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伊月一空の心霊奇話 ーそのいわく付きの品、浄化しますー 第1話

    【あらすじ】
    霊が視えることが悩みの静森紗紀しずもりさきは わけあって 一軒の骨董屋を訪れる。店の名は『縁えん』。その店は店主である伊月一空いつきいそらの霊能力で 店に並ぶ品たちの過去の縁を絶ち さらに新たな縁を結ぶという不思議な店であった。だが一空は 霊が視えない霊能者で──。
    霊が視えない凄腕霊能者 と 視たくないのに霊が視えてしまう女子大生が怪異を解く。


     その店は、いわくつきの品を浄化する、骨董店であった

    プロローグ

     暗闇の中、部屋の隅に髪の長い女が立っている。
     まるで、何かを訴えかけるような目で、こちらを見据えながら。
     顔も見たことがない、知らない女性であった。
     なのに、時折こうしてその女は姿を現しては、もの言いたげな目で見つめるのだ。

     また現れたの。
     あなたは誰。
     どうしてそんな目で私を見るの。

     そう女に問いかけようとしたが、声が出なかった。
     指一本、動かせない。
     金縛りだ。
     ゆっくりと、その女はこちらに向かって歩いてくる。

    「ひっ!」
     喉の奥から引きつった悲鳴が漏れるが、やはり声を出せない。
     女は一歩、さらに一歩と、身体を左右に揺らしながら近寄ってくる。
     何度現れても、私には何も。
    「何もしてあげられないの!」

     お腹の底に力を込め、振り絞るように、喉に絡みつく言葉を吐き出した。
     そこで金縛りが解け、紗紀さきはベッドから跳ね起きる。
     息が荒い。
     心臓がバクバクと鼓動を打っている。
     ひたいに滲む汗を手の甲で拭い、息を吸って吐きだした。

     恐る恐る、女が立っていた場所に視線をやる。
     女の姿は消えていた。
     ほっと胸をなでおろすが、再び紗紀は顔を強ばらせる。
    「まただ……」
     ベッドから降りた紗紀は、女が立っていた場所までいき、それ・・を拾った。
     白っぽい石で作られた、梅の花を模した簪。

     かなり古いものだと思われるが、その価値は紗紀には分からない。しかし、問題はそこではなく、簪は寝る前にきちんとローボードの上に置いたのだ。
     それがこうして床の上に落ちている。

     それも今夜だけではなく、決まってあの女が現れた後に落ちているのだ。
    「この簪、何かあるのかな」
     また怖い思いをするのが嫌で、手にした簪をローボードの引き出しの奥にしまい、ベッドに戻ろうと振り返った紗紀の口から,
    鋭い悲鳴が上がった。

    ー 第2話に続く ー 

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    #創作大賞2024 #ホラー小説部門

    第2話以降の記事

     
     
    ◆『霊能師・稜ヶ院冬弥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島社文庫) ◆よろしくお願いします😊

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