
4×12と同じ大きさの箱に、スピーカーを3本だけ入れた
ギターキャビネットの形式は、たいてい数字で呼ばれる。
1×12。2×12。4×12。
12インチのスピーカーが1本、2本、4本。並べると、きれいに倍々になっている。
Celestionは、自社のVintage 30を紹介するとき、ブティックアンプの細部を出すなら1本で、ヴィンテージ的な立体感のあるクランチなら4本組で、と書いている。スピーカーメーカー自身が、1本か4本かで語っている。
その間に、3という数字がある。
ポーランドのLabogaが作る312B Mr. Hectorは、12インチを3本入れたキャビネットである。
しかも、その箱の大きさは、同じLabogaの4×12とまったく同じだった。
3本のキャビネットは、何が面倒なのか
1、2、4が並ぶのには、理由がある。
スピーカーは、それぞれインピーダンスを持っている。ギター用なら8Ωか16Ωが多い。キャビネットの中で複数のスピーカーをつなぐと、つなぎ方によって全体のインピーダンスが変わる。
同じ16Ωのスピーカーが2本なら、並列で8Ω、直列で32Ω。
4本なら、2本ずつ直列にした組を並列にして16Ω。元のスピーカーと同じ値に戻る。
アンプの出力端子は、8Ωや16Ωに合わせて作られている。4本という数は、この値に素直に戻れる。
3本ではそうならない。
同じインピーダンスZのスピーカーを3本つなぐ方法は、全部直列で3Z、全部並列でZ/3、2本並列にして1本を直列で1.5Z、2本直列にして1本と並列で2Z/3。
Zが16Ωなら、48Ω、約5.3Ω、24Ω、約10.7Ω。
Zが8Ωなら、24Ω、約2.7Ω、12Ω、約5.3Ω。
どの組み方をしても、8Ωにも16Ωにもならない。
これは好みや流行の話ではなく、算数である。同じスピーカーを3本並べたキャビネットは、アンプ側の標準的な端子と、最初から噛み合わない。
同じ箱、同じ240W
それを踏まえて、312Bの仕様を見る。
Labogaは1973年にAdam Labogaが創業した工房で、真空管アンプ、キャビネット、ケーブルを、小さな部品から大きな部品まで手作業で作っていると自社の紹介に書いている。
312Bの製品ページには、次の数字が並ぶ。
スピーカーは、Celestion Vintage 30が2本と、Electro-Voiceの「Black Label」が1本。
箱は全面が合板。背面は閉じた密閉型で、ねじで留める。スピーカーは裏側から取り付けるリアマウント。
定格は240W RMS。インピーダンスは8Ωまたは16Ω。入力ジャックは2つで、並列につながっている。
寸法は、750×750×350mm。
ここで同じLabogaの4×12、412Bの仕様を並べる。
定格は240W RMS。インピーダンスは8Ωまたは16Ω。ジャック2つが並列。
寸法は、750×750×350mm。
外寸が、ミリ単位で一致している。定格出力も同じである。
形態の呼び方も揃っている。どちらも、斜めのスラント型を「A」、まっすぐなストレート型を「B」と呼ぶ。312Aと312B、412Aと412B。
つまり312Bは、小さくした4×12ではない。4×12と同じ大きさの箱に、スピーカーを3本だけ入れたキャビネットである。
この先は、CSL公式サイトの全文で続けている。
抜けたのは、G12T-75の2本だった
3本で、8Ωと16Ωをどう作るか
非対称は、どこに出るのか
倍々ではない形式を、残しておく
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