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芋出し画像

生呜淘汰システム

    倢の続きを芋るには短くお、起きおしたうにはもったいない。
    䜕ずも蚀えない時間に目を芚たす。

    電線のムクドリは平垞通り。
    䜕の倉哲もない朝である。

    ただ、私はテレビの電源を入れるこずをためらい続けおいた。
    お雑煮の鰹出汁がコポコポず音を立お始める。

    それを飲んで目が芚めたら詊しなど䞀床たりずもないい぀ものコヌヒヌに湯を泚ぐ。
    曎に“ケ”らしさを深めおしたうこの銙り。

    ガヌずいう効果音がふさわしい皋に口を開け、錻の穎をかっぎらきあくびをひず぀。

    電線のムクドリは飛び去り、ギ゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚ずいう譊戒音の䜙韻だけが響く町内。

    窓越しに芋る、向かいの家のしめ瞄食りだけが“ハレ”を感じさせおくれる。
    しかし、それは同時に今日ずいう日が“平静”のメッキを斜されただけの詊緎の1日であるこずをたざたざず思い知らせおくる。

    トヌスタヌの䞭で膚れる逅を眺め぀぀、苊い息を肺の奥底から吐き出した。

    「おはよう」
    寝がけた声ず共にテレビの電源が入れられる。

    ──逅を詰たらせ  

    アナりンサヌの声はきちんず匔いの装いだが、その目は絶察に“蚀わんこっちゃない定期”をひた隠しにしおいるから私は絶察に画面を芳ない。
    ぷっくりず膚らむ四぀の長四角を睚み぀けおいた。

    遡るこず2日前、買い出しから戻るや吊や隣家方向から
    「ギ゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚」ず事件臭がぷんぷん挂う音声がもたらされる。

    怪しがりお寄りお芋るに、もず光る竹はなく、ゞャスナむゞャスト90歳隣家䜏人(蕎麊よりうどん掟)及び門束がひっくり返っおいる。
    その傍らには高圧掗浄機を構えるゞャスナむの息子マヌ君アラカン。
    い぀もの「裏目に出た芪孝行」の幎末幎始゚ディションである。

    ──デゞャノだ。
    今月初めにも䌌たような事件が起きおいた。

    実はマヌ君、぀いに念願のケルヒャヌの高圧掗浄機を賌入したのだ。
    アラナむがりッキりキでシクラメンを買っおきたのず同じ金曜日に。

    「今日はおふくろの誕生日だから  その、壁を  綺麗にしようず思っお  」

    ※シクラメン爆砎事件

    「阿錻叫喚地獄の䞡家顔合わせ」

    前回はあんなに反省の色を芋せおいたマヌ君が今日は反省どころか空前絶埌のドダ顔をしおいる。

    「今幎はケルヒャヌがあるから、おふくろがたた・・逅詰たらせおも安心 ガハハ」

    Whatホワヌッツ

    やめろ
    そういう問題じゃない。

    「あ、あの  たたっおこずは  」
    ず口走ったずころで私はピリッずした痛みに顔を歪める。

    斜め䞋から第九・第十肋骚に恚めしい芖線が突き刺さり、ギリギリずねじり蟌たれおいる。
    しかし気になる  
    でも、痛い  

    いやだめだ
    トランクの䞭の鶏肉が腐っちたう

      埌ろ髪は毛根もろずも消滅したが、鶏肉を無駄にせずにすんだわい。
    めでたし。

    こうしお埌頭郚曎地※毛髪なし、脇腹血たみれの私が垰宅するず、倩野がモッサモッサずメロンパン玍めの儀に勀しんでいた。

    【メロンパン玍めの儀】
    倧晊日に倧奜物のメロンパンを食べるこず。
    必ずその幎のベストオブメロンパンをひず぀だけ遞出。
    なお、䞉が日はメロンパンを食べおはならない。
    ──ずいう自分ルヌル。

    『倩野匏・新日本のならわし』(集呆瀟)

    倩野+メロンパンずきたらこれはもう事件発生の法螺貝がブォォォォオ→↗↓↗↗ブォォォォオ→↗↓↗↗ず吹き鳎らされおいるも同然。

    “ひさかたの”ずいえば光であるように、
    ルビィちゃんがチョコミントよりもあ・な・たを奜いおいるように  

    倩野ずメロンパンが同時刻に䞀぀屋根の䞋に存圚するずろくなこずがない。

    「ねえ ただでさえゎキブリの数の方が倚くお肩身が狭いずいうのにこの期に及んでゎキブリに貢ぎ物 もうゎキブリの芁塞ずしおここを開け枡す぀もりなの」
    「え」
    「もしやお前  GゎキKキングダム(ゎキングダム)の䜿者ではあるたいな」

    ここたで捲し立おおおいお私はトむレぞ走る。
    空腹ず尿意は人を狂わせるからな。

    党おを氎に流し、戻るず我が芁望に応えるかの劂く、倩野がメロンパンを詰たらせおいる。

    「っあヌヌヌヌ 死ぬかず思った 倉なずころに入った  」

    ──本日二床目のデゞャノだ。

    それは倉なずころでもなんでもなく気管だ。
    気管の身にもなりたたえ
    管蜄倖のメロンパンなんぞぶちこたれお唐突にむレギュラヌ察応させられおた挙句“倉なずころ”扱いずきたら。

    「俺に倉なものを入れるな 
    酞玠以倖のものを入れるな」

    「無論、パン」より気管の叫び

    私が気管なら間違いなくストラむキを起こすだろうよ。
    党く、垰省ラッシュの関越自動車道じゃあるたいし。
    詰たるな
    詰めお良いのはおせちのお重だけだろうよ、この時期は。

    ──逅にはよく泚意をしお  

    画面を芋おしたった。
    幞いアナりンサヌは映っおいない。

    しかし、今幎も生呜淘汰システムずしおの逅に挑む者数知れず。
    フラむングチャレンゞした者もいるず颚の噂で聞いおいる。

    突き抜けるような青空のもず、私は絶望しおいる。

    嗚呌  
    人はなぜ幎の初めに、運詊し的に呜をかけた審刀に挑んでしたうのか。

    私は焌き䞊がった逅を小束菜、サバむバヌ鶏肉、なるずずずもに腕に入れる。
    かしこたった“ハレ”の出汁を泚ぎ、食卓ぞず運ぶ。

    およそ䞀幎ぶりの雑煮に、私は恍惚ずしおいる。
    出汁に浞された焌き逅の銙ばしさ、なめらかな口圓たり  
    噛み締めるたびに深たる枩かな甘み  

    散々憂いおおきながら、私自身も果敢に挑んでいるではないか。
    呜をかけた黒ひげ危機䞀発に。

    ザリ  

      ん
      おお

    右奥歯にむず痒い空掞を感じる。

      詰め物が淘汰されちたった
    だがしかしちょうど良い  

    逅食っお歯の詰め物が取れた私は衣を着せおやる歯がないから単刀盎入に蚀う

    ──黒ひげ危機䞀発的に逅を䜿うな

    生呜淘汰システムずしおの逅に果敢に挑むこずなかれ

    党く、物心぀いたころから晎れやかな新幎ずいうものを味わった詊しがない。
    ある幎からはクリスマスあたりから我が憂鬱が始たるようになった。

    「来幎は  いく぀の呜が消えおいくのだろうか  逅で。」
    きらびやかなむルミネヌションを芋おも、豪華なディナヌで胃を満たしおも、挠然ずした䞍安ず掎みどころのない惧れはこびり぀いお消えおはくれなかった。

    クラスメむトどもが終業匏の日にサンタクロヌスからの莈り物を自慢しあう䞭、私だけが頭を抱えお
    「逅  逅  」ず唞っおいた。

    その数日埌、私は慣れぬ倜曎かしのあずのだるさのたたにテレビを眺めおいた。

    逅により淘汰された尊き呜にた぀わる原皿を厳かに読み䞊げたアナりンサヌ。

    今幎もか  
    胞が詰たりため息を぀こうにも出おいっおくれない。
    叀くなった酞玠が腐っおいく感芚を芚えた。

    この幎はいやに倚かったこずを蚘憶しおいる。
    たしか8人、䞀気に。

    しかし、これに続くニュヌスは驚くべき皋に無関係か぀底抜けに明るいものだった。
    䜕かはわからないが画面いっぱいにキラッキラの笑顔が映し出されおいたこずを芚えおいる。

    映像が切り替わるずそこには、厳かなたたのアナりンサヌの姿。
    しかし、声だけは矜぀きの矜の劂く匟んでいる。

    衚情ず声色の乖離に私は䞊々ならぬ恐怖心を芚えた。

    たすたす䞀月䞀日ぞの畏怖の念は深たっおいく。

    そのくせ今の私ずきたら、憂鬱な䞊に詰め物たでずれおコンディション極めお悪しきこずこの䞊ないずいうのに逅を貪っおいる。

    それもあたりの逅の矎味さに油断しお、必死すぎるハムスタヌの劂く詰め蟌んでいる。

    「生呜淘汰システムずしおの逅、私が物心぀いた時にはもうあったよ」
    「だから、お前が物心぀いた時に生たれおいなかった䞖代の方が倚くなっおきたんだよ。」
    「あらそう、ごめんなさいね。私も随分ず歳を食ったものだわね  」
    「淘汰される時は、蚘憶どもが走銬灯の劂く駆け巡るんだろうな  」
    「いいえ、迷える仔矊のようによ。」

    今日、鬌界でM-1が開催されたなら迷わず“来幎”の話をする。
    確実に爆笑をかっさらえるからな


    ↑
    マヌ君はゞャスナむ宅の埌ろに山小屋颚の家を構えおいる。
    ケルヒャヌの高圧掗浄機で近所のダンキヌず仲良くなった。
    ドむツ人䞊みにビヌルを愛する男。

    ↑
    気管には氎や食べ物を入れおはならない。

    ↑
    ●●の芁塞の算出方法はこちら。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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