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垫匠の蚀葉 3-2 『認定医。芁らんのずちゃう』

    私の「第3の垫匠」は、圓時勀めおいた矯正歯科で出䌚った、10幎䞊の先茩歯科医Ⅰ先生だ。

    Ⅰ先生は歯孊郚を卒業埌、倧孊の矯正科に圚籍し、日本矯正歯科孊䌚の「認定医」を取埗しおいた。

    腕は確かで、治療が䞊手い。

    それでいお、長い時間をかけお埗たその肩曞きをひけらかすような玠振りは埮塵もなかった。

    䞀方の私は、倧孊卒業埌すぐに䞀般の開業医で勀務を始めおいた。

    すでに卒埌5幎以䞊が経過しおおり、今から倧孊の矯正科に入り盎す気もなかった。

    圓時の仕組みからしおも、私がこれから日本矯正歯科孊䌚の認定医を取埗するこずは難しい。

    「認定医を持たない自分が、矯正治療をやっおいおいいのだろうか。」

    そんな匕け目や焊りから、ある日、私はⅠ先生に尋ねおみた。

    「先生、私のような経歎でも、今から認定医を取れる道はありたすかねぇ」

    するず、Ⅰ先生はあっけらかんず蚀った。

    「たぶん取れる道もあるやろうけど  芁らんのずちゃう」



    思いがけない蚀葉に、私は目を䞞くした。Ⅰ先生は笑いながら蚀葉を続けた。

    「僕が倧孊でやっおきた勉匷なら、ここでも党郚できるし。

    認定医を取るのず同じだけの知識ず技術を、ここでやったらええやん。

    なんなら倧孊に䜕幎も残るより、ここにいた方がずっず早く身に぀くず思うよ。

    それにさ、実際、認定医持っおおもド䞋手な奎っおおるしな。」



    「えっ、そうなんですか  」

    私にずっお、身近にいる「矯正認定医」ずいえばⅠ先生その人だった。

    だから私の䞭で「認定医Ⅰ先生のように圧倒的に腕が立぀人」ずいう絶察的な基準になっおいたのだ。

    驚く私を芋お、Ⅰ先生は笑い飛ばした。

    「そうやで、めちゃくちゃ䞋手な奎だっおおるよ。はっはっは」


    もしかしたらⅠ先生は、私が「肩曞きがないこず」に囚われお勝負を諊めおしたわないよう、あえお少し誇匵しお背䞭を抌しおくれたのかもしれない。

    けれど、この蚀葉のおかげで、私は「認定医を持っおいない」ずいう劣等感を綺麗さっぱり手攟し、目の前のやるべき技術の習埗ず、実際の患者さんに向き合うこずに集䞭できた。

    匕け目を感じおいた私のマむンドを、䞀瞬で前向きに倉えおくれたⅠ先生には、今でも心から感謝しおいる。



    ちなみに埌日談がある。

    自分が独立開業しお数幎が経った頃、私はか぀おⅠ先生が蚀っおいた通りの「驚くほどセンスのない、䞋手な認定医」の治療を実際に目の圓たりにするこずになった。

    「あぁ、Ⅰ先生が蚀っおいたこずは本圓だったんだな」

    あのずきのⅠ先生の笑い声ずずもに、肩曞きではないんだず改めお深く実感した。



    【補足】矯正歯科における「認定医」ずは

    本文䞭で觊れた「認定医」に぀いお、少し業界の内情を補足しおおきたす。

    実は、日本においお歯科医垫免蚱さえあれば、経隓の有無にかかわらず誰でも「矯正歯科」を看板暙抜科に掲げお治療を行うこずができる。

    そのため、患者さんが「専門的な技術を持぀歯科医垫」を芋極めるための目安ずしお、各孊䌚が「認定医制床」を蚭けおいる。


    ただし、ひず口に「認定医」ず蚀っおも、実はいく぀かの皮類がある。

    䞀般に歯科医垫の間で単に「矯正の認定医」ず呌ぶ堎合、それは日本で最も歎史が叀く、最倧芏暡を誇る「日本矯正歯科孊䌚JOS」の認定医を指すこずがほずんどではなかろうか。

    この日本矯正歯科孊䌚の認定医を取埗するためのハヌドルは高い。

    • 5幎以䞊、孊䌚の䌚員であるこず

    • 倧孊病院の矯正科や指定された研修機関で、指導医のもず5幎以䞊にわたり専門的に矯正歯科臚床に埓事するこず。

    • 孊䌚の認めた刊行物に、矯正歯科臚床に関連する筆頭論文を発衚するこず。

    • 孊䌚が定める厳栌な症䟋審査ず詊隓に合栌するこず

    ぀たり、歯孊郚を卒業した埌に「倧孊の医局矯正科や指定研修機関に残っお䜕幎間も䞋積みを積むこず」が実質的な必須ルヌトずなっおおり、䞀般的な開業医に勀務しお幎数が経った歯科医垫が埌から取埗するのは、物理的・時間的にほが䞍可胜な仕組みになっおいる。

    圓時の私は、日本矯正歯科孊䌚の䌚員にはなっおいたものの、日本矯正歯科孊䌚の認定医を取埗するこず自䜓はほずんど諊めおおり、匕け目を感じおいたのは吊めない。

    䞀方で、䞖の䞭には日本矯正歯科孊䌚以倖にも、その他の矯正歯科の孊䌚や、協䌚、特定の治療手技・アラむナヌマりスピヌス矯正などを母䜓ずする団䜓・スタディグルヌプが認定する資栌も存圚する。

    もちろんそれぞれの団䜓に理念や臚床的な䟡倀はあるし、そこで熱心に孊ばれおいる歯科医を吊定する぀もりはない。

    しかし、日本矯正歯科孊䌚の認定医ず比べるず、カリキュラムや症䟋審査の厳栌さ、そしお芁求される幎月の重みには明確な差があるず思われる。

    歯科医垫の目から芋れば、「日本矯正歯科孊䌚の認定医」ず「その他の矯正歯科団䜓の認定医」は、同じ認定医ずいう蚀葉を䜿っおいおも、その重みや意味合いにおいお別物ずいうのが正盎な実感ではなかろうか。

    だからこそ、取埗が困難で本流ずされる日本矯正歯科孊䌚の認定医を持っおいたⅠ先生が、事も無げに、

    「芁らんのずちゃう」

    ず笑い飛ばしおくれたこずには、蚈り知れない衝撃ず救いがあったのは事実だ。

    しかし、その蚀葉に甘んじおはいけないず心底思えたのは、Ⅰ先生の技術力の高さを間近で芋おいたこずが倧きかった。

    実際に自身が開業医になっおから「䞋手な認定医」に出䌚うこずもあった。

    逆に、認定医を持たない䞀般開業歯科医でも、非垞に矯正治療が䞊手い人に䌚ったこずもある。

    䞖の䞭を芋枡せば、歯医者に限らず、そのような事䟋はいくらでもあるだろう。

    患者偎からは、矯正治療における認定医ずいう資栌は、歯科医遞びの倧きな基準ずなる。

    これは実際に、その歯科医が努力した結果でもあるし、そのような基準を倧いに利甚しお良いず、私は今でも思っおいる。

    では、私自身が患者で、もし実情がよくわからないずなれば。

    やはり、おそらく、第䞀遞択ずしお日本矯正歯科孊䌚の認定医を遞ぶず思う。


    私自身は、日本矯正歯科孊䌚の認定医に関しおは、きわめお肯定的だ。

    しかし同時に、認定医だから䞀抂に倧䞈倫であるず短絡的に考えるこずは避けるべきではないかず、歯科医を続けおきお思う。

    歯科医ず患者の関係は、技術面だけではない。

    しかも、矯正治療は埀々にしお長い幎月がかかる。

    端的に、合う合わないずいったこずも、実はずおも倧事だからだ。


    たた、認定医や専門医にこだわる方は、私が第䞀遞択ずするであろうこずず同様、そのような肩曞を持぀歯科医に蚺おもらうのが埗策だろう。

    䞇䞀、治療に玍埗いかなかった堎合、「認定医じゃなかったから、うたくいかなかったのだ」ず埌悔する可胜性が高いため、自衛の策ずしおも良いず思う。



     
     
    2023幎、自身の蚭立した医療法人を埌継者に承継し、17幎務めた理事長を退任。気負うこずなく話せるようになりたした。 歯科医垫・歯孊博士。

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