
あの「引き算」のその先。スピーカー線の端切れを真鍮製ジャンパーへアップグレードした話
前回の記事で、ヤフオクで仕入れてきたアルパインのクロスオーバーネットワーク「DLX-F2NW」をリアに導入し、EQの「引き算」によって極上の3D音場(センター抜き)が完成したという話を書いた。
その際、記事の最後の方にサラッとこう書いたのを覚えているだろうか。
ツイーターの出力端子「HI」から引き出したスピーカー線を細かく切って加工し、ジャンパ代わりにソケットへ突っ込んでおいた。
機能としてはこれで100%問題ない。音も狙い通りに出ている。
だが、DIY好きとして、あの剥き出しのスピーカー線の切れ端がソケットからピョコッと飛び出しているビジュアルが、どうにもずっと引っかかっていたのだ。
「もっとメカニカルで、耐久性もあって、見た目も美しいワンオフパーツにできないか?」
そう思い立ち、真鍮線を買った。
デジタルノギスで測る、コンマ数ミリの戦い
まずは「DLX-F2NW」のソケットにぴったり収まるサイズを割り出すため、デジタルノギスを取り出す。

慎重に計測した結果、割り出された数値がこちら。
全幅:約10.98mm
厚み:1.66mm


一般的な電子基板のジャンパーピン(数ミリ程度)に比べると、大電流を流すオーディオ用ネットワークだけあって、かなり極太で大柄なサイズ感だ。
この数値をもとに、真鍮線をラジオペンチで慎重に曲げていく。
ピンを外側からしっかりと跨いで挟み込めるよう、綺麗なアールを描くコの字型に整形。
出来上がったのが、この鈍くゴールドに光るワンオフの「真鍮製ジャンパーバー」だ。

さっそくネットワークのソケットへ差し込んでみると、コンマ数ミリの狂いもなく、パチンと気持ちよくジャストフィットした。

うん、スピーカー線の切れ端が刺さっていた頃に比べて、見た目のクオリティが跳ね上がった。これぞDIYの自己満足。
「HI接続だから、一生変わらない」という確信犯的オチ
ここで、カーオーディオに詳しい人なら「あれ?ジャンパーの設定変えたら音量バランス変わっちゃうじゃん」と思うかもしれない。
だが、マニュアルの回路図を確認すると。
このDLX-F2NWというネットワーク、仕様が非常に明快だ。
出力の減衰量は、スピーカーのプラス線を「どこの端子に繋ぐか」で物理的に切り替える仕組みになっている。
HI端子:0dB(減衰なし)
MID端子:ジャンパーONで-3dB / OFFで-6dB
LOW端子:-9dB
そう、我が家のシステムは、Jantzenのフィルムコンデンサ(4.7μF)を介して、すでに
「HI端子(0dB)」にガッチリと接続してセッティングが確定している。
つまり、このMID端子に自作の真鍮ジャンパーがON(-3dB)で刺さっていようが、OFF(-6dB)で抜けていようが、メインのHI回路には1ミリも干渉しない。音は一切、変わらないのだ。
今後どうセッティングを変更しようが、HI接続である以上、このジャンパーは一生関係がない。
つまりこの真鍮ジャンパーは、機能的な切り替えスイッチではなく、
「ここに一生挿しっぱなしにしておくための、最高にクールな保管場所(定位置)」
なのである。
自己満足の、その先へ
音が変わるわけではない。
外から常に見える場所でもない。
けれど、ふとした時にアンプやネットワークのカバーを開けた瞬間、この美しいアールを描いた真鍮のゴールドがメカニカルに収まっているのが見える。それだけで、このリアシステム全体の「完全完結感」が満たされるのだ。
引き算のセッティングで音場を追い込み、最後はコンマ数ミリの真鍮線で見た目の隙を埋める。
これだから、車いじりはやめられない。