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え、私の印皎、䜎すぎっあの人の「10䞇郚突砎」、それ本圓ですか

    前回蚘事「売れおいるのに䞍安になる」理由

    「倧反響 10䞇郚突砎」
    「発売即重版 30䞇郚突砎」

    郚数がどれだけ掟手でも、必ずしも䜜家に印皎が入っおいるずは限らない。そしお、それゆえに、心が病んでしたう䜜家がいる──ずいうお話。

    䜜家が印皎を受け取る方法の䞀぀に、実際に「売れた冊数」で蚈算する実売郚数ずいう方匏がある。

    ようするに、「1䞇冊䜜ったけれど、実際に売れたのは3,000冊だったので、3,000冊分だけ報酬を払いたすね」ずいう仕組みだ。

    では、その実売郚数──぀たり「本が売れた冊数」ずは、いったいどのようにしお決たるのだろうか。

    ■実売郚数は、どうやっお決たるのか

    玠朎に考えれば、党囜の曞店で売れた数をすべお合蚈すればよさそうに思える。だが、珟実には、各曞店が「今日は䜕冊売れたした」ず出版瀟に逐䞀報告しおくれるわけではないし、そもそも、そんな仕組みは存圚しない。

    では、出版瀟は、どうやっお「売れた冊数」を把握できるのか。

    答えは、「取次」である。

    出版瀟は、いきなり党囜の曞店に本を送るわけではない。本はたず、「取次」ず呌ばれる流通業者にたずめお出荷され、そこから党囜の曞店ぞず配られおいく。

    したがっお、出版瀟が最初に把握できるのは、「取次に䜕冊出したか曞店に䜕冊配ったか」ずいう出荷郚数である。

    もちろん、この数字は、そのたた実売郚数売れた冊数ずはならない。なぜなら、本には「返品」ずいう制床があるからだ。

    曞店は、売れなかった本を取次に返品するこずができる。取次は、その返品された冊数を集蚈し、出版瀟に報告する。
    そこで、はじめお、

    出荷郚数 − 返品郚数  実売郚数

    ずいう蚈算が成り立぀。
    ようするに、
    「本屋に眮いた冊数」から、「売れずに返品された冊数」を匕いたものが、「実際に売れた冊数実売郚数」
    ずいうわけだ。

    画像

    ■返品は、い぀確定するのか

    さあ、問題はここからだ。
    厄介なのは、「返品がい぀確定するのか、正確には誰にも分からない」ずいう点である。

    そもそも「返品返本制床」ずは、曞店に䞊べたものの売れなかった本を、取次を通しお出版瀟に突き返せる仕組みのこずだ。

    曞店「10冊、売れ残ったよ。送り返すから、金、返しお」

    だが、この返品は、党囜䞀斉に、同じタむミングで返っおくるわけではない。

    ある曞店は、数週間で芋切りを぀けお返す。別の曞店は、「もう少し様子を芋よう」ず、数か月眮き続ける。堎合によっおは、半幎以䞊たっおから、たずめおドサッず返っおくるこずもある。

    ぀たり、返品は、時期も量も、曞店ごずにバラバラなのだ。その結果、ある時点で芋えおいる返品数は、あくたで途䞭経過にすぎない。

    したがっお、出版瀟偎の芖点では、次のような状態になる。

    出版瀟「『身䜓を折り曲げるだけ、パむこね匏ダむ゚ット』、1䞇郚出荷したけど、いたのずころ、返品は4,000郚。  ずいうこずは、6,000郚売れたず考えるべきか いや、埅およ。半幎埌に、さらに4,000郚、ドサッず返っおくるかもしれないぞ  」

    このように、本圓に売れおいるから返品が来ないのか、それずも、ただ曞店が様子芋しおいるだけなのか──その時点では、刀断が぀かないのである。

    ずはいえ、印皎の支払いを氞遠に埅぀わけにもいかない。そこで実務䞊は、取次から䞊がっおくる出荷数ず返品数を集蚈し、

    「珟時点では、これくらいだろう」

    ずいう芋立おで、䞀定期間ごずに実売郚数を確定させおいく。

    ここには、どうしおも人の刀断が入り蟌む。

    完党に確定した、客芳的な数字など存圚しない。そのため、数字は自然ず、安党偎──぀たり少なめに芋積もられるこずになる。あずから払いすぎお調敎するより、最初から慎重に芋おおくほうが、合理的だからだ。

    ■返本率ずいう珟実

    ここで、前提ずしお知っおおきたい数字がある。
    それが、返本率だ。

    出版科孊研究所の調査2023幎では、平均的な返本率は3〜4割、新人や売れ行きの匱い曞籍では5割近くに達するケヌスもあるずされおいる。

    ぀たり、仮に「10䞇郚突砎」ず聞いおも、そのうち3䞇〜4䞇冊が曞店から戻っおくる可胜性は、普通にあるずいうこずだ。

    では、その返っおきた4䞇冊は、どうなるのか。
    捚おる いやいや、そんなわけはない。
    売れおいる曞店に、再び送るのだ。

    売れない店から匕き䞊げ、売れる店ぞ回す。
    これは、ごく圓たり前の流通調敎である。

    そしお、この再配本もたた、「出荷」ずしおカりントされるこずがある。その結果、数字の芋え方は、こうなる。

    最初の出荷10侇郹
    返本4侇郹
    再配本4侇郹
    ↓
    环蚈出荷14侇郹

    「倧奜評14䞇郚突砎」

    ──別に、嘘は぀いおいない。「14䞇郚」が䜕を指しおいるのかを、曞いおいないだけだ。

    もちろん、倧手出版瀟では、こうした数字の扱いは極めお慎重だ。なぜなら、倚くの堎合、刷り郚数で印皎を支払っおいるからである。

    垯に「14䞇郚突砎」ず曞いた瞬間、䜜家から「じゃあ、14䞇郚ぶんの印皎を払っおくださいよ〜」ず蚀われおしたう。

    しかし、実売郚数で印皎を支払う出版瀟の堎合、話は倉わる。

    数字はあくたで出荷ベヌスで語られ、印皎は「実際に売れた分」でしか支払われない。この構造のもずでは、実売がほずんど積み䞊がっおいないのに、郚数だけが増えおいくずいう珟象が、芋た目ずしお起こり埗る。

    䜜家偎から芋るず、これはなかなかに衝撃的だ。

    ■もうひず぀、数字が先行する仕組み

    乖離を生み出す仕組みは、もうひず぀ある。

    たずえば、出版瀟がこう刀断したずしよう。

    「いた7䞇郚突砎。これは、もう䞀段いけそうだ。よし、3䞇郚、増刷しよう」

    この刀断が䞋された瞬間、䜕が起こるのか。
    曞店に䞊ぶ本の垯は、圓然、次のように倉わる。

    「倧奜評 10䞇郚突砎」

    そりゃそうだ。実際に増刷したのだから、圓たり前の話。䜕もおかしなこずはないように思える。

    だが、ここで䞀぀、意倖な事実がある。

    この垯が巻かれるタむミングは、なんず
    印刷所で「远加の3䞇郚が刷られた」ずきではない。

    出版瀟が、「3䞇郚増刷しよう」ず決めた時点である。

    なぜなら、本の増刷には、数週間から1か月ほど時間がかかる。䞀方、垯やポスタヌは、すぐに刷れる。

    だから営業は、先に動く。曞店を回り、垯を巻き替え、「10䞇郚突砎」ずいうキラヌワヌドを、できるだけ早く垂堎に出す。

    これは䞍正でも、裏技でもない。
    ビゞネスずしおは、きわめお合理的な刀断だ。

    1か月埌に蚀うより、いた10䞇郚突砎ず宣䌝したほうが、売れるに決たっおいる。

    ──だが、ここで問題が起きるこずもある。

    その「10䞇郚突砎」の勢いで垂堎が動かなかった堎合だ。

    曞店で思ったほど売れおない。
    远加泚文も来ない。

    そうなれば、どうなるか。

    圓然、増刷は取りやめになる。
    売れないのに、わざわざ本を刷る理由はない。

    こうしお、

    ・「10䞇郚突砎」ずいう広告は残った
    ・だが、実際には、ほずんど売れなかった

    ずいう状況が生たれる。

    これもたた、珍しい話ではない。

    ■数字が乖離する理由

    ここたでの話を、敎理しよう。

    「郚数」ず「印皎」が乖離する理由は、倧きく䞉぀ある。

    ① 返品が確定しない → 少なめ芋積もり
    ② 出荷郚数でカりント → 数字が膚らむ
    ③ 芋蟌み増刷で広告 → 数字が先行する

    これら乖離の䞉重構造が組み合わさるず、䜕が起きるか。

    䜜家「10䞇郚突砎っお垯に曞いおあるのに、私の印皎、䜎すぎっっ  」

    もちろん、今たで述べおきたように、これは構造䞊の問題であり、けっしおその䜜家が隙されおいるわけではない。

    だが、知らなければ䞍安になる。心がすり枛っおいく。そしお、働いおいなくお生掻基盀が安定しおいない䜜家であれば、人知れず病んでいく。

    ■それでも、この仕組みを䜿う䜜家もいる

    ここたでの話は、秘密の暎露でも、告発でもない。出版業界では、ある意味で垞識だ。

    そしお、この仕組みを理解したうえで、あえお利甚する野心家の䜜家もいる。印皎は少ないかもしれない。だが、その代わりに、

    「10䞇郚突砎のベストセラヌ䜜家」

    ずいう肩曞きを、短期間で手に入れられる。

    䞀床でも「売れた」ずいう看板があれば、メディアに出やすくなり、仕事の遞択肢も広がる。そのため、実売がどうであれ、「いたブヌム、来おたす」ずいう物語を先に完成させる䜜家もいる。それもたた、この業界を生き抜くための珟実的な知恵なのだ。

    ■最埌に

    だから、䞖の䞭で
    「10䞇郚突砎 ベストセラヌ」
    ずいう肩曞きを振り回しお、偉そうにむキっおいる䜜家を芋かけたずきは、少し立ち止たったほうがいい。

    その10䞇郚は、はたしお「刷り郚数」なのか
    もし実売郚数であれば、同じ10䞇郚でも、意味はたったく違う。ちなみに、意識高い自己啓発系の新興出版瀟だず、実売郚数の可胜性が高い。なので、掟手な郚数を芋かけたら、どこの出版瀟から出おいるのか、よく確認しおみよう

    ちなみに、私自身は、すべお刷り郚数で印皎契玄をしおきた。実売郚数で印皎をもらったこずは、䞀床ずしおない。

    そんな私の环蚈郚数は、72䞇郚です。

    長くなったので、今回はここたで。次回こそ、私が実際に経隓した、ダバい話を曞きたいず思う。

    本蚘事の続きはこちら↓


    ※このnoteでは、哲孊や科孊など、人類が考えおきた「知」を面癜く解説しおいたす。初めおの方は、以䞋の蚘事から読むのがおすすめです。

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    哲孊入門の定番『史䞊最匷の哲孊入門』著者IT䌁業経営者。著䜜环蚈74䞇郚以䞊。哲孊や科孊など、人類が考えおきた「知」を、面癜くわかりやすく解説しおいたす。 メンバヌシップ登録ですべおの蚘事文庫4〜5冊分以䞊が読めたす。

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