
作者のEA稼働レポート(2026年7月版)
「ゴゴジャンでEAを売っている人は、自分でもそのEAを回しているんだろうか」
販売ページのきれいなバックテスト結果を眺めながら、そんな引っかかりを覚えた方はけっこう多いと思います。
私はその疑問に毎月答えるつもりで、自分のプライベート口座の実績をそのまま公開しています。
申し遅れましたが、私は裁量トレードが超絶下手です。チャートとにらめっこしても勝てた記憶がほとんどなく、自分の相場観に賭けなくていいFX自動売買を主戦場に選びました。(よかったらこちらの記事も読んでください)
今はSE時代の経験を頼りに自分でEAを作って回していて、そのいくつかはゴゴジャンでも販売しています。
この記事は、その自作EAたちの2026年7月の稼働レポートです。
7月は10通貨ペアのうち1つがマイナスで着地しています。
それでも月間の合計は先月を上回りました。中身を順番に見ていきます。
📊 プライベート運用レポート(7/1〜7/31)
2026年7月1日から7月31日までに決済が完了した取引は177件。うち勝ちトレードは157件、勝率は88.7%でした。複数のEAを組み合わせたポートフォリオ全体の合計はこちらです。
7月度 合計: +1,745.4 pips

💡 pips(ピップス)は、為替レートが動いた幅を測るものさしです。通貨ペアや取引量が違うと損益の「金額」は横並びに比べられませんが、pipsなら「値動きをどれだけ取れたか」を同じ土俵で比較できます。なおこの集計は「取引終了日」基準で、エントリー日ではなく決済が終わった日でその月に振り分けています。月をまたぐポジションがある以上、基準を決めておかないと数字がブレるからです。
勝率88.7%には一言添えさせてください。9割近く勝つと聞くと強そうに見えますが、これはEAの決済ルールの性質によるものです。
小さな利益を数多く積み重ねる作りにすると、勝ちの「回数」は自然と増えます。
逆に言えば、勝率の高さが利益を保証してくれるわけではありません。100回のうち99回勝っても、残り1回の負けが99回分を上回れば合計はマイナスです。
実際、今月のAUDUSDでは1本で-110.6 pipsの損切りが出ています。勝率は「そのEAの性格の説明」であって、成績の約束ではない。そのくらいの距離感がちょうどいいと思います。
今月はマジックナンバー(EAごとに割り振る識別番号のようなもの)単位で29系統を並行稼働させました。稼ぎ頭はEURJPYが+292.1 pips、GBPUSDが+265.3 pips、GBPJPYが+160.6 pips。必殺の1本に全部を託すのではなく、小さな担当者を29人並べているイメージです。
🔍 唯一マイナスだったAUDUSDの話
では、今月唯一マイナスで終わったAUDUSDの中身です。
6月5日にエントリーした買いポジション2本を、7月15日に決済しています。この2本がそれぞれ-99.6 pipsと-110.6 pipsの損切りになりました。同じ日に7月1日エントリー分の+103.7 pipsと6月23日エントリー分の+10.8 pipsが決済されて一部を相殺し、7月のAUDUSD合計は-95.7 pipsで着地。約40日持ち続けたポジションの手仕舞いです。
「40日も持つの? それは塩漬けでは?」と思われた方もいると思います。
まず、損切り自体は想定内の動作で、EAが壊れて暴走した結果ではありません。
そして40日という保有期間は、私が扱っているEAが含み損を抱えている間もロットを増やさない設計だから成立しています。
ナンピン(含み損が出るたびに買い増して平均取得価格を下げるやり方)で枚数を積み増す作りだと、40日も付き合う間にポジションが膨らみ、証拠金(取引に必要な担保のお金)がもちません。ロットが増えないからこそ時間をかけて手仕舞えるわけですが、代わりにその間の資金は寝ています。
両面のある性質です。
そして今回いちばんお伝えしたいのはここです。1つの通貨ペアが約100 pips沈んでも、月間の合計は+1,745.4 pipsで着地しました。
これが分散運用の実際の効き方です。
分散していれば負けないという話ではありません。負ける場所は必ず出ます。
大事なのは、出たときに全体を巻き込まずに済むかどうか。今月のAUDUSDは、その実例になったと思っています。
🌏 7月の相場所感
相場の背景にも、確認できた範囲で触れておきます。ここから先は予想ではなく、7月を振り返っての所感です。
日銀は7月30日から31日の会合で、政策金利1.0%の据え置きを決めました。決定は8対1で、1人が1.25%への利上げを主張して反対しています。6月の会合で利上げに踏み切った直後で、その影響を見極める段階だったようです。
米国も7月28日から29日のFOMCで3.50〜3.75%の据え置きを決定。こちらは9対3で、3人が利上げを主張しての据え置きでした。英中銀も7月29日までの会合で政策金利3.75%を据え置いていますが、6対3で3人が0.25%の利上げに票を投じています。3つの中央銀行がそろって「据え置き、ただし内部では利上げを求める声が増えている」という形になった月でした。
為替のほうは、月末の7月31日にドル円が一時160円台をつけたあと158円台まで急落する場面がありました。日本の通貨当局による円買い介入とみられる動きが背景にあったと報じられています。月末に大きく振れた月だった、という程度に受け止めています。
今月GBPUSDとGBPJPYが上位に来たことと、値幅が出やすかった環境は無関係ではないのかもしれません。ただ、断定はできません。AUDUSDが沈んだ理由を相場材料で説明するのも、今回はやめておきます。豪ドル側の材料を裏取りしきれませんでしたし、結果が出たあとから理由を貼り付けるのはあまり誠実ではないと思うからです。
今月の相場格言は「卵は一つのカゴに盛るな」。
卵を1つのカゴにまとめて入れると、そのカゴを落とした瞬間に全部割れてしまう。だから分けて持ちなさい、という昔からの教えです。
今月のAUDUSDは、まさに落としたカゴの1つでした。
最初の図に、今月の形がそのまま出ています。
EURJPY・GBPJPY・GBPUSDの3本が右へ大きく伸びて全体を引っ張り、EURGBPやEURAUD、AUDCHFといった短い棒がコツコツ足し算をしている。
そして、AUDUSDの1本だけが左に伸びています。
この「1本だけ左に伸びた棒」が、私にとっては今月いちばん大事な絵でした。あんなに悩ましかった40日と-110.6 pipsが、グラフの中では小さな出っ張りに収まっています。
29系統のEAを並行稼働させているのは、この形を作るためです。
特定の1戦略、特定の1通貨ペアに賭けていないので、どこか1本が折れても絵全体は崩れません。
こうした運用は、正直まったく華やかではありません。SNSで伸びる「1発大逆転」の話にもなりません。じわじわ、コツコツ、基本はほったらかし。積み上がった地味の合計が、今月は1,745.4 pipsという形になった。それだけの話です。
🔁 マーチンゲール不採用、安全・安定・放置というコンセプト
毎回書いていることですが、今月はちょうど手元に具体例があるので実例つきで。
私が扱っているEAは、マーチンゲールを採用していません。負けるたびに次の取引のロット(取引量)を倍にしていき、1回勝った時点でそれまでの負けをまとめて取り返そうとする手法のことです。
うまく回っている間の資金曲線は惚れ惚れするほどきれいですが、外れが続いたときに口座が一瞬で溶けます。
ここで先ほどのAUDUSDを思い出してください。
もしマーチンゲール型の設計だったら、あの40日の間にロットが積み上がっていたはずです。-110.6 pipsで済んだ損切りが枚数の分だけ何倍にもなり、月間プラスどころではなかったかもしれません。
同じ相場でも設計次第で結末が変わる、分かりやすい例だと思います。
目指しているのは「安全・安定・放置」です。一撃で当てにいくのではなく、無理のないロットで長く付き合える形を保つこと。裁量で消耗しきった過去がある私には、これがいちばん続けられるやり方でした。
⚠️ 免責事項
最後に、大事なことを書いておきます。
この記事の数字は、2026年7月1日から7月31日までに決済が完了した取引を取引終了日基準で集計した「過去の実績」です。
過去にこうなったという記録であって、今後同じ結果になることを保証するものではありません。
相場環境が変われば結果も変わり、月間でマイナスになる可能性も当然あります。今月AUDUSDが1ペア沈んだように、来月は全体が沈む月かもしれません。
EAの導入や運用の判断は、最終的にはみなさんご自身の責任で行っていただくものです。
私が出せるのは判断材料としての数字だけで、その先の決断まで肩代わりはできません。
🔗 同じように運用してみたい方へ
今回登場したEAたちは、GogoJungleで実際に販売しています。
毎月こうしてプライベート口座の中身を公開しているのは、「本人が実際に使って結果を出しているのか」をみなさん自身の目で確かめてもらいたいからです。
きれいなバックテスト曲線だけでなく、40日間の含み損や損切りも含めた生の数字を見たうえで判断してもらったほうが、お互いに気持ちがいいと思っています。
気になった方はGogoJungleの出品ページも覗いてみてください。
出品ページではMapleがナンピン系、Churrosが変形グリッド系手法を用いているEAになります。
📚 参考にした情報源(7月の相場背景)
· 当面の金融政策運営について(2026年7月31日 / 日本銀行) https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260731a.pdf
· 日銀、政策金利1.0%に据え置き決定 成長率見通しは上方修正(日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB310PN0R30C26A7000000/
· FRBが金利据え置き、3人が利上げ主張し反対 議長「必要なら行動」(日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN280450Y6A720C2000000/
· 米FOMC(26年7月)-市場予想通り、政策金利据え置き。3名の地区連銀総裁が利上げに投票(ニッセイ基礎研究所) https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=86405?site=nli
· Bank Rate maintained at 3.75% - July 2026 Monetary Policy Summary and Minutes(Bank of England) https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy-summary-and-minutes/2026/july-2026
· ニューヨーク外国為替市場概況・31日 ドル円、3日続落(ザイFX!) https://zai.diamond.jp/articles/-/493237