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「食べないず分からない」が、䜜物の倀段を䜜らせない

    100円のキャベツから始める、倀付けの構造論。

    📖 前回たでの蚘事
    第1回 AIが来たら、人は蟲業に戻るのか
    第2回 結局、地産地消に戻る — 構造から芋た蟲業の再定矩
    第3回 無人化ではなく、䞇人化



    100円のキャベツ、蟲家に枡るのは46円

    第2回で、蟲産物の kg 単䟡がいかに䜎いか、ずいう話を曞きたした。キャベツが kg あたり 130 円、自動車は kg あたり 2,700 円。およそ 20 倍の差があっお、蟲業のサプラむチェヌンには補造業の論理を持ち蟌んだ瞬間に裏返される物理特性がある——そんな話で、結局「地産地消に戻る」ずいうずころに着地したした。

    曞き終えおから、ひず぀問いが残っおいたした。

    そもそも蟲家は、誰に、どうやっお、倀段を提瀺しおいるのか。

    補造業の感芚では、これは劙な問いに芋えたす。補造業なら、原䟡を積み䞊げお利益を乗せお、競合を芋ながら販䟡を決める——その流れは珟堎でも経営局でも、䜕床も芋おきたした。倀付けは「自分たちで決める仕事」です。

    ずころが蟲業の話を聞いおいるず、蟲家が倀段を決めおいる気配があたりしない。どこかで誰かが倀段を決めお、その結果が蟲家に返っおきおいる、ような印象を受けたす。

    その印象は正しいのか確かめたくお、蟲氎省の調査をいく぀か䞊べおみたした。

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    100円のキャベツのうち、蟲家の手元に残るのは46円蟲氎省・什和4幎床 食品流通段階別䟡栌圢成調査より著者䜜成

    蟲氎省の「食品流通段階別䟡栌圢成調査」ずいうデヌタがありたす。什和4幎床2022幎床の詊算で、䞻芁な野菜・果物16品目に぀いお、小売䟡栌を100ずしたずきに、各段階で誰がいくら取っおいるのかを䞊べたものです。

    • 生産者蟲家受取45.5%

    • 流通経費合蚈54.5%

      • 集出荷団䜓経費15.0%

      • 卞売経費5.2%

      • 仲卞経費11.5%

      • 小売経費19.9%

    100円で売られおいるキャベツがあったずき、蟲家の手元に残るのは 46円。残りの 54円 は、集荷、卞、仲卞、小売、そしおその間を繋ぐ物流のコストずしお消えおいく、ずいうこずになりたす。

    この数字をどう読むかは、立堎によっお倉わるず思いたす。「䞭抜きが倚すぎる」ず読む人もいるでしょうし、「これだけの段階を経お店頭に䞊ぶのだから劥圓」ず読む人もいるはずです。

    私は、もう少し別のずころに匕っかかりたした。

    補造業のサプラむチェヌンを思い浮かべたす。郚品メヌカヌがあり、組立工堎があり、販瀟があり、ディヌラヌがあっお、最埌に消費者の手に枡る。そこにも圓然、各段階のコストは乗っおいたす。でも、補造業では各段階のコストが 明瀺的に積み䞊がっお いお、最終䟡栌に察する説明責任が、メヌカヌ偎にありたす。

    蟲産物の堎合、蟲家が46円を受け取っお、消費者は100円を払っおいる。その間の54円が、どこで、どういう刀断で、誰の倀付けによっお積み䞊がっおいるのか——その党䜓像を、蟲家本人も、消費者本人も、ほずんど芋おいない、ず感じたす。

    ぀たり問いは、こうなりたす。

    この54円の積み䞊げは、誰が、どうやっお、決めおいるのか。そしお、蟲家本人がその倀段にどれくらい関䞎できおいるのか。

    第4回はこの問いを、補造業の倀付け垞識ず䞊べながら、構造ずしお分解しおみたいず思っおいたす。

    そしお曞き進めおいくうちに、もうひず぀、最初は予想しおいなかった局が芋えおきたした。倀段を決めおいるのは、流通の各段階の事業者だけではないようです。もう䞀段䞊に、誰も意識しおいない倀付け者がいるのではないか——そこたで含めお、最埌たで読んでいただければず思いたす。


    補造業の倀付けは、コストず付加䟡倀の幅で決たる

    補造業がどうやっお倀段を決めおいるかを、いったん思い出しおみたす。生産技術の珟堎で、原䟡衚ずにらめっこしながら新型車のコスト目暙を远いかけおきた経隓から、ここはわりず自分の蚀葉で曞けるずころです。

    補造業の倀付けは、おおざっぱに蚀うず「コスト」ず「付加䟡倀」のあいだに販䟡を眮きたす。

    原䟡材料費劎務費経費は、技術的に積み䞊げが可胜です。BOM郚品衚があり、それぞれの郚品にコストが玐づき、組み付け工数も暙準時間で算出できる。「この車は1台あたり䜕円で䜜れるか」を、蚭蚈の初期段階から芋積もれる。これは補造業の匷みのひず぀だず思いたす。

    その積み䞊げた原䟡に、利益付加䟡倀分を乗せお販䟡を決めたす。利益の幅は、競合ずの比范で決たりたす。

    たずえば自動車。ホンダの盞手は基本的にトペタ、せいぜい数瀟です。䟡栌垯・装備・性胜・燃費・安党性胜——どのスペックで比范しおも、盞手の顔が芋えおいる。だから差別化ポむントを蚭蚈段階から狙えるし、その差別化に消費者がいくら払っおくれるかも、ある皋床予枬できる。

    競合が明確で、性胜差が定量的に比范できる商品ほど、䟡栌はコスト偎に寄りたす。コモディティ化、ず呌ばれる状態です。逆に競合が少なく、垌少性が高い商品ほど、付加䟡倀偎に振れる。フェラヌリの倀段は原䟡では説明できたせん。あれは「フェラヌリであるこず」自䜓が払われおいる倀段です。

    もう䞀぀、補造業の倀付けを支えおいる前提がありたす。買う前に䟡倀が䌝わるこずです。

    カタログ・HP・YouTube・自動車雑誌・詊乗動画——いたの消費者は、車を買う前に膚倧な情報を集めおいたす。銬力、トルク、燃費、ボディ剛性、安党装備、内装の玠材感、デザむン評論家のレビュヌ。買う偎がスペック衚を読み蟌み、隣のディヌラヌず比范し、玍埗した䞊で契玄に至る。

    買い手が倀段の根拠を理解しおいるから、売り手も倀段の根拠を䞻匵できる。「この装備でこの倀段はおかしい」「同クラスの他瀟ず比范しおこれは劥圓」——売買が、共有された蚀語の䞊で成立しおいたす。

    ぀たり補造業の倀付けを成り立たせおいるのは、次の3点だず思いたす。

    1. 原䟡が BOM で積み䞊げられるコスト構造が透明

    2. 競合が明確で、差別化が定量比范できる盞堎が読める

    3. 買う前に䟡倀が䌝わる説明可胜性

    この3点セットがあるから、メヌカヌは「この倀段で売る」ずいう意思決定を、自分で握るこずができたす。

    ずころが蟲業では、この3点が、どれも成立しないように芋えたす。

    原䟡は土・気候・サむクルに巊右されお BOM が曞けない。競合は䞍特定倚数で顔が芋えない。そしお䜕より、䟡倀は食べないず分からない。

    第3章以降では、この3぀の䞍成立が、それぞれどう倀段の構造を歪たせおいるかを、ひず぀ず぀芋おいきたいず思いたす。


    物流が課す芏栌は、皮子レベルたで遡っお蟲業を䜜り倉えた

    たずコスト偎から芋たす。

    第2回で曞いた通り、蟲産物は kg 単䟡が䜎い。キャベツが kg あたり 130 円ずいう倀段は、自動車kg あたり 2,700 円の20分の1です。

    この物理特性は、蟲業のサプラむチェヌン党䜓に匷烈な圧力をかけたす。「kg 130 円のものを、片道500キロ運ぶ」採算を成り立たせるには、茞送効率を限界たで䞊げるしかありたせん。

    具䜓的には、段ボヌル箱に隙間なく詰める必芁がある。トラック荷台に箱を満茉する必芁がある。途䞭で圢が厩れない匷床が芁る。

    そのために芁求されるのが、サむズず圢状の芏栌です。

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    物流の郜合は、皮子のレベルたで遡っお蟲業を䜜り倉えた。物流費圧瞮 → サむズ芏栌 → F1皮拡倧 → 芏栌倖発生著者䜜成

    「L玉」「M玉」「A品」「B品」ずいう野菜の芏栌は、味の芏栌ではありたせん。物流の郜合の芏栌 です。同じサむズの玉を、同じ箱に、同じ個数だけ詰める。そうしないず運送費が倀段を食っおしたう。

    この芏栌を満たす野菜を䜜るには、揃いの良い品皮が必芁になりたす。揃いがいい・病害に匷い・収量が安定——これは F1 皮䞀代亀配皮の特城です。

    そしお実際、スヌパヌに䞊ぶ野菜は ほがすべお が F1 皮から育っおいたす。

    驚いたのは、皮子の自絊率です。野菜皮子の囜内自絊率は 1割を切る ず蚀われおいたす日本䌝統野菜掚進協䌚。9割以䞊は海倖で採皮された F1 皮を、毎幎買っお蒔いおいる。

    しかも品皮は集䞭しおいたす。トマトの代衚栌「桃倪郎」は、タキむ皮苗1瀟で囜内シェア 箄 70%。これは自動車の゚ンゞン郚品のシェアより集䞭しおいる氎準です。

    ぀たり、物流効率の論理が、皮子のレベルたで遡っお蟲業を䜜り倉えおきた、ずいうこずになりたす。

    これは、資本䞻矩のサプラむチェヌンが組たれた以䞊、ある意味で自然の原理だず感じおいたす。䞋流のコスト圧力が䞊流に䌝播しおいき、最終的に最䞊流の蚭蚈補造業でいえば郚品仕様、蟲業でいえば品皮たで巻き蟌んでいく——補造業の珟堎でも繰り返し芋おきた構造で、蟲業もその䟋倖ではなかった、ずいうだけの話なのだず思いたす。

    ただ、kg 単䟡の䜎い蟲業の堎合、その䌝播が遺䌝子のレベルたで深く届いおいた。「芏栌化」ず聞いお倚くの人が想像するのは、収穫埌の遞別䜜業くらいではないでしょうか。でも実態は、その䜕段階も䞊流——皮を蒔く時点ですでに、物流の郜合に最適化された遺䌝子が遞ばれおいる。

    そしお芏栌を満たせなかった野菜は、産地で捚おられたす。

    蟲氎省の䜜況統蚈ず出荷量の差から掚蚈するず、毎幎 170 〜 200 䞇トン の野菜が、芏栌倖ずしお産地で廃棄されおいたす。生産量の 14 〜 25%。サむズが倧きすぎる、小さすぎる、圢が曲がっおいる、色が薄い——食べられるのに、流通に乗らないたた消えおいく。

    ここで重芁な事実がありたす。この 200 䞇トンは、政府の食品ロス統蚈には含たれおいたせん。

    日本の食品ロスは幎間 464 䞇トン2023 幎床・環境省。補造・倖食・小売・卞売・家庭の段階別に集蚈されおいたす。でも産地廃棄は「流通前」に消えるので、統蚈の枠倖。

    ぀たり毎幎 芋えないロスが 200 䞇トン芏暡で発生しおいる、ずいうこずになりたす。464 䞇トン 200 䞇トン 664 䞇トン。食品ロスの実態は、報道される数字より4割ほど倧きい可胜性がある。

    補造業の感芚で蚀うず、これは衝撃的な数字です。歩留たり 80% は、補造珟堎では深刻な䞍良率ずしお原因究明の察象になりたす。「なぜ䞍良が出るのか」を解析し、蚭蚈や工皋を倉えお改善する。それが補造業の基本動䜜です。

    ずころが蟲業では、その氎準の歩留たり悪化が、「芋た目の芏栌」だけで垞態化しおいる。しかも「䞍良の原因」を取り陀く方向には誰も動かない。なぜなら原因は野菜の偎ではなく、物流の偎にあるからです。

    ずもかく、コスト偎では、物流の郜合が皮子・栜培・遞別・廃棄たで貫通しおいる。倀段が䜎いたたになる理由の半分は、ここにあるように芋えたすなおこの「物流の郜合」が、物流自䜓の限界で揺らぎ始めおいる話は、最終章で補論ずしお觊れたす。

    残りの半分は、倀段がどう「決められお」いるか、ずいう倀付けメカニズムそのものの話になりたす。


    セリではなく盞察取匕 — 倀段は買い手が提瀺する

    次に、その芏栌化された野菜が、どこで、誰によっお倀段を぀けられおいるかを芋たす。

    囜産青果物の 卞売垂堎経由率は玄 70 〜 80%蟲氎省「卞売垂堎をめぐる情勢」。盎販が話題になっおも、流通の䞻軞はいたも垂堎経由です。

    「垂堎」ず聞くず、倚くの人はセリの映像を思い浮かべるのではないでしょうか。指で䟡栌を瀺し合い、声を匵り、掻気のある板の䞊で倀段が決たっおいく——築地垂堎や豊掲垂堎のニュヌス映像に映る、あの䞖界です。

    実態は、だいぶ違うようです。

    䞭倮卞売垂堎での取匕のうち、セリ・入札はわずか 13.6%。残り 箄 86% は盞察取匕蟲林䞭金総研の分析より。さらに東京䞭倮卞売垂堎では、セリは 1% 未満 ずの報道もありたす。

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    卞売垂堎の取匕のうちセリは13.6%、盞察取匕が86%。『セリで倀が決たる』はもはや幻想蟲林䞭金総研・蟲氎省より著者䜜成

    盞察取匕ずは䜕か。

    卞売業者ず、仲卞業者たたは小売バむダヌが、事前に協議や予玄で倀段を決める 䞀察䞀の亀枉 のこずです。明日入荷予定の◯◯産トマトを箱単䜍でいくらで取匕するか、入荷前に双方で取り決める。

    補造業の感芚で蚀うず、これは 公開入札ではなく盞察契玄での䟡栌決定 に近い。䞋請けず元請けが、幎に䜕床か単䟡を亀枉する、あの構造に䌌おいたす。

    ここで重芁なのは、盞察取匕の 力関係 です。誰が匷いか、誰が倀段を䞻導するか。

    補造業の䞋請け取匕では、力関係は明らかに元請け偎が匷い。でもそこには、契玄期間・QCD品質・コスト・玍期・量産実瞟ずいった、お互いに合意できる基準がありたす。䞋請けも「この品質を確保するにはこの単䟡が必芁だ」ずいう根拠を䞻匵できたす。

    蟲産物の堎合、その「合意できる基準」が乏しい。

    仲卞も小売バむダヌも、目の前のキャベツの 芋た目以䞊の情報を持っおいたせん。糖床を枬るこずはできおも、その糖床が他産地ず比べお優れおいるか、それが消費者の賌買行動に䜕円分の差を生むかは、買っおみないず分からない。

    そうするず、倀段の根拠は「い぀もの盞堎」「他産地の最近の動き」「先週の入荷量に察する売れ行き」——぀たり 過去のパタヌン にしかなりたせん。

    買い手は過去の盞堎を基準に倀段を提瀺し、生産者はその倀段を受け取る偎に回る。これが盞察取匕の実際の動きです。

    「盞察」ず蚀いながら、実質的には片偎からの提瀺に近い。生産者偎に倀段の根拠を䞻匵する手段が、ほずんど甚意されおいない。

    この構造を倉えようずする動きは、もちろんありたす。

    盎販プラットフォヌム——食べチョク、ポケットマルシェ、道の駅、蟲家自身のオンラむンショップ。これらは「生産者が盎接消費者に売る」こずで、倀付け暩を取り戻そうずする運動ずしお登堎したした。

    実際、コロナ犍以降の䌞びは倧きい。食べチョクは流通総額が短期間で䜕十倍にも䌞びた、ず報じられおいたす。

    ただ、芏暡で芋るずただ倧きくない。産盎 EC の流通額は、業界各瀟の発信を総合しおも 数十億〜数癟億円芏暡。青果物流通党䜓3兆円超からすれば、1% 未満 の存圚です。

    盎販は、倀付け暩を取り戻す方向ずしおは正しいず思いたす。でもこれだけで業界の倀付け構造を倉えるには、芏暡の倩井が倧きすぎる、ず感じおいたす。

    ここたでで、倀付けが歪む構造を「コスト偎」「メカニズム偎」の2軞で芋おきたした。

    物流が芏栌を匷芁し、皮子レベルたで䜜り倉えおきたコスト偎。卞売垂堎では実質的に買い手が倀段を提瀺しおいるメカニズム偎。

    ここたでは、流通の䞭で起きおいる話です。でも倀段を動かさない力は、もう䞀段䞊にも存圚しおいるように芋えたす。


    100円アンカヌ — 消費者の頭の䞭で倀段が固たっおいる

    第4章で芋た盞察取匕で、なぜ小売バむダヌは倀段を䞊げないのか。

    答えは、買い手の意思の問題ではないように芋えたす。その買い手も、䞊流から圧力を受けおいるから ではないかず思いたす。

    スヌパヌで野菜を買うずき、私たちはおそらく無意識のうちに「キャベツはこれくらい、ダむコンはこれくらい」ずいうカテゎリ党䜓の倀段むメヌゞを持っお店内を歩いおいたす。

    「先週はキャベツ128円だった」「いたは小さめなのに200円もする」「今日のは安いから買おう」——こういう刀断は、䟡栌の アンカヌ基準点が頭の䞭にあるから成立したす。

    このアンカヌは、なかなか動きたせん。

    2024 幎から 2025 幎にかけおのコメ隒動を思い出しおみおください。コメの小売䟡栌が倧きく䞊昇し、メディアは匷く批刀的に報じたした。「䟿乗倀䞊げ」「投機的買い占め」ずいう蚀葉が䞊び、政府の備蓄米攟出にたで政策議論が及んだ。

    䞀方で、加工食品の倀䞊げは、2022 幎以降ずっず続いおいたす。スナック菓子、冷凍食品、調味料、レトルト、飲料——幎間数千品目芏暡で倀䞊げが繰り返されおきたした。

    ずころが、加工食品の倀䞊げに察するメディアのトヌンは、コメ隒動ずは明らかに違いたす。「原材料費・人件費・物流費の高隰を反映」「䌁業努力の限界」——どちらかず蚀えば擁護的、少なくずも理解を瀺すトヌンが基本です。

    なぜこの差が生たれるのか。

    私の仮説は、消費者の頭の䞭で 食品が2皮類に分けられおいる こず、にあるように思っおいたす。

    加工食品「䌁業が倀段を決めお売っおいる商品」ず理解されおいる。原料費が䞊がれば、䌁業の経営刀断ずしお倀䞊げするのは圓然ず受け止められる。

    生鮮食品「自然が倀段を決める食料」ずいう玠朎な認識が、いたも消費者の頭に残っおいる。だから倀䞊げは「䟿乗」「投機」に芋えおしたう。

    これは第2回で曞いた 「蟲業を瀟䌚むンフラずしお芋るか、産業ずしお芋るか」 の議論に、もう䞀床戻っおくる問いです。

    消費者の頭の䞭ではすでに、生鮮食品は 公共財扱い になっおいる。なのに生産者だけが垂堎原理の䞭で評䟡され、コスト倉動を䞀人で背負わされおいる、ずいうねじれ。

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    消費者の100円アンカヌが、メディアの公共財芳に支えられ、小売・仲卞・蟲家ぞず圧力を遡らせる著者䜜成

    そしお、この消費者アンカヌは、䞊流に向かっお圧力を䌝播させたす。

    消費者が100円以䞊のキャベツを買わないなら、小売は100円を維持するしかない。小売が100円を維持するためには、仲卞ぞの提瀺䟡栌を䞊げられない。仲卞が支払う額が䞊がらないなら、卞売業者から蟲家ぞの粟算額も䞊がらない。

    第4章で芋た盞察取匕で買い手が匷かったのは、買い手自身の力ではなく、その背䞭に 消費者ず瀟䌚の固たった䟡栌認識 が立っおいたから、ずいうこずになりたす。

    誰の責任でもなく、構造ずしお倀段が動かない。

    ここたで曞いおきお、第1章のあず「もう䞀段䞊に、誰も意識しおいない倀付け者がいる」ず曞いた——その「もう䞀段䞊」のずころにも、倀段が動かない原因のひず぀が暪たわっおいるのではないか、ず感じおいたす。消費者のなかにある䟡栌認識や、それを支えるメディア環境も、流通の各段階ず䞊んで、倀付けを瞛っおいる芁玠のひず぀なのだず思いたす。

    ここで誰かを批刀したいわけではありたせん。私自身、スヌパヌでキャベツを買うずき、おそらく無意識のアンカヌで刀断しおいたす。そしお「コメが倀䞊がりした」ずいうニュヌスを聞けば、䜕かしらの違和感を芚えるはずです。

    ただ、その無意識のアンカヌが、流通の遠い向こう偎で蟲家の倀付けを決めおいる、ずいう構造を、もう少し意識しおもいいのではないか——ずは思っおいたす。


    ブランド化の壁 — カタログで売れない、詊食産業

    ここたでの構造の䞭で、倀段を䞊げるためにできるこずは、ひず぀だけ残っおいるように芋えたす。

    ブランド化差別化 です。

    実際、倚くの賢い蟲家が、これを詊みおいたす。

    産地名で売る◯◯産メロン、◯◯ブランド米。蟲法で売る有機栜培、自然栜培、◯◯蟲法。蟲家名で売る◯◯さんのトマト。物語で売る先代から受け継いだ畑、◯◯幎がかりの品皮改良。

    ブランド化は、盞堎から離れた倀段を取りに行く戊略です。「盞察取匕で過去の盞堎で買い叩かれる」構造から、自分だけ抜け出そうずする動き、ず蚀っおもいいかもしれたせん。

    でも、ここに補造業ずの決定的な違いが立ちはだかりたす。

    自動車を買うずき、消費者は詊乗できたす。詊乗の前にも、HP・YouTube・自動車雑誌・口コミ・専門家レビュヌで、膚倧な情報を集められる。銬力・トルク・燃費・装備・安党性胜・デザむン評論、すべお買う前に頭に入る。買う前に䟡倀が䌝わる——第2章で曞いた、補造業の倀付けの3぀目の柱です。

    蟲産物では、これができたせん。

    「うちのトマトは普通のトマトず違っお甘い」ず蚀われおも、写真や説明では䌝わらない。糖床の数字を出しおも、酞味ずのバランス、皮の口圓たり、銙り、埌味——そういった党䜓ずしおの「矎味しさ」たでは、文字に乗せお運ぶこずができない。

    結局、隣の蟲家のトマトずどう違うかは、食べないず分からない。

    さらに蚀えば、䟡倀は味だけに留たりたせん。自然栜培でよく語られる「栄逊䟡の高さ」——ミネラルや埮量成分、土壌埮生物ずの関係を通じた成分の豊かさ——は、食べおもその堎では実感しにくい皮類の䟡倀です。糖床のように䞀口で舌に届く違いではなく、長い時間をかけお身䜓に効くタむプの䟡倀なので、「矎味しさ」よりもさらに䌝わりにくい。

    手間をかけお栄逊䟡の高い䜜物を䜜っおも、その差を消費者が買う前に確信するのは、ほずんど䞍可胜に近いように芋えたす。結果ずしお、慣行栜培ずの䟡栌差が、本来の手間差・䟡倀差にたで届かない——ずいう構造が、ブランド化の壁をもう䞀段高くしおいるように感じたす。

    しかも䞀床食べただけでは足りないこずが倚い。「今日のは矎味しかった」では、来月もリピヌト買いするずは限らない。詊食 → 賌入 → 再詊食 → リピヌト、ずいう長いプロセスを越えお、ようやく「あの蟲家のトマトは違う」ずいう認知が消費者の頭にむンストヌルされる。

    ブランド化は、詊食の積み重ねを通過しないず成立しない、ずいうこずです。

    補造業の感芚で蚀うず、これは倀付け戊略以前に マヌケティング自䜓が成立する条件が違う ずいう話に芋えたす。

    補造業のマヌケティングは、情報を流せば届く前提で組み立おられおいたす。広告を打ち、レビュヌを集め、比范動画を出し、口コミを誘発する。情報のレむダヌで競争が完結する。

    蟲産物のマヌケティングは、情報のレむダヌでは決着したせん。最埌は 物理的に口に入れる こずを通過しないず、䟡倀が䌝わらない。

    賢い蟲家ほど、この壁を理解しおいるように芋えたす。SNS で日垞を発信する、蟲家民泊で滞圚䜓隓を提䟛する、収穫䜓隓で畑に呌ぶ、盎売所で詊食を出す——いずれも 詊食機䌚を物理的に増やす こずぞの投資です。

    でも、これは個別蟲家の生存戊略であっお、蟲業党䜓の倀付け構造を倉える解にはなりにくい。詊食できる範囲には、どうしおも地理的・時間的な倩井があるからです。䞀人の蟲家が詊食を提䟛できる盞手は、幎間で倚くおも数癟〜数千人。日本の消費者は1億人。スケヌルが合いたせん。

    ここで、本蚘事のサビを眮きたいず思いたす。

    補造業はカタログで売り、蟲業は詊食で売る。

    同じ「商品を売る」ずいう行為でも、䟡倀が䌝わる経路が根本的に違う。カタログで売れる商品は、情報のレむダヌで競争できるから、倀段を䜜る䜙地がある。詊食でしか売れない商品は、情報のレむダヌで競争が完結しないから、倀段を䜜る䜙地が極端に狭い。

    そしお、ここから本蚘事のキヌフレヌズが立ち䞊がりたす。

    「食べないず分からない」が、䜜物の倀段を䜜らせない。

    倀段を動かしおいる芁玠は、ほかにもただあるず思いたす。今回は「食べないず分からない」ずいう物理特性に光を圓おたずころたでが、私の敎理です。

    答えを出すずいうより、䞀緒に考えおいけたら嬉しいです。


    人参の芜が元気でわしゃわしゃしおきた
    間匕き䜜業が现かすぎお目が痛い。

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    swingo

     
     
    バリバリ資本䞻矩の論理で23幎。自動車メヌカヌで生産技術ず事業開発を経隓しおきた゚ンゞニアです。垂堎原理が通じにくい日本の蟲業を、補造業の芖点で読み解いおいきたいず思っおいたす。䞀緒に考えおいけたら嬉しいです。

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