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ノヴェリスト(断片)

    ──ミウ・ラシヲン
    彼女の名を知らぬ者はいないと言っても過言ではないほど偉大なノヴェリストである。

    彼女は今日も馴染みのカフェー、ラ=チューヤにてブランデイを二滴ばかし垂らしたコーヒーを片手に万年筆を走らせていた。
    傍かたわらでは、食いかけのホリタッツォが苜蓿クローバー柄の皿の上で食われるのを待っている。
    窓際で、ダンカッヅォの蕾が開く。

    マスターのデオは「あんまり、こん詰めすぎるんじゃねェぞ。」と声をかけた。
    「ええ。」
    彼女は紫煙の輪を浮かべ、ペン先を黝あおぐろいインクに潜らせた。

    僕はそんな彼女を眺めつつ、ホリタッツォをかじる。
    マホガニーのテーブルに、粉糖が舞い落ちた。
    僕の向かいで、いやに長い手紙を書き続けていたサム・ダザイオが不意に顔を上げる。…………(欠)

    脳が労働放棄してしまった感が否めない。
    キャパシティ・オーヴァー性のゲーム・オーヴァーです。

    というわけで本日は、梶井基次郎の「遺稿」に憧れ過ぎた成れの果てみたいなものを冒頭に置いてみました。

    実は先日、美しき爆弾魔こと梶井基次郎の全集を購入した。
    そうしたらですね、「タイトル+断片」から始まって、「……(欠)」で終わる話がいくつも掲載されていたのだ。
    憧れちゃったんですね。
    まあそれ、遺稿だから成り立つものなのに、憧れちゃったんですね。

    だから、私も「遺稿」を書きたくなったわけだ。
    いや、もうそこからしておかしいのですがね。

    「遺稿を書きたいっていうのは一体どういう感情なんだい?」
    と聞かれても、どうにも説明がつかない。
    基次郎に憧れた、としかいいようがない。
    とはいえ私には、丸善にレモン型爆弾を仕掛けるだけの勇気もなければ、上野駅のホームから下のアーケードに向けて放尿するユーモア・センスもない。
    尿は便所で、する。
    極めて、ふつうだ。
    いや、ふつうの定義とは……ということを語る気力も今日はない!

    で。
    冒頭においたアレは現状、未完成原稿でしかない。
    だがしかし完成させずに放っておけば、熟成期間を経て、「断筆された遺稿」と呼ばれるようになる日がくるはずなのだ。
    今日はまだ「いや、お前死んでねえじゃん。何が遺稿だ!」
    とどやされるかもしれない。
    だが、いつかは遺稿になる。
    そんな日を想像して、グフグフと奇妙な笑いを浮かべる日があってもいいじゃない?

    では、今の私の状況をお話ししよう。
    いや、お話ししない。
    もう今日は何を言っても全部しみったれた言い訳になってしまうから。

    その代わりと言っちゃあなんだけど、スマートフォンに残されているメモを公開しよう。

    三浦しをんさん→ミウ・ラシヲン:ノヴェリスト
    太宰治→サム・ダザイオ
    森茉莉→モ・リマリ
    佐藤春夫→ウハルオ
    正岡子規→マサ・オカシキ

    カフェー→ラ・チューヤ(中原中也)
    のマスター→デオ(小林秀雄)
    カフェの人気メニュー→ホリタッツォ(堀辰雄)バウムクーヘンで生クリーム挟んだやつ
    カフェーに飾ってある花→ダンカッヅォ(檀一雄)夾竹桃(オレアンドリン毒)

    メモ(未編集)

    荒唐無稽な夢を見て、至極無謀なことを言う。
    まさにそれじゃないか。

    ああ。
    見えているのに書けないってのも、苦しいものだ。

    というわけで、やっぱり前言撤回でアレはいつか書き上げようと思う。

    その頃にはきっと、ラ=チューヤのホリタッツォも焼き上がっているはずだ。
    そうしたらそれを、ラシヲンと笑い合いながら喰らうんだ。

    そんな荒唐無稽な夢を見たっていいじゃない?
    夢は見るだけ、無料タダなのだから。……(欠)


    【言い訳】
    ミウ・ラシヲンだのホリタッツォだのってなんなんだよ、とお思いでしょう?
    これ、つい先日Xで散々垂れ流したアレです。
    深夜テンションで。
    反省はしています。
    ごめん。

    ↑
    【エッセイ】
    美しき爆弾魔こと梶井基次郎と私の出会いについてはこちら。

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    ゴミ

    ↑
    ゴミ

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    【エッセイ】
    回鍋肉

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    ゆきお様・解説
    世の中には素敵なお話がたくさんあるのに私のゴミを解説してくださいました。
    ありがとうございます。

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    ラブラドールの匂いで肺を満たしたいアラウンドサーティ。 9歳児に親育てされている本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、しつこく文字を掻き集める滑稽な姿を東京の片隅からお送りしております。 ※連載小説も基本的には一話完結として読める構成を目指しているので、おじけづくことなかれ。

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