「権限委譲」だ。
事例1:Coffee Stain Group ─ 「自律的スタジオ」モデル
親会社は、傘下の13のスタジオに対して開発内容には一切干渉せず、「戦略的バックボーン」としてのサポートに徹する。各スタジオは、品質、納期、収益性に関して完全な責任を負うことで、「自分たちのゲーム」という強い所有意識を持つ。
事例2:Embark Studios ─ 「好奇心駆動」の開発体制
元DICEの幹部が設立したこのスタジオでは、ゲームビルドを常にプレイ可能な状態に保ち、チームが多くのアイデアを迅速に試すことが奨励される。「WE TRUST(我々は信頼する)」という原則のもと、開発チームに創造的な自由が与えられている。
事例3:Ghost Ship Games ─ 「オープン開発」
『Deep Rock Galactic』(2020年5月13日正式リリース、PC/Xbox/PlayStation)の開発元であるこのスタジオは、「全員の声が聞こえる」文化を重視する。
日々のミーティングや1対1の面談を通じて、職種に関わらず誰もが意思決定に参加できる。また、開発の初期段階からコミュニティを巻き込む「オープン開発」を実践している。
4. ファンを巻き込む「マーケティング革命」
スウェーデンのスタジオは、大規模な広告予算に頼るのではなく、プレイヤー自身がマーケティングの主役となる「コミュニティドリブン・マーケティング」を実践している。
これは単なるマーケティング手法ではなく、開発思想そのものであり、ゲーム業界における根本的なパラダイムシフトを示唆している。
コミュニティドリブン・マーケティングの5つの柱
1.透明性(Transparency)─ 開発プロセスの完全公開
スウェーデンのスタジオは、開発プロセスを積極的に公開し、プレイヤーとの信頼関係を築く。Ghost Ship Gamesの例を見ると、彼らは単に完成したゲームを発表するのではなく、開発の過程そのものをコミュニティと共有する。
具体的には以下のような施策を実施している:
週次の開発ブログ公開:
現在取り組んでいる機能、直面している技術的課題、デザイン上の意思決定プロセスなどを、スクリーンショットや短い動画を交えて公開。完璧な内容である必要はなく、試行錯誤の過程を見せることが共感を呼ぶ。開発者ライブストリーム:
毎週決まった時間に、開発者がゲームをプレイしながら、プレイヤーからのリアルタイムな質問に答える。これにより、プレイヤーは「開発者は自分たちの声を聞いている」という実感を持つ。失敗や課題の共有:
成功だけでなく、没になった機能、試したが上手くいかなかったアイデア、技術的な制約についても率直に説明。これが、プレイヤーに「このゲームは、私たちの意見を尊重して作られている」という信頼感を生み出す。
2.双方向性(Interaction)─ プレイヤーの声を製品に反映
スウェーデンのスタジオにおいて、プレイヤーからのフィードバックは、単なる「参考情報」ではなく、製品開発の核となる。
Discordを開発のハブに:
Ghost Ship Gamesは、Discordサーバーを設立し、プレイヤーは直接開発者にフィードバックを送ることができる。バグ報告、新しいアイデアの提案、ゲームバランスに関する意見など、あらゆる声がDiscord上で交わされる。「Community Ideas」チャンネル:
優れた提案は、公式の「#community-ideas」チャンネルで取り上げられ、開発チームが実装を検討する。実装されたアイデアについては、提案者の名前をゲーム内クレジットに記載するなど、特別な形で称賛される。フィードバックループの可視化:
「このアイデアは、プレイヤーからの提案に基づいて実装されました」というメッセージが、アップデートノートに明記される。これにより、プレイヤーは「自分の意見がゲームに反映された」という達成感を得る。
3.エンパワーメント(Empowerment)─ UGC(ユーザー生成コンテンツ)の奨励
スウェーデンのスタジオは、プレイヤーが二次創作を行いやすい環境を整備している。UGCは、最も強力なマーケティング資産だ。
MOD開発ツールキットの提供:
『Deep Rock Galactic』では、MOD開発用のツールキット(SDK)を提供し、プレイヤーが自由にMODを作成できる環境を整えている。ファンアート・動画配信の奨励:
ファンアートやYouTubeでのプレイ動画、Twitchでのライブ配信などに関するガイドラインを明確に提示し、プレイヤーが安心して創作活動を行える環境を構築。公式SNSでのUGC紹介:
優れたUGCは、公式のTwitter(X)やInstagramで積極的に紹介される。これにより、クリエイターのモチベーションが高まり、さらなるUGCの創出につながる好循環が生まれる。
4.継続性(Consistency)─ 長期的な関係の構築
コミュニティとの対話は、一過性のイベントで終わらない。継続的なコミュニケーションを通じて、長期的な関係を育む。
定期的なコミュニティミーティング:
月次または四半期ごとに、開発チームとコミュニティの代表者が「タウンホール」形式のミーティングを開催。ゲームの方向性、今後のアップデート計画などについて、オープンに議論される。ロードマップの共同策定:
次の大型アップデートやDLCの方向性について、コミュニティの意見を大規模に調査(アンケートや投票)。その結果を反映した開発ロードマップを公開し、「このゲームの未来は、自分たちの手で決める」という感覚をコミュニティ全体で共有する。年単位での継続サポート:
『Deep Rock Galactic』は、2018年の早期アクセス開始から7年間、継続的にシーズンアップデートを提供している。この長期的なコミットメントが、プレイヤーに「このゲームは、長く愛される」という確信を与える。
5.報酬(Reward)─ コミュニティへの貢献に報いる
コミュニティへの貢献に対して、金銭的ではない報酬を提供し、貢献意欲を高める。
コミュニティ大使(アンバサダー)プログラム:
コミュニティへの貢献度が高いプレイヤーを「大使」として公式に認定。彼らに、新規プレイヤーのサポート、イベントの企画・運営の一部を委任。限定のゲーム内アイテムや、開発者との定期的なオンラインミーティングへの招待などの特典を提供。ゲーム内での名誉:
優れた提案者、活躍したコミュニティ大使の名前をゲーム内に刻む(例:ゲーム内の施設や敵キャラクターに名前を付ける)。非金銭的インセンティブの活用:
限定スキン、特別なバッジ、ゲーム内通貨など、プレイヤーが欲しいと思う非金銭的な報酬を用意。
成功事例:「Rock and Stone!」文化の醸成
Ghost Ship Gamesが『Deep Rock Galactic』で実現した「Rock and Stone!」の事例は、コミュニティドリブン・マーケティングの成功を象徴している。
「Rock and Stone!」は、ゲーム内で採掘作業を完了した際に、キャラクターが発する掛け声だ。当初は、単なるゲーム内のボイスラインに過ぎなかった。しかし、開発チームがこの掛け声をコミュニティ内で積極的に使用し、公式SNSでも繰り返し使用することで、やがてReddit、Discord、Twitchなどのプラットフォーム全体に広がった。
現在、「Rock and Stone!」は、『Deep Rock Galactic』のコミュニティの合言葉となっており、プレイヤー間の強い連帯感を生み出している。新規プレイヤーが「Rock and Stone!」と言うと、ベテランプレイヤーが返す。この単純だが強力な儀式が、コミュニティの一体感を醸成し、プレイヤーを「このゲームのファミリーの一員」という感覚に導いている。
第2部:スウェーデンの代表的なゲーム会社
スウェーデンのゲーム産業の強さを理解するために、代表的な企業を詳しく見てみよう。
Coffee Stain Group ─ 「自律的スタジオ」の象徴
基本情報
・創業年:2010年
・本社所在地:スウェーデン・カールスタッド(Karlstad)
・従業員数:250人(2025年時点)
・傘下スタジオ数:13スタジオ
・上場:2025年12月11日、Nasdaq First North Premier Growth Market(ストックホルム)にスピンオフ上場
・年間売上やEBIT利益率の詳細な数値は、2025年末時点では限定的な情報しか公開されていない。ただし、『Valheim』『Deep Rock Galactic』『Goat Simulator』などのヒット作に支えられ、高い収益性を持つグループとして投資家から注目されている。
・資本金:IPO時のネットキャッシュポジション SEK 5億(約4500万ドル)
創業者・経営陣
Coffee Stain Groupは、スコーヴデ大学の学生9名によって創業された。創業者のAnton Westberghは、現在もCEOとして経営を担当している。
従業員数は250人と決して大規模ではないが、13のゲーム開発スタジオを傘下に置き、複数の世界的ヒット作を生み出している。特に注目すべきは、その驚異的な利益率だ。EBIT利益率が業界推定で高水準(〜50%前後と言われている)というのは、業界標準の20〜30%と比較して、極めて異例である。
傘下スタジオと代表作
Iron Gate Studio(設立当初は5〜10人規模、その後拡大)
・代表作:『Valheim』(2000万本以上)
・早期アクセス開始:2021年2月2日(PC/Xbox)
・特徴:ごく小規模なチームからスタートし、早期アクセスを通じて世界的ヒットとなり、累計2000万本以上を売り上げるに至った。
Ghost Ship Games(54人、デンマーク・コペンハーゲン)
・代表作:『Deep Rock Galactic』(1000万本以上)
・早期アクセス開始:2018年2月28日
・正式リリース:2020年5月13日(PC/Xbox/PlayStation)
・特徴:7年間にわたって継続的にシーズンアップデートを提供。「オープン開発」と「コミュニティドリブン・マーケティング」の実践者として知られている。
Tuxedo Labs(小規模チーム、マルメ)
・代表作:『Teardown』(300万本以上)
・早期アクセス開始:2020年10月29日
・正式リリース:2022年4月21日(PC/PlayStation 5/Xbox)
・特徴:Dennis Gustafsson創業者による革新的なゲームデザイン。
その他11スタジオ 『Goat Simulator』『Welcome to Bloxburg』『Satisfactory』(2024年9月10日正式リリース、PC)など、多くのヒット作を開発している。
50%利益率の秘密
この驚異的な利益率は、複数の要因が組み合わさることで実現している。
資本軽量ビジネスモデル:開発費用を500万〜2000万ドルに抑制し、早期アクセスを通じてプレイヤーから直接資金を調達する。これにより、銀行融資や投資家からの資金調達に頼ることなく、ゲーム開発を進めることができる。
小規模チームの効率性:
250人の従業員で年間1億400万ドルに近い成果を上げたとみられる。従業員一人当たり416,000ドルの売上は、業界平均の3〜5倍である。
ロングテール戦略:
ゲームのリリース後も3〜7年以上にわたってアップデートとDLCを提供し、ライフサイクルを延長。AAA企業が数ヶ月〜1年でサポートを終了するのに対し、Coffee Stainは継続的な収益を確保している。
パブリッシング事業:
開発費用を負担せずに、ゲームの売上から一定のパーセンテージを取得する事業モデル。推定50〜70%の利益率を実現している。
スウェーデンのR&D税控除:
スウェーデン政府は、研究開発(R&D)活動に対して社会保険料の軽減を含む優遇税制を提供しており、対象企業の負担を最大で半減させる効果がある。Coffee Stain Groupのような開発集約型企業では、数百万SEK規模の年間負担軽減が見込まれ、EBIT利益率を押し上げる一因となっている。これにより、スウェーデンのゲームスタジオは財務効率を高め、長期的な成長を支えている。
給与費用の最適化:
本社をストックホルムなど大都市圏ではなくカールスタッドに置くことで、オフィスコストや人件費を相対的に抑えている。スウェーデンのゲーム開発者の平均年収は、シリコンバレーのエンジニアよりも総じて低く、その分だけ固定費負担も軽くなる。
マーケティング費用の削減:
コミュニティドリブン・マーケティングにより、マーケティング費用を総投資の10〜20%に抑制。AAA企業が40〜50%をマーケティングに費やすのに対し、大幅な削減を実現している。
Embark Studios ─ 「好奇心駆動」の革新企業
基本情報
・創業年:2018年11月
・本社所在地:スウェーデン・ストックホルム
・従業員数:約300〜350人(2025年時点)
・親会社:Nexon Co., Ltd.(韓国)
創業者・経営陣
Embark Studiosは、2018年11月に設立された比較的新しいスタジオだ。創業者は、『Battlefield』シリーズの開発で知られるDICEの元幹部たちである。
CEOのPatrick Söderlundは、BattlefieldやBattlefront、Star Warsなどの大型タイトルの開発に携わった業界ベテランだ。企業スローガンは「The future belongs to the curious(未来は好奇心旺盛な者のもの)」であり、AAA企業の「安全性重視」とインディー企業の「リスク志向」を融合させることを目指している。
・代表作:『ARC Raiders』
・正式リリース:2025年(PC/PlayStation 5/Xbox Series X/S)
・開発チーム:およそ60人規模のチームで開発
・実績:サービス開始直後から数百万人規模のプレイヤーを獲得したと報じられている。
『The Finals』
・リリース日:2023年12月7日(PC/PlayStation 5/Xbox Series X/S)
・特徴:無料プレイ(F2P)の競技的シューター。継続的なアップデートと新シーズンの追加により、プレイヤーベースを拡大し続けている。
組織文化と開発体制
Embark Studiosは、以下の原則に基づいた組織文化を構築している。
常にプレイ可能な状態:ゲームビルドを常にプレイ可能な状態に保つことで、迅速なテストと反復を実現。完成度を求める前に、多くのアイデアを試すことが奨励される。
「WE TRUST(我々は信頼する)」の原則:開発チームに創造的な自由が与えられ、イノベーションの自由は「責任」と「学習」に支えられている。
小規模で機動力のあるチーム:『ARC Raiders』の60人のチームのように、意思決定が迅速で、各チームメンバーの声が直接ゲーム開発に反映される。
Ghost Ship Games ─ 「オープン開発」の実践者
基本情報
創業年:2016年春
本社所在地:デンマーク・コペンハーゲン
従業員数:54人(2025年時点)
親会社:Coffee Stain Group傘下
創業者・経営陣
Ghost Ship Gamesは、2016年にデンマークの6人のベテラン開発者によって設立された。現在は54人のチームに成長しているが、創立時の「全員の声が聞こえる」という文化を保ち続けている。
彼らが開発した『Deep Rock Galactic』は、Steam上で1100万本以上を売上し、Coffee Stainの傘下にありながらも完全な開発の自主性を保持している。
代表作:『Deep Rock Galactic』
早期アクセス開始:2018年2月28日
正式リリース:2020年5月13日(PC/Xbox/PlayStation)
売上:1100万本以上
ゲーム概要:深海の鉱山でモンスターと戦う協力型シューター
2018年2月28日の早期アクセス開始から、7年間にわたって継続的にシーズンアップデートを提供している。2022年には最も成長した年を記録し、新規プレイヤー100万人以上を獲得。2025年現在も月間アクティブプレイヤー数は継続的に増加している。
開発体制と「オープン開発」
迅速なテストを優先する開発プロセス:「ものを画面に表示するのを迅速に行い、ゲーム内で迅速にテストできる状態に到達する」ことを重視。「終わりのない会議とドキュメント作成」に陥ることを意図的に避けている。
全員が聞かれ、全員が製品に痕跡を残す文化:職種を超えた議論を奨励し、日々のスタンドアップミーティングと月次の1対1ミーティングを通じて、全員が自分の仕事について議論する機会を持つ。ジュニアデベロッパーからシニアリーダーまで、全員が意思決定に参加できる。
Discordを開発のハブに:Discordサーバーを設立し、プレイヤーは直接開発者にフィードバックを送り、バグを報告し、新しいアイデアを提案できる。優れた提案は実際にゲームに実装されることも少なくない。
「Experimental Branch」の活用:新しいアップデートは、まず希望者向けのテストブランチで公開。数千人のコアなファンがテストプレイを行い、フィードバックを提供してから、全プレイヤーに公開される。
コミュニティ内文化の醸成:「Rock and Stone!」というゲーム内の掛け声は、RedditやDiscord、SNSでの合言葉となり、プレイヤー間の強い連帯感を生み出している。
Paradox Interactive ─ 戦略SLGの専門家
基本情報
創業年:1995年(2004年に独立)
本社所在地:スウェーデン・ストックホルム
従業員数:500人以上(2025年時点)
上場:Nasdaq First North Growth Market
経営陣
CEO Fredrik Westerの指揮のもと、「ニッチな戦略SLG(シミュレーション・ストラテジー・ゲーム)」の専門パブリッシャーとして知られている。
Paradox Interactiveは、「ニッチな市場」に特化することで、大手企業との競争を避け、独自のポジションを築いている。複数の拡張パックを通じた長期的な収益化モデルも、Coffee Stain Groupのロングテール戦略と共通している。
代表作
『Europa Universalis IV』
リリース日:2013年8月25日(PC/Mac/Linux)
特徴:1453年から1821年までの世界史を舞台とした戦略SLG。複数の拡張パックで継続的に成長している。
『Crusader Kings III』
リリース日:2020年9月1日(PC)、2022年3月29日(PlayStation 5/Xbox Series X/S)
特徴:中世ヨーロッパを舞台とした大規模マルチプレイヤー戦略SLG。
『Stellaris』
リリース日:2016年5月9日(PC/Mac/Linux)、2019年2月26日(PlayStation 4/Xbox One)
特徴:宇宙を舞台とした4X戦略SLG。継続的なアップデートと拡張パックで、プレイヤーベースを拡大し続けている。
Avalanche Studios ─ オープンワールド・アクションの先駆者
基本情報
創業年:2003年
本社所在地:スウェーデン・ストックホルム
従業員数:320〜611人(グループ全体)
オフィス:スウェーデン2箇所、アメリカ1箇所
企業の特徴
Avalanche Studiosは、2003年に設立されたスウェーデンの老舗スタジオだ。「オープンワールド・アクションゲーム」の専門開発スタジオとして知られている。
代表作
『Just Cause』シリーズ
・第1作リリース日:2006年9月22日(PC/PlayStation 2/Xbox/Xbox 360)
・特徴:オープンワールド・アクションゲームの先駆者的作品。シリーズ化され、複数の続編が開発されている。
『Mad Max』
・特徴:映画『マッドマックス』をベースとしたオープンワールド・アクションゲーム。
King Digital Entertainment ─ モバイルゲームの巨人
・創業年:2003年
・本社所在地:スウェーデン・ストックホルム
・従業員数:2000人以上(2025年時点)
・親会社:Activision Blizzard(2016年に約59億ドルで買収)
企業の特徴と歴史
King Digital Entertainmentは、2003年にスウェーデンのストックホルムで創業されたモバイルゲーム開発企業だ。当初はブラウザベースのゲーム開発から始まり、後にモバイルゲーム市場へシフト。
2016年にActivision Blizzardに約59億ドルで買収され、Activision Blizzardの傘下企業となった。この買収額は、スウェーデンのゲーム企業の価値を世界に示す重要な出来事となった。
代表作:『Candy Crush Saga』
・リリース日:2012年4月12日(Facebook版)
2012年11月14日(iOS/Android版)
・実績:世界で最も人気のあるモバイルゲームの一つ。数十億ドル規模の売上。
・特徴:マッチ3パズルゲーム。シンプルながら中毒性の高いゲームメカニクスと、継続的なアップデートにより、長期間にわたってプレイヤーベースを維持している。

Fatshark ─ Warhammer IPの専門家
創業年:2007年
本社所在地:スウェーデン・ストックホルム
企業の特徴
Fatsharkは、2007年にスウェーデンのストックホルムで設立されたゲーム開発スタジオだ。「Warhammer」IPをベースとした高品質なゲーム開発で知られている。
代表作
『Warhammer: End Times - Vermintide』
リリース日:
2015年10月23日(PC)
2016年10月4日(PlayStation 4/Xbox One)

第3部:日本のゲーム産業が学ぶべきこと
スウェーデンの成功モデルは、日本のゲーム産業が直面する根本的な課題を浮き彫りにしている。単なる「参考にすべき点」ではなく、組織文化、経営哲学、そして業界全体の構造的な違いが存在する。本セクションでは、スウェーデンと日本の具体的な比較を通じて、日本がなぜこうなれないのか、そしてどうすべきなのかを詳細に分析する。
1. 「完璧主義」vs「迅速なテスト」:品質観の根本的な違い
スウェーデン:Embark Studiosの「常にプレイ可能な状態」
Embark Studiosでは、ゲームビルドを常にプレイ可能な状態に保つことが、開発の基本原則だ。これは、完璧さを求めるのではなく、「今この瞬間に、プレイヤーが何を感じるのか」を最優先にする哲学から生まれている。
『ARC Raiders』は、わずか60人のチームで開発され、リリース2週間で400万本を売上した。この驚異的な成功は、「完璧さ」ではなく「迅速さ」と「プレイヤーとの対話」の結果だ。
なお、スウェーデンのスタジオでは、以下のようなアプローチを取っている。
プロトタイプの早期公開:
開発初期段階から、プレイ可能なビルドをコミュニティに公開し、フィードバックを収集。反復的な改善:
完了度を求めるのではなく、小さな改善を繰り返し、市場の反応を見ながら方向性を調整。失敗からの学習:
バグやバランスの問題が発見されても、それを「学習の機会」と捉え、迅速に対応。
メモとして、中国ではオンラインゲームのクローズドβテストでも課金をすることが多かった。そしてクローズドβテストが終わり次第、ゲームをリセットすることもあったぐらいである。それでも課金を実装していたのは、これはテストだとあらかじめ提示しつつ、実際の課金率等の調査をしていたことと、資金調達をしながらもゲームの改善に資産を当てていくという運営スタイルだったからである。
当時日本でもβテスト中の課金を提案したことが何度もあったが、当たり前のように受け入れられ事はなかった。日本はそれほど潔癖だと言える。
日本:完璧主義と品質への執着
日本のゲーム開発現場では、「完璧なものを完成させてからリリースする」という完璧主義が根強い。これは、日本の製造業文化が背景にある。自動車産業や電機産業では、「完璧な品質を保証する」ことが企業の信用の源泉だった。ゲーム業界も、この伝統的な品質管理の思想を引き継いでいる。
日本のゲーム企業では、以下のような傾向が見られる:
品質管理の厳格さ:リリース前に複数の品質チェックを実施し、バグやバランスの問題を完全に排除しようとする。
開発プロセスの秘密主義:開発中のゲームの情報を極力公表せず、完成品として発表する直前まで隠す。
失敗への厳しい評価:バグが発見されたり、バランスの問題が指摘されたりすると、責任者が厳しく追及される傾向。
クランチ文化:完璧さを求めるあまり、開発期間が延長され、開発チームが過度な労働を強いられる。
なぜ日本はこうなれないのか?
日本の完璧主義は、短期的には品質を保証するが、長期的には以下のような問題を生み出している:
市場への対応の遅さ:完璧さを求めるあまり、開発期間が長くなり、市場のニーズが変わってしまう。
プレイヤーとの対話の欠如:開発プロセスを公表しないため、プレイヤーとの対話の機会が失われ、市場の声が反映されない。
イノベーションの停止:新しいアイデアを試す機会が減り、既存の成功パターンの繰り返しになる傾向。
クランチ文化による創造性の低下:過度な労働により、開発チームの創造性が低下し、新しいアイデアが生まれにくくなる。
市場からの要望の見落とし:完璧さを求めるあまり、市場が本当に求めているものが見落とされる。
日本企業が実装すべき変化
「完璧さ」から「適切さ」への転換:「完璧なゲーム」を目指すのではなく、「プレイヤーが楽しめるゲーム」を目指す。バグやバランスの問題は、リリース後のアップデートで対応することを前提にする。
「常にプレイ可能な状態」の導入:開発の各段階で、プレイ可能なビルドを作成し、チーム内でテストプレイを実施。早期段階からプレイヤーの反応を収集し、開発方向を調整。
・品質管理の再定義:
品質管理を「バグの完全排除」ではなく、「プレイヤーの満足度の最大化」に再定義。リリース後のアップデート体制を充実させ、継続的な改善を前提にする。
・失敗への寛容さの醸成:
失敗を「責任追及の対象」ではなく、「学習の機会」と捉える文化を醸成。開発チームが新しいアイデアを試しやすい環境を整備。
・クランチ文化の廃止:
完璧さを求めるあまり、過度な労働を強いることをやめる。ワークライフバランスを経営課題として位置付け、改善を推進。
2. 「権限集中」vs「権限委譲」:組織構造の根本的な違い
スウェーデン:Coffee Stain Groupの「自律的スタジオ」モデル
Coffee Stain Groupでは、傘下の13のスタジオに対して、極めて高い自主性を付与している。親会社は「戦略的バックボーン」としてサポートに徹し、開発内容には一切干渉しない。各スタジオは、品質、納期、収益性に関して完全な責任を負う。
このモデルの特徴:
小規模チームの意思決定権:『Valheim』を開発した5〜10人のチームが、ゲーム設計、マーケティング、アップデート計画に関して完全な決定権を持つ。
親会社のサポート機能:親会社は、財務管理、法務、グローバルマーケティング、流通ネットワークなど、スタジオが本来の開発に専念できるようにサポート。
失敗への責任:スタジオが失敗した場合、親会社は責任を追及するのではなく、「なぜ失敗したのか」を一緒に分析し、次のプロジェクトに活かす。
この体制により、各スタジオは「自分たちのゲーム」という強い所有意識を持ち、創造性を最大限に発揮することができる。
日本:厳格な階層構造と意思決定の集中
日本のゲーム企業では、厳格な階層構造が存在する。ジュニアデベロッパーから、シニアデベロッパー、リード、ディレクター、プロデューサーへと、複数の承認プロセスを経なければ、意思決定ができない。
典型的な日本のゲーム企業の意思決定プロセス:
ジュニアデベロッパーがアイデアを提案
シニアデベロッパーが検討
リードが承認判断
ディレクターが最終判断
プロデューサーが経営判断
場合によっては、さらに上位の経営層に報告
このプロセスには、数週間〜数ヶ月の時間がかかることが多い。
なぜ日本はこうなれないのか?
この階層構造は、以下のような理由で形成されてきた:
責任の明確化:誰が責任を取るのかを明確にするために、階層構造が必要とされてきた。
品質管理:各段階でチェックを入れることで、品質を保証しようとする思想。
年功序列文化:上位の者が下位の者を指導・監督するという伝統的な組織文化。
リスク回避:新しいアイデアや挑戦的なプロジェクトに対して、慎重な判断が求められる。
しかし、この体制は以下のような問題を生み出している:
意思決定の遅延:複数の承認プロセスにより、意思決定に数週間〜数ヶ月かかり、市場の変化に対応できない。
創造性の抑制:新しいアイデアが、複数の段階で「リスクが高い」という理由で却下される傾向。
当事者意識の喪失:ジュニアデベロッパーが、自分のアイデアが実装されることを期待できず、モチベーションが低下。
イノベーションの停止:既存の成功パターンの繰り返しになり、新しいジャンルやメカニクスが生まれにくくなる。
人材流出:創造性を発揮できない環境に不満を持つ優秀な人材が、海外企業や独立系スタジオに流出。
日本企業が参考にしたい変化点
・「小規模チーム」への権限委譲:
5〜10人の小規模チームに、ゲーム設計、マーケティング、アップデート計画に関する決定権を委譲。親会社は、サポート機能に徹し、開発内容には干渉しない。
・意思決定プロセスの簡略化:
現在の6段階の承認プロセスを、3段階程度に削減。例:提案者 → チームリード → プロデューサー
・「失敗」への寛容さ:
失敗した場合、責任者を追及するのではなく、「なぜ失敗したのか」を一緒に分析。失敗から学んだことを、次のプロジェクトに活かす仕組みを構築。
・親会社の役割の再定義:
親会社は、開発内容に干渉するのではなく、財務管理、法務、グローバルマーケティング、流通ネットワークなど、スタジオがサポートを必要とする領域に専念。
・年功序列から実力主義へ:
年齢や勤続年数ではなく、実績や能力に基づいて、意思決定権を委譲。優秀なジュニアデベロッパーが、早期にリーダーシップを発揮できる環境を整備。
3章:「共創」と「学習」:スウェーデンに学び、日本ゲーム業界が越えるべき壁
二つの異なるゲーム開発文化
ゲーム開発において、プレイヤーは「顧客」なのか、それとも「パートナー」なのか。そして、失敗は「責任問題」なのか、それとも「学習の機会」なのか。
この二つの問いに対する答えが、スウェーデンと日本のゲーム業界に横たわる、根本的な文化の違いを浮き彫りにする。本稿では、プレイヤーとの関係性と失敗への向き合い方という二つの軸から、両国のゲーム開発文化を比較し、日本のゲーム産業が直面する課題と、未来に向けた変革の道を考察する。
「一方通行」か「共創」か ― プレイヤーとの関係性の断絶
スウェーデンの「共創」モデル:プレイヤーは開発のパートナーである
スウェーデンのスタジオ、Ghost Ship Gamesが開発した『Deep Rock Galactic』は、「共創」モデルの成功を象徴する存在だ。彼らにとって、プレイヤーは単なる「顧客」ではない。ゲームの未来を共に創り上げる、かけがえのない「パートナー」なのである。
この関係性は、日々のコミュニケーションの中に息づいている。開発チームは毎日Discordに常駐し、プレイヤーからの質問に答え、ゲームの方向性について語り合う。
優れた提案があれば、数週間という驚異的なスピードでゲームに実装され、アイデアを出したプレイヤーの名前はクレジットに刻まれる。成功だけでなく、失敗さえも共有される。上手くいかなかった試みについて率直に説明し、「どうすればもっと良くなるか」をプレイヤーと一緒になって考えるのだ。
次のアップデートの内容を決めるのは、開発チームだけではない。プレイヤーの投票によってロードマップが共同で策定され、そのプロセスは完全に透明化されている。
このアプローチは、プレイヤーに「自分たちがこのゲームを創っている」という強烈な当事者意識を育む。彼らは単なる消費者ではなく、熱狂的なファンとなり、ゲームの伝道師となるのである。『Deep Rock Galactic』が1100万本以上を売り上げ、7年もの長きにわたり継続的なアップデートを実現できているのは、この強固な信頼関係があるからに他ならない。
日本の「一方通行」モデル:「売り手」と「買い手」の壁
一方、日本の多くのゲーム企業では、開発チームとプレイヤーの関係が「売り手」と「買い手」という一方向的なものになりがちだ。作り手は自らのアイデアを形にし、企業は完成した製品を「ぜひ買ってください」と一方的に発信する。テレビCMやプレスリリースがその代表例である。
この構造では、プレイヤーからのフィードバックは「クレーム」や「要望」として処理され、SNSでの批判に対して企業が一方的に対応方針を決定する。開発チームとプレイヤーが直接対話する機会は限定的で、問題が発生した際も、企業が決定した「対応方針」がプレイヤーに押し付けられる傾向になりやすい。
この「一方通行」の体制は、深刻な問題を引き起こす。自分たちの声が届かないと感じたプレイヤーはゲームから離れ、SNSでの批判は瞬く間に広がり、ブランドイメージを損なう。結果として熱狂的なファンコミュニティは形成されず、ゲームの寿命は短くなり、市場の真のニーズが見過ごされてしまうのだ。
「責任追及」か「学習」か ― 失敗への向き合い方の違い
スウェーデン:失敗は「学習の機会」と捉える
スウェーデンのスタジオでは、失敗を「学習の機会」と捉える文化が根付いている。『Deep Rock Galactic』の開発においても、多くの試行錯誤が行われ、上手くいかなかったアイデアについても、率直にコミュニティと共有されている。失敗は隠すものではなく、次なる成功への糧と捉えている。
このアプローチは、失敗の透明な共有、失敗からの学習の共有、そして次への活用というサイクルを生み出す。「このアイデアは上手くいきませんでした」と率直にプレイヤーに説明し、そこから何を学んだのかを共に考える。このプロセスが、開発チームとプレイヤーの間の信頼をさらに深め、より良いゲーム創りへと繋がっていく。
日本:失敗への厳しい評価と責任追及
対照的に、日本の企業文化では、失敗に対して厳しい評価が下され、責任者が追及される傾向が根強い。ゲーム業界も例外ではない。バグやバランスの問題が指摘されると、それを隠そうとする傾向が見られ、失敗の責任の所在が厳しく問われる。その結果、新しいアイデアを試すことが「失敗のリスク」と捉えられ、開発現場は萎縮してしまう。
この背景には、失敗を許さない「完璧主義」、責任の所在を明確にしようとする「責任文化」、そして上位者が下位者を厳しく評価する伝統的な組織文化が存在する。しかし、この体制はイノベーションの芽を摘み、失敗を恐れるあまり過度な労働(クランチ文化)を強いる。最終的には、開発チームの創造性を著しく低下させるという、深刻な副作用をもたらすのだ。
なぜ日本は変われないのか ― コミュニティ形成を阻む根深い課題
スウェーデンで当たり前のように実践されている「共創」と「学習」の文化が、なぜ日本では根付かないのか。その背景には、単なるノウハウの欠如ではなく、文化的・組織的な根深い課題が存在する。これらは、私自身も現場で何度も経験してきたことでもある。
1. コミュニティは「コストセンター」という認識
日本では、SNS運用やカスタマーサポートといったコミュニティマネジメント業務が、収益を生まない「コストセンター」と見なされ、投資が後回しにされるケースが後を絶たない。
スウェーデンの企業がコミュニティを「最も重要なマーケティング資産」と捉え、積極的に投資するのとは実に対照的だ。「片手間に誰かが担当し、炎上さえしなければ良い」という程度の認識では、専門的な人材は育たず、戦略的なコミュニティ形成など望むべくもない。
情報提供や対応において「平等」「公平性」という言葉が多用される傾向もあるが、時としてそれは、当たり障りのない対応に終始し、熱狂を生み出す機会を逸していることの裏返しでもある。
2. 「名物広報」の不在とインフルエンサーへの依存
かつて日本のゲーム業界には、企業の顔としてメディアやプレイヤーと深い関係を築く「名物広報」が存在した。しかし、その役割は、外部のインフルエンサーによる単発のプロモーションに取って代わられつつある。社内から継続的に情報を発信し、コミュニティとの信頼関係を築く機能が弱体化しているのだ。近年、社内広報の重要性が見直されつつあるが、その成功事例はまだ極めて少ない。
3. 開発者が絶対的な権力を持つ「職人文化」
日本のゲーム開発の現場では、ディレクターやプロデューサーといった開発者が絶対的な権力を持つ傾向が強い。これは、年功序列や終身雇用といった伝統的な雇用形態とも相まって、強固な階層構造を生み出している。その結果、広報担当者やプレイヤーからの意見が開発のトップに届きにくい、あるいは届いても軽視されるという構造的な問題は、今なお根強く残っている。
4. 「下手なものは出せない」という完璧主義とプライド
日本のクリエイターに根付く「下手なものは出せない」という職人気質も、コミュニティとの共創を阻む一因となっている。開発の初期段階や試行錯誤の過程をプレイヤーに見せることは「未完成品を晒す恥」と捉えられがちだ。この高いプライドと完璧主義は、かつては高品質な作品を生み出す原動力であったかもしれない。
しかし、プレイヤーの声がダイレクトにセールスに影響を与える現代において、それは「オープン開発」をためらわせる大きな心理的障壁となっている。
3-5. ユーザーと共創した成功事例の欠如
現状、日本では、開発の初期段階からユーザーと密にコミュニケーションを取りながら開発を進め、大きな成功を収めたという事例はほとんど知られていない。
成功体験が極めて少ないため、多くの企業がリスクを取って新しい手法に挑戦することを躊躇しているのが実情であるとも言えるかもしれない。
開発プロセスを共有する「共創」とは本質的に異なるが、フロム・ソフトウェアの『ELDEN RING』では意図的に情報の断片化を行い、プレイヤーの考察を促すことでコミュニティを活性化させたと言われている。
6. 言語・文化的な障壁
スウェーデンのゲーム企業の多くは、当初から英語でコミュニティと対話することで、世界中のプレイヤーを巻き込んでいる。一方、日本のゲーム企業は日本語でのコミュニティマネジメントに限定されることが多く、グローバルなコミュニティの形成が困難になっている。
また、日本語特有の「敬語」や「謙虚さ」といった文化的要素が、プレイヤーとの「対等な対話」を難しくしている側面も否定できない(かもしれないが、壁がある、などと言われたことはよくある)。
日本企業が実装すべき、真の変革
これらの根深い課題を克服し、日本のゲーム産業が再び世界で輝きを取り戻すためには、小手先の変化ではなく、組織文化の根幹にメスを入れる覚悟が求められる。
簡単なことではないと重々承知の上であるし、現場担当レベルだけでも解決できない課題ではあるが、参考までに書き出してみる。
1. 開発プロセスの透明化
完璧さを求める前に、試行錯誤の過程をプレイヤーと共有する文化を醸成すべき必要性がある。「失敗」や「未完成」を恐れず、それを学習の機会としてプレイヤーと共有することが、信頼関係の第一歩となりえる。
2. 意思決定権の下放
開発チーム、特にコミュニティマネージャーに、プレイヤーからのフィードバックに迅速に対応できるだけの権限を与える必要がある。承認プロセスを簡素化し、現場の判断を尊重する組織構造へと変革する必要性がある。
3. プレイヤーとの「対等な対話」
「企業→プレイヤー」という一方的な情報発信から、「企業とプレイヤーの共創」へと関係性を再定義することが求められる。プレイヤーを単なる「消費者」ではなく、ゲームを共に創り上げる「パートナー」として扱うやり方である。
いや、実際にここまで運用しているケースまでは見るが、結果的にその後の開発反映やユーザー同士の交流の課題が大きくのしかかってくることは間違いない。実際にものすごい工数がかかるのである。
4. 「失敗」への寛容さ
失敗を個人の責任問題として追及するのではなく、組織全体の学習の機会として捉える文化を醸成しなければならない。失敗事例をオープンに共有し、そこから得られた教訓を次に活かす仕組みを構築することが不可欠だ。
とはいえ会社はイチ開発者を守ってはくれないし、トラブルが起きても割と知らんぷりなケースが多い。じゃぁプロデューサーなりディレクターだけの権限ですべてを処理できるのか?というとなかなかそうもいかないので、ここは会社一丸となってコミュニティの在り方ややり方、サポート体制までを構築することを意識して設計しておくことが必要だとも言える。
あと現場権限を与えすぎて、ユーザーと口論してしまうケースも結構あり、権威性ある開発者を制止できないで消滅するケースもよく見られる。
5. コミュニティマネジメントへの戦略的投資
コミュニティマネジメントを「コストセンター」ではなく、ブランド価値と長期的な収益を生み出す「プロフィットセンター」と見なし、専門知識を持つ人材の育成と、十分なリソースの配分を行う必要はある。
6. グローバルな視点でのコミュニティ形成
日本語コミュニティだけでなく、当初から英語でのコミュニティ形成を視野に入れる必要がある。グローバルな市場で成功するためには、多様な文化背景を持つプレイヤーと対話する能力が不可欠だからだ。
「一方通行」の関係から「共創」のパートナーシップへ。そして、「責任追及」の文化から「学習」の文化へ。この二つの変革こそが、日本のゲーム産業が未来を切り拓くための、重要な鍵となるのである。
韓国や中国のライブゲームチームは割とこの辺りの情報戦に長けている人が多く、失敗事例も多いが積極的にSNSを開発者自身が活用している。この事例はもっとあってもいいと思うが、日本は権限がないとSNSすら禁止ということもあり、なかなか根深い政治的、文化的背景がありそうではある。
創造性を解放するエコシステムを創る
スウェーデンのゲーム産業の躍進についてある側面を見てきたが、こちらも成功と成長は単なる偶然ではなさそうである。
中国のゲーム企業が政府の厳しい規制という強烈な競争環境を生き抜く中で覇権を握るタイトルを生み出してきたのとは対照的に、スウェーデンの成功は、国やコミュニティが一体となって創造性を育んできた協力の産物であるとも言えそうだ。
中国企業の場合、国の施策によって強制的にグローバル展開をせざるを得ない背景があった。国内市場の規制が厳しい中で、海外市場での成功が企業の生存戦略となったのだ。その中で中途半端なものをリリースできないからこそ、高品質なものを作り上げるという戦い方の結果として、今日のグローバル覇権が存在する。
一方、スウェーデンの成功は、政府、教育機関、企業、そして開発者コミュニティが連携し、創造性を最大限に引き出す「エコシステム」を長年にわたって築き上げてきた必然の結果だ。
このエコシステムの中で、スウェーデンのゲーム企業は多様な成功モデルを確立している。約50%という高い利益率を誇ると言われる Coffee Stain Group、「好奇心駆動」を掲げる Embark Studios、「オープン開発」を実践する Ghost Ship Games、「ニッチ特化」戦略を貫く Paradox Interactive、オープンワールドの先駆者である Avalanche Studios、モバイル革命を主導した King Digital Entertainment、そしてIP活用に長けた Fatshark。これらの企業はそれぞれ異なるアプローチを取りながらも、共通の哲学を根底に持っている。
その哲学とは、「プレイヤーを信頼し、開発チームに権限を委譲し、継続的にコミュニティと対話する」
という一貫した姿勢であるのかもしれない。
このスウェーデンの事例は、日本のゲーム産業にとっても重要な示唆を与える。個々の企業の努力や、内部の政治、あるいは国の施策に依存するだけでなく、業界全体で人材育成、知識共有、そして新しい挑戦を奨励する文化を醸成していく必要があるのではないだろうか。
スウェーデン、そして中国のゲーム産業の成功は、それぞれ異なる背景を持ちながらも、グローバル市場で成功を収めるための具体的な知見を示している。創造性を解放し、持続的な成長を可能にするエコシステムの構築こそが、今後の日本のゲーム産業が参考にすべき道の1つなのかもしれない。
特に生殺与奪をすべてコントロールできるインディーゲーム業界こそ、取り入れていけるところから取り入れていきたい箇所かもしれない。
中国の成功的背景はコチラ