メインコンテンツへスキップ
見出し画像

All-In Podcast 解説:Flock CEO Garrett Langleyが語る監視カメラとプライバシー

    概要

    All-In Podcastの今回のエピソードでは、ホストのJason Calacanis氏がFlock SafetyのCEOであるGarrett Langley氏を迎えました。米国で急速に普及する自動ナンバープレート読取装置(ALPR)をめぐる安全性とプライバシーの緊張関係について話し合っています。Flock Safetyは全米の多くの都市でカメラを導入しており、犯罪解決や行方不明者の発見に大きな成果を上げている一方、プライバシーへの懸念も高まっています。同社は顔認識や車内の撮影を行っておらず、保存期間を自治体が決定できる仕組みを提供しています。インタビューでは、最近の批判や破壊行為への対応、警官によるデータ悪用を防ぐ新しい監査ツール、AIの慎重な活用方針、ドローンの導入などが語られました。

    Flock Safetyの技術と全国的な普及

    Garrett Langley氏は9年前に「より安全な地域に住む」というシンプルな使命のもとFlock Safetyを創業しました。同社の中核技術は、車両が通過するたびに静止画を撮影し、ナンバープレートを読み取るというものです。時間の経過とともに機能は高度化し、ルーフラックやバンパーステッカー、へこみ、傷、ホイールキャップの有無まで検出できるようになっています。

    同社によれば、これまでにFlockのカメラが関与して解決した犯罪は100万件を超えており、発見された行方不明者は1万人を超えています。先週もアトランタで、盗まれた車の後部座席に2歳の子どもが乗っていた事件があり、アトランタ警察の尽力とFlockのカメラによって約1時間以内に子どもは無事保護されました。7月だけで行方不明者は約1125人、盗難車両は2万台を超えたということです。Flockは現在、米国全土で6000以上の都市に導入されており、それだけ影響力が大きくなったことで、プライバシーに関する議論も活発になっています。

    Flockはナンバープレートに加えて、車のへこみや色、メーカー・モデルも記録します。911通報では多くの人がナンバープレートを覚えておらず、車の目立つ特徴しか記憶していないことが多いためです。アトランタ近郊の殺人事件では、目撃者が覚えていたのは右後輪のハブキャップがないことだけでした。刑事は15分間の時間枠で「右後輪にハブキャップがない車」を検索するところから捜査を始め、働き詰めで犯人を特定しました。

    自治体が決定するデータ保持期間

    Flock Safetyは地方政府との契約が難しく、資金調達にも苦労しました。市議会が最終決定権を持つため、同社は昨年だけで1万回近い市議会に出席し、Flockが何をする会社で何をしない会社なのかを説明する専門チームを抱えています。

    データ保持期間について、Flockは従来30日をデフォルトとしていましたが、現在は7日に短縮しました。Langley氏は「90%の犯罪は7日間のデータ保持で解決できる」と述べ、その上で残りの10%こそがニュースになるような重大事件だと指摘しています。殺人事件では遺体発見までに数日かかるケースや、レイプ被害者が恐怖と羞恥心から911通報まで1週間かかるケースがあるためです。30日あればその大部分も解決できるとしています。

    州ごとの規制も進んでおり、ニュージャージー州では5年間の保持が義務付けられ、カリフォルニア州やワシントン州では上限が定められています。Langley氏は、技術プロバイダーとして強いデフォルトを設定しつつ、最終的には民主的に選ばれた市議会や州が判断すべきだとしています。

    こうした中、ACLUはデータ保持期間として48時間を提案しています。一方で多くの警官は30日間の保持を望んでおり、コミュニティは7日か14日で落ち着くだろうとCalacanis氏はみています。

    警察による悪用を防ぐ仕組み

    システムの悪用リスクについて、Langley氏は「権力のある立場には乱用がつきまとう」と認めています。カリフォルニア州では州データベースの不正使用が昨年7000件報告されており、警察への不信感を背景にFlockへの批判が高まっていることも理解したということです。

    Flockは以前から監査ログを提供していましたが、大規模な警察署では1日に1000人以上の警官が数千回の検索を行い、監査担当者が1人しかいない現実では不十分でした。そこで4か月前、同社は正常な利用パターンを学習し、異常を検出する「audit assistance」というツールを導入しました。例えば、特定の人物のナンバープレートを何日も連続して検索する行為は、ストーキングの可能性が高いです。正当な捜査であればホットリストに登録し、他の警官にも通知するはずだからです。

    このツールにより、ここ数週間で多くの不正警官が発見されました。ジョージア州の顧客警察署では9人の警官が解雇され、署長は公表をためらいませんでした。現在、この監査支援は必須機能となっています。Langley氏は「悪い警官を見つけて排除すべきだ」と断言しています。

    Jason Calacanis氏は、職務質問のたびに上司の承認を必要とするダブルキー方式のような仕組みを提案しました。Langley氏は大都市と小規模な町では負担が異なるため、一律のルールは難しいと応じつつ、引き続き悪用防止策を強化すると述べました。

    AI活用への慎重な姿勢

    Calacanis氏は、中国共産党による警察国家を例に挙げ、共産党が顔認識で人々を追跡し、ポイ捨てや声を荒らげるといった行動まで監視している現実に触れました。米国人がそうした光景とFlockやRingを重ねて警戒する中で、AIがその距離を縮めかねないという懸念を示しています。

    AIの活用について、Langley氏は「意図的に遅く進んでいる」と述べています。現在、予算や人手不足から911システムにAIを導入する動きがありますが、緊急通報でのAIの誤作動は人命に直結します。「911システムでAIが昼食の話を始めたら最悪だ」と警鐘を鳴らしました。

    Langley氏は、航空券の予約ではAIが午後7時便の代わりに午後4時便を予約しても影響は軽微だが、911システムをAIボットに切り替えるリスクは高く、制御する手段もないと述べました。Flock自身は911通話を扱っていませんが、実際にAIが大きく判断を誤った悪い事例も出ています。より賢い使い方としては、電話回線が完全に埋まっているときだけAIが応答するといった段階的な導入が考えられますが、現状は無造作に切り替える例が見られます。

    Flock自身も、特定の車両が住宅街をゆっくり巡回するパターンを検知するなど、AIで異常を発見することは技術的に可能です。例えば、車が家の前までゆっくり近づいては離れる動きを6回繰り返す場合、それがブリトーの配達なのか、下見なのかをAIで見分けることは可能です。しかし、「我々は疑わしさを定義する会社にはなりたくない」と述べ、映画『マイノリティ・リポート』のような犯罪予測に踏み込むつもりはないと明言しました。公共安全には常に人間が関与すべきであり、AIは犯罪解決の効率を上げ、誤認逮捕を減らす方向で使われるべきだということです。その際も、Flock自身や顧客だけが有効性を判断するのではなく、あえて機能を信じていない第三者が入り、適切な認証を行うべきだとしています。

    批判、撤退、再導入

    反対運動や破壊行為について、Langley氏はTikTokやInstagramで扇動された人々が重罪を犯している現実に心を痛めると語りました。オハイオ州かイリノイ州で逮捕された人物は15年から20年の懲役に直面しているということです。

    一方、Flockの導入を見送った都市も出ています。6000都市のうち約1%にあたる60〜70都市が撤退を決めました。その多くは、Flockが顔認識を行っているという誤解に基づくものでした。ある顧客は「ALPR facial recognition」とGoogleで検索し、競合他社のウェブサイトを見たことでFlockに顔認識があると誤解して解約しました。

    ワシントン州のある都市では、カメラを止めた翌週末に少年が撃たれて死亡し、車は逃走しました。隣の市がFlockを維持していたおかげで犯人は逮捕され、少年は助からなかったものの、家族は正義が果たされたと知ることができました。テキサス州オースティンでも2025年にFlockを更新しなかった後、10代の少年3人による銃撃事件が発生しました。Calacanis氏によると、オースティンでは銃を持つ人が多く、自身も銃を所持・携帯しているといいます。犯行はオースティン市内で行われ、3人は郊外へ逃走しました。メイナー警察署がFlockを使っていたため28時間後に15歳、16歳、17歳の3人が逮捕され、これをきっかけに再導入の議論が再燃しました。

    Langley氏は、説明責任を果たしたくない顧客には、そうしたツールを持たない競合他社に行ってほしいと語りました。すでに約20都市がカメラを再稼働させているということです。

    Calacanis氏は、カメラを引き倒す人々の妥当な懸念がどこから来るのか、Flockが発信方法をどう進化させてきたのかを尋ねました。Langley氏は自分の失敗を認め、この1年で人々のテクノロジーへの懸念を過小評価していたと振り返りました。また、Calacanis氏が長年の知り合いであるJamie Siminoff氏のRingについて、競合ではなく「フレンドリー」な存在だと述べ、アメリカでより安全なコミュニティを築くという同じ使命を持つと説明しました。Ringが紛失した犬を探せる機能を公開した際に反発を受け、機能を停止せざるを得なかったことにも触れ、テクノロジーの影響を丁寧に説明する必要を学んだとしています。Langley氏は、競合他社が監視ツールなしでより無謀に運営しており、いずれ追いつかれるだろうとも述べました。100人中99人は事実を説明されると「なぜこれが議論になるのか」と反応するというのが、Langley氏の実感です。

    Calacanis氏は、Flockがこの1年PR上の災難の中にあったと指摘し、Flockのコミュニケーション方法も大きく変更されたと述べました。Langley氏によれば、PR上の災難で最大の打撃を受けたのは社内の士気です。社員はXやRedditで、なぜ人々がこれほど怒るのかを理解できずにいます。Flockは9年間同じことをしてきたのに怒られ、やっていないことでも怒られていると感じているのです。

    一方で、この論争によって顧客との距離はむしろ縮まりました。ある警察署長はFlockを「DNA以来の最高の発明」と評したとLangley氏は紹介しています。事業は好調で、年初に追加資金を調達し、会社は成長を続けています。解約率は以前ゼロでしたが、現在は1%になっています。Langley氏は解約率をゼロに戻したいとし、そのためにはより良い発信と傾聴が必要だと述べました。

    Calacanis氏は、メディアが飽和した時代にはストーリーがすぐに拡散するため、CEOは先回りして問題を認め、率直に話す必要があると述べました。その例として、Zuckerberg氏とFacebookは、Instagramが若年層の摂食障害やSNS依存に与えた影響について常に後手に回ってきたと指摘します。XやTwitterにも、政治的なナンセンスや民主主義を覆そうとする動きといった、定量化された深刻な負の側面がありました。Zuckerberg氏は先週マニフェストを書き、AI革命に参加したいという利己的な事業上の必要がある一方で、AIで仕事を失う可能性に共感を示しました。ツールを使えば仕事を失わずに済むという考え方を示し、オープンソースが全員に利用可能になり、他社が月数千ドルで提供するエージェントや無料のAIを提供すれば、競争条件が平準化されるという見方を示したとCalacanis氏は述べています。

    また、Calacanis氏は先週Tucker Carlson氏がFlockをこき下ろしたと指摘し、Tucker Carlson氏のポッドキャストに出演するために連絡を取ったかと尋ねました。Langley氏は、それは自分の手札にはないと思うと答えました。Tシャツが好きだというLangley氏は、今回は司会者のためにポロシャツを着てきたといい、今朝はToday ShowとGood Morning Americaに出演したと述べました。コミュニティが聞いている場所へ行き、意味ある会話をしたいとしています。

    ドローンによる新たな安全インフラ

    ドローン事業はFlockで最も急成長している部門です。ドローンは通常、警察署や消防署の屋上に設置されたドックに常駐し、911通報を受けると警官より先に現場へ向かいます。時速60マイル(約97キロ)で飛行し、1分以内に到着、40倍の光学ズームで状況を確認できます。

    LPR事業は将来見込み収益の50%弱を占める大きな事業ですが、Flockはドローンに加えてライブビデオカメラやソフトウェアも手がけています。

    ダラス・フォートワース近郊では、深夜のガソリンスタンドで「銃を持った男が歩き回っている」という通報がありました。Langley氏はテキサス州では武器を所持すること自体は違法ではないと述べ、Calacanis氏は振り回すことは認められていないと指摘しました。従来なら警官が緊急走行して緊張した対峙になるところでしたが、ドローンが確認したのは銃ではなくライターでした。通報者に「大丈夫です、ただのライターです」と伝え、事なきを得ました。

    ドローン運用の透明性について、Flockは監査ログや飛行記録を確認できる透明性ポータルを提供しています。飛行記録の公開方法など、業界としてのデフォルトを今後決めていく必要があるということです。連邦規制は航空安全以外には存在せず、州や市のルールもまだ整備途上です。

    サンフランシスコの変化と「Flock効果」

    Langley氏は、サンフランシスコでの自動ナンバープレート読み取り装置の導入により犯罪が減少し、盗難車も減った「Flock効果」に言及しました。Langley氏は、この変化をFlockだけの成果ではなく、より強力な選挙で選ばれた役人、法執行の強化、強い警察署長、強い地方検事、安全を求めるコミュニティによるものだと説明しています。Langley氏はサンフランシスコを米国でも最も優れた都市のひとつだと述べ、Calacanis氏はもともとリバタリアン的でプライバシーを重視し、互いの生き方を尊重する文化があると指摘しました。それは「サマー・オブ・ラブ」や鉱山町としての歴史に由来し、自分らしさを自由に表現する文化を育んできました。盗難についても「なぜ盗むのか、子ども時代に何があったのか」と考える風潮があるといいます。一方で、サンフランシスコの富裕層は自宅警備、警備員、専属運転手、個人警備を備えており、犯罪に直面する現実とは距離があることも議論されました。

    プライバシーと安全の共通点を求めて

    Langley氏は「プライバシーだけを見る人も、安全だけを見る人も、どちらも間違っている」と言います。安全はMaslowの欲求階層の根幹にあり、政府が市民に平等に提供すべきものです。肌の色や経済力、性別によって感じる安全性が異なる現状を指摘し、Flockはその格差を埋める手段だと述べました。

    Calacanis氏は自身のプライバシーと安全のバランスについて、ナンバープレートデータの保持を2週間から30日程度までなら許容できると述べました。一方で、顔認識や全国的なFlockデータベースには反対だとしました。

    Langley氏は、イリノイ州でかつてFlockに強く反対していた政治家が、自宅への銃撃事件をきっかけに態度を変えたエピソードを紹介しました。その政治家は現在、Flockの最大の支援者の一人になっています。「暴力の被害者になるタイミングは選べません。誰もが悪いことが起きたときには正義を求める」と語りました。Langley氏は、こうした対話が安全とプライバシーを両立させる実りある議論につながってほしいと述べ、少数派が社会をより不安全な方向へ導くことを許すべきではないと話しました。

    最後にCalacanis氏は、コミュニティが自ら保存期間や運用の有無を決められることこそが重要だと強調し、Flockがその選択肢を提供し続けることを期待すると締めくくりました。

    ▶ 同じシリーズの前回: All-In Podcast 2026年8月15日 Anthropicの2兆ドルIPO──ZuckerbergのAIマニフェスト・NvidiaのGPUファイナンス・Grokの追い上げ https://note.com/yondo/n/n977524429dcf

    ▶ このテーマの記事をまとめ読み: マガジン「米国株とマーケットの論点」 https://note.com/yondo/m/mb4ec8df94ddb

    #AI開発 #ポッドキャスト #AllInPodcast #All -InPodcast #FlockSafety #ALPR #プライバシー #監視カメラ #警察 #自治体 #AI #ドローン #911 #監査ログ #データ保持 #JasonCalacanis #GarrettLangley #Ring #JamieSiminoff #サンフランシスコ #ACLU #Flock効果 #Zuckerberg #TuckerCarlson

    あなたへのおすすめ