メインコンテンツへスキップ
見出し画像

葛井寺・阿弥陀堂の極楽浄土の世界に思わず固まる

    奈良・東大寺の大仏殿前の八角灯籠には「音声おんじょう菩薩」、京都宇治・平等院鳳凰堂には「雲中うんちゅう供養菩薩像」。
    そして、大阪藤井寺市・葛井寺ふじいでらには「阿弥陀二十五菩薩」がいます。

    いずれの菩薩たちも、楽器を奏でたり、舞ったりして往生者を極楽の世界へと誘う様子を幻想的に表現されているのです。

    葛井寺「阿弥陀堂」が4年間の仏像を含めた全体の解体修理を終え、4月15日から特別拝観が開始されています。
    それをお目当てにレキジョークルメンバーのチコさんと二人で早速行ってきました。

    ※万博の報告を先に投稿したので話が前後していますが、今回の記事は4月18日のことです。


    名物の藤の咲き具合は?

    画像

    ちょうど藤の季節であり、葛井寺では恒例の「藤祭り」に加えて今年は開眼1300年記念として、ご本尊「千手観音」と「阿弥陀二十五菩薩堂」の開扉というダブルのスペシャル期間を設けていました。
    それだけに周辺は込み合う事が予想されるので、今回は車ではなく電車で行きました。

    藤井寺駅から商店街を抜けて葛井寺に向かうと、最初に目についたのが「辛国からくに神社」で、チコさんが行った事がないと言うので、まずは立ち寄りました。

    2カ月ほど前、noteのお友達、偏光さんと行ったところです。

    なんとなんと、藤がちょうど満開で見頃でした。

    画像

    他の参拝者の方が「こっちの方が咲いてるやん。」と言っているのが聞こえ、「こっちの方が」という事は、肝心の葛井寺の藤はまだ満開ではないという事になります。

    画像
    狛犬越しの藤棚も絵になる✨

    私は2年前に観た葛井寺の満開の藤棚を期待してきたので、ややテンションは下がりましたが、気を取り直してすぐ東にある葛井寺へと向かいました。

    画像

    う~ん。予想通り、まだまだ満開とは言い難い。
    この日は18日だったので、今頃はすでに満開を通り過ぎている頃かもしれません。
    この時点では完全に辛国神社の方が咲き誇っていました。
    目と鼻の先の場所なのにこんなにも差があるのは、やはり日当たりによるのでしょうか。
    いや、どちらの藤棚も方角的に同じでしたので、日照時間も関係している可能性もあります。

    画像

    並べて比べると一目瞭然!
    この日、葛井寺は夜にライトアップもあったので、これでは迫力に欠けたでしょうね。


    拝観料は強気だが
    観る価値は大いにある!

    画像

    意外に商売上手な地方寺院

    先ほど予告しましたが、この日のメイン目的は阿弥陀堂の二十五菩薩を拝観することなのです。

    それなのになんと拝観料は2,000円!!

    この日のメインとはいえ、二人で顔を見合わせ躊躇ってしまったのは言うまでもありません。
    言っちゃ悪いのですが、こんな田舎の寺で、しかも脇に建つ小さなお堂の拝観料としては強気過ぎるでしょう。

    ただし、この金額には本堂のご本尊「千手千眼観世音菩薩」の拝観と、無理やりのエコバックももれなく付くという、有無を言わせないセット価格なのです。

    画像
    こんなんいらん!
    ホンマに近所の買い物でしか使われへん💦

    ご本尊500円、エコバック500円として、阿弥陀堂は1,000円という事か。
    それなら阿弥陀堂拝観だけの1,000円にしてほしいと思うのは当然なのですが、セット料金にしているところに阿漕あこぎさを感じてしまう。

    それでも観ないで帰るわけにもいかないので、しぶしぶ支払いましたが、今でもセット料金ではなく個別の料金設定にすべきだと思っています。

    画像

    それでも長蛇の列は途切れる事はなく、迷っている暇に並んだ方がいいと判断しました。

    何度も言いますが、最寄り駅は近鉄南大阪線「藤井寺駅」。
    郊外の小さな寺に過ぎないのに、続々と人が集まり、とんでもない賑わいです。

    衝撃で息が止まる

    不満をタラタラ言いながらも列に並び、やっと中に入った途端、言葉を失って呆然としてしまいました。

    その光景に固まったのは黄金の仏さまだけではなく、堂内に流れる心地よい雅楽が非常にマッチしていたからです。
    もちろん撮影禁止なので、リーフレットの写真しか載せられず、私の感動を見たままお伝え出来ないのがとても残念です。

    これは本当に極楽浄土だ!

    当然ながら私は極楽へは行った事がないので断言できませんが、そう思わせる”夢の世界”が目前に現れたのですから、その驚きはハンパないものでした。

    中央には西方極楽浄土の教主「阿弥陀如来」。
    その脇侍には、向かって右に「観音菩薩」、左に「勢至せいし菩薩」という阿弥陀三尊の基本配置です。

    過去も記事にしましたが、観音菩薩は自由に変化して衆生を救います。
    当寺のご本尊は観音菩薩の一種なので、言ってみればここではご本尊が脇侍となっているのです。

    観音菩薩は「慈悲」を、勢至菩薩は「智恵」を司るとされています。
    さらに勢至菩薩は単体で祀られることは極めて稀まれで、このように「阿弥陀三尊」のメンバーとなることが一般的なのです。

    しかもその脇侍たちの姿勢が一番ツライ中腰で、いかにも傅かしずいている様子です。

    そして取り囲むように音曲を奏でる25の菩薩たち。
    それぞれが楽器を持ち、とても穏やかな表情で、服装に至るまで全てに個性があります。
    観ていて飽きる事なく、この混雑した狭い空間にもかかわらず1時間でも2時間でも平気で居られる自信があります。

    みうらじゅんやいとうせいこうに教えてあげたい!
    彼らがこれを見仏したらどう思うだろうか?


    余談:脇侍の違い

    「智恵」の菩薩と言えば「文殊もんじゅ菩薩」もそうですが、「勢至菩薩」との違いは何でしょう?
    余談ながら下図に簡単にまとめてみました。

    画像

    簡単に言うと変身するだけに「観音菩薩」はどちらにも付き、
    「勢至」は合掌して阿弥陀如来、「文殊」は剣や巻物を持って釈迦如来の脇侍です。
    同じ「智恵」でも、その役割は分担されていて、ある意味勢至菩薩の方が精神的、あるいは徳行を積むための手助けをするという感じでしょうか。

    ちなみに「薬師如来」には月光がっこう菩薩と日光菩薩。
    例外的に先日も訪れた東大寺のご本尊には、知識や集中力を授ける「虚空蔵菩薩」、慈悲と救済の「如意輪観音」が脇侍となっていました。

    いや~実にうまく組織化され、よく出来ています。
    誰が考えたか、同じような役割でも人々に合わせて細分化され、つくづく仏教に登場する仏様は個性豊かなキャストで、素晴らしい創作想像力に舌を巻きます。
    仏教界には壮大なドラマが出来上がっているのですね。

    中央の大寺にも負けていない

    2,000円は、もう捨てる気で支払いましたが、実際に観ると納得してしまうほどの値打ちはあります。

    BGMといい、配列といい、全てが考えぬかれたことが感じられ、「見せ方」そのものが非常に効果的です。

    この阿弥陀堂だけで、中央の有名寺院に対抗できる魅力は十分あり、東大寺や法隆寺などにも引けを取らない堂々たるものがありました。

    「これは、また来てもええな」
    「せやな、2年後ぐらいに」

    厳密にいえば、近いので頻繁に観たいのですが、なんせ高いので我慢です。
    もうちょっと安くしてくれないものだろうか💦

    阿弥陀堂に恍惚状態になった私たちは、前回と同じくスパイスカレーを食べて帰りました。
    ホントに偏光さんに教えてもらったここのカレーは美味しい!
    チコさんも気に入ってくれてよかったです。

    何ならここのカレーが食べたくなった時にまた「阿弥陀堂」を観ようか?
    と言い合ったぐらいで、いったいカレーと阿弥陀堂のどっちがメインなのか本末転倒になりそうなぐらいです。


    その偏光さんもこの阿弥陀堂を訪ねられて、その感動を率直に書かれています。

    マニアと言えばマニアですね…
    少なくとも私は変人としての自覚はあります💦


     
     
    エッセイスト (主に読書、歴史に関して書いています。 1961年生まれ大阪府出身。読書好き。歴史好き。ハンドメイド好き。妄想好き。 著書「レキジョークル奥の枝道」シリーズ7冊目をただいま執筆中。<https://amzn.to/3vgIGz9>

    あなたへのおすすめ