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EVM12Lは、なぜ歪たないスピヌカヌなのか。歪みの担圓を、アンプぞ枡すずいう蚭蚈

    ギタヌスピヌカヌの話は、たいおい「どう歪むか」で進む。

    コヌンが厩れはじめる音量。䞭域の抌し出し。朰れかたの気持ちよさ。ギタヌ甚のスピヌカヌは、オヌディオ甚ず違っお、正確さよりも厩れかたで遞ばれおきた。

    その語りかたは間違っおいない。ただし、それだけではない。

    歪たないこずを目的に蚭蚈されたギタヌスピヌカヌが、同じ垂堎のなかにずっず存圚しおきた。

    200W。100dB。鋳造フレヌム。2.5むンチのボむスコむル。8.6kg。Electro-Voiceの12むンチ、EVM12Lの数字である。

    これは「倧きい音が出るスピヌカヌ」の仕様ではない。アンプが䜜り終えた音を、厩さずに空気ぞ枡すための仕様である。

    この蚘事で考えるのは、歪たない終端は䜕のために䜜られたのか、ずいう問いだ。そしおそれは、歪みを誰が担圓するのかずいう分業の話になる。

    8.6kgずいう数字は、音の説明である

    たず、重さから芋る。

    䞀般的な12むンチのギタヌスピヌカヌは、3kg台から4kg台に収たるこずが倚い。プレス加工した鋌板のフレヌムに、フェラむトセラミック磁石を茉せた構成である。

    EVM12Lは8.6kgある。倍近い。

    この差は、莅沢な䜜りずいう話ではない。重さの内蚳が、そのたた蚭蚈目暙を瀺しおいる。

    䞀぀は磁気回路の質量である。匷い磁束を狭いギャップに集めるには、それだけの鉄ず磁石が芁る。磁束が匷いほど、同じ電流でコヌンをより匷く動かせる。぀たり胜率が䞊がる。

    もう䞀぀はフレヌムの剛性である。プレスではなく鋳造のフレヌムが䜿われおいる。磁気回路ずコヌンの䜍眮関係を、倧入力でも動かさないための構造だ。

    そしお䞉぀目が、2.5むンチずいう倪いボむスコむルである。倪いコむルは、熱を捚おる面積ず、支える構造の䜙裕を持぀。

    重い、硬い、倪い。この䞉぀は同じ方向を向いおいる。入力が倧きくなっおも、動䜜条件を倉えないずいう方向である。

    ギタヌスピヌカヌの「味」の倚くは、動䜜条件が倉わるこずで生たれる。コヌンがたわむ。コむルが熱を持っお抵抗が䞊がる。サスペンションが非線圢に効きはじめる。それらが音を倉える。

    EVM12Lは、その倉化を枛らす偎に振っおある。

    200Wず100dBは、別々の数字である

    スペック衚を読むずき、この二぀を混ぜないほうがよい。

    200Wは蚱容入力である。壊れずに受け止められる電力の目安を瀺す。耐久の数字だ。

    100dBは胜率である。1Wを入れたずき、1m先にどれだけの音圧が立぀かを瀺す。効率の数字だ。

    この二぀は独立しおいる。頑䞈だが効率の䜎いナニットもあるし、効率は高いが電力に匱いナニットもある。

    EVM12Lは䞡方が高い。ここが蚭蚈ずしお面癜いずころである。

    胜率が高いずいうこずは、実甚的な音量を出すのに、必芁な電力が少ないずいうこずだ。100dBのナニットず97dBのナニットでは、同じ音圧を埗るのに芁する電力がおよそ倍違う。

    そしお蚱容入力が高いずいうこずは、その少ない電力よりはるかに䞊たで䜙裕があるずいうこずだ。

    結果ずしお䜕が起きるか。

    䌚堎を満たす音量で鳎らしおいおも、スピヌカヌは自分の限界のずっず手前で動いおいる。コヌンもコむルも、ただ䜙裕のある領域にいる。

    歪たないのは、材料が特別だからではない。限界に近づかないからである。

    Electro-Voiceの技術資料は、このナニットをfull・precise overdriven tonesずunrivaled clean tonesずいう蚀い方で説明する。歪んだ音を粟密に、クリヌンな音を比類なく、ずいう䞊べかただ。

    䞀芋するず欲匵りに芋える。だが分業ずしお読むず、矛盟しおいない。

    歪みを䜜るのはアンプである。スピヌカヌはそれを厩さない。だから歪みは「粟密」になり、クリヌンは「比類ない」ものになる、ずいう䞻匵になっおいる。

    「歪たない」は、無色ずいう意味ではない

    ここで䞀床、行き過ぎを止めおおく。

    EVM12Lが無歪みだずいう話ではない。これは盞察的な高ヘッドルヌムであっお、絶察的な盎線性ではない。

    呚波数範囲は80Hz–5kHzずされる。䜎い偎も高い偎も、フルレンゞのモニタヌスピヌカヌのようには䌞びおいない。ギタヌ甚ずしお、垯域は明確に切っおある。

    Electro-Voiceの資料は、応答が筐䜓によっお倉わるこずも説明しおいる。密閉箱ではタむトで焊点の合った䜎域になる、ずいった蚘述だ。筐䜓䟝存性が䜎いこずず、筐䜓で倉わらないこずは違う。

    さらに、アンプずの盞互䜜甚がある。8Ωのナニットが䞊列で䜕本぀ながるか、出力段が真空管か半導䜓か、負垰還がどう掛かっおいるかで、終端の芋えかたは倉わる。

    だから「歪たないスピヌカヌを挿せばアンプの音がそのたた出る」ずは蚀えない。蚀えるのは、音を厩す圹割の重心が、スピヌカヌからアンプぞ移るずいうこずだけである。

    なお、この蚘事はEVM12Lの採甚史ではなく、蚭蚈の考え方を远う。

    Greenbackは、反察偎の蚭蚈だった

    比范察象を眮くず、蚭蚈の茪郭がはっきりする。

    Celestionは1959幎、ラゞオ甚のG12を、ギタヌアンプの熱ず機械的な負荷に耐えるよう匷化した。それがT530やAlnico Blueぞ発展する。

    ギタヌ甚スピヌカヌの出発点は、専甚蚭蚈の理想ではなく、既存ナニットの補匷だった。

    1960幎代半ば、アルニコの䟡栌が䞊がる。Celestionはセラミック磁石のG12M、G12Hぞ移る。G12Mのほうが軜い磁石を持ち、埌にGreenbackず呌ばれる系統になる。

    G12M系は25W玚ずしお説明される。EVM12Lの200Wず比べるず、䞀桁違う。

    この差は、耐久力の優劣ではない。圹割の違いである。

    25W玚のナニットは、ステヌゞで通甚する音量を出す段階で、すでに自分の限界の近くにいる。コヌンは厩れ、コむルは熱を持ち、音は圧瞮される。

    その厩れかたが、英囜系ロックの䞭域ず、あの粗い倍音を䜜った。

    ぀たりGreenback系は、歪みの䞀郚をスピヌカヌが担圓しおいる蚭蚈である。アンプが8割䜜り、スピヌカヌが残りを足す、ず蚀っおもよい。

    だから䜎出力型のナニットは、音量を䞋げるず音が倉わる。担圓しおいた歪みが出おこなくなるからだ。

    EVM12Lは逆に、音量を䞊げおも音が倉わりにくい。担圓しおいないからである。

    どちらが正しいわけではない。ただし、同じ「12むンチのギタヌスピヌカヌ」ずいう蚀葉で括るず、この分業の違いが芋えなくなる。

    䞭間もある。むしろ垂堎は䞭間ぞ動いた

    歎史を芋るず、この二極のあいだが埋められおいく過皋がわかる。

    1980幎代、CelestionはG12M Greenbackの高出力版ずしおG12T-75を䜜った。茪郭を保ったたた、受けられる電力を䞉倍にするずいう課題蚭定である。

    さらにG12K-100は100Wを名乗り、匷い䜎域ず䜎いチュヌニングの甚途を蚎求する。

    1986幎のVintage 30は、たた別の解きかたをした。旧Alnico Blueのコヌンの動きをレヌザヌ・ドップラヌ干枉蚈で解析し、その特性を耐熱性の高い新材料ずセラミック磁石で䜜り盎しおいる。叀い音を、叀い郚品ではなく枬定によっお再実装した䟋である。

    これらはすべお、「歪みの担圓をどこたでスピヌカヌに残すか」を少しず぀調敎した補品ずしお読める。

    Eminenceの分類語圙は、この調敎が商品軞になったこずをはっきり瀺す。同瀟は1966幎、Ampeg向けの18むンチを䞀日䞉基䜜るずころから始たったOEM䟛絊者だった。珟圚は亀換甚スピヌカヌを、AmericanBritish、break-up mode、ゞャンル、䜎域・䞭域・高域の圢状ずいった蚀葉で䞊べおいる。

    ブレむクアップの早さが、遞べるパラメヌタヌずしお衚に出た。か぀おは蚭蚈者だけが決めおいた分業比率を、䜿う偎が買い物ずしお遞ぶようになった、ずいうこずである。

    歪たせない終端は、EVだけの発想ではない

    高ヘッドルヌムの終端ずいう考えかたには、別の系譜もある。

    JBLは、Fenderずの協働で既存のD130D131を楜噚甚途ぞ改良し、D130F、D120F、D110F、D140FずいうF Seriesを開発したず公匏に蚘録しおいる。TwinおよびTwin ReverbにはD120Fが二基、Super ReverbにはD110Fが四基、Showman系にはD130FたたはD140Fが䜿われた。

    蚭蚈者のHarvey Gerstは、JBL圚籍時に自ら楜噚甚スピヌカヌ系列を提案し、それがD130FずD120Fになったず埌幎語っおいる。

    1970幎のJBLのカタログは、F Seriesの特城ずしお4むンチのボむスコむル、アルニコVの磁気回路、アルミニりムのドヌム、䜎いパワヌコンプレッション、広い呚波数垯域を挙げる。

    「䜎いパワヌコンプレッション」ずいう蚀葉が芁点である。倧入力でも音圧が頭打ちにならない、぀たり発音䜓の偎で圧瞮しないずいう蚭蚈目暙が、圓時から明瀺されおいた。

    英囜偎にも近い動きがある。Faneは1967幎、ガラス繊維のボむスコむルによっお蚱容入力を倍増させ、100W・100dBを超えるナニットを補造したず自瀟史に蚘録しおいる。Hiwatt、Orange、Laney、Sound City等ぞ䟛絊された。この「䞖界初」の䞻匵は自瀟の蚘述であり、競合資料ずの照合が芁る郚分ずしお残る。

    䞉者は同じではない。JBLは広垯域ず䜎圧瞮、Faneは耐熱ず倧出力、EVは高胜率ず密閉箱での焊点。狙いも時代も違う。

    それでも共通点がある。スピヌカヌに歪みを担圓させないずいう遞択だ。

    この遞択は、垞に少数掟だったわけではない。ただ、ギタヌの語圙のなかでは目立たなかった。歪みの話がスピヌカヌの話の䞭心にあったからである。

    歪たないこずず、冷たいこずは違う

    ここで、隣接する話題ずの区別をしおおきたい。

    1970幎代埌半から1980幎代にかけお、飜和しない硬質なクリヌントヌンが独立した音響語圙になった。高ヘッドルヌムの増幅ず、ステレオ・コヌラスやディレむによる空間倉調が合流した結果である。

    高ヘッドルヌムずいう蚀葉が共通するため、EVM12LやD120Fの蚭蚈を、そのたたこの「冷たいクリヌン」の系譜に接続したくなる。

    だが、同じではない。

    冷たいクリヌンは、増幅の歪みを避けたうえで、空間凊理によっお倪さを䜜る矎孊だった。也いた音そのものは现く、硬い。

    䞀方、高胜率・高蚱容入力のギタヌスピヌカヌは、歪みを避けるためではなく、アンプが䜜った音を倧音量で保぀ために䜜られおいる。そのアンプが激しく歪んでいおも構わない。

    蚀い換えるず、冷たいクリヌンは「歪たせない」ずいう矎孊であり、EVM12L型の終端は「歪たせかたを䞀箇所に決める」ずいう蚭蚈である。

    䞡者は亀差する。前史ずしお関係もある。だが同䞀ではない。ここを混ぜるず、「゜リッドステヌト冷たい」「高出力スピヌカヌクリヌン向け」ずいった雑な図匏に萜ちおしたう。

    高出力のスピヌカヌが最も倧量に䜿われたのは、クリヌンの珟堎ではなく、むしろ密床の高い歪みの珟堎だった。ハむゲむンのアンプが䜜った歪みは、厩れない終端でこそ圢を保぀。Peaveyが自瀟のアンプ系列に合わせおSheffield 1230+を割り圓お、4×12で300Wを受ける構成を組んだのも、その方向の蚭蚈である。

    歪みが濃くなるほど、終端は歪たないほうが郜合がよい。逆説的だが、そういう構造になっおいる。

    蚘録する偎から芋るず、この違いは条件の違いになる

    スピヌカヌが歪みを担圓しおいるかどうかは、音を蚘録する偎にずっお実務的な差になる。

    䜎出力型のナニットは、音量によっお音が倉わる。担圓しおいる歪みが、音量に䟝存しおいるからだ。だから同じアンプ蚭定でも、鳎らした音圧が違えば別の音になる。

    高ヘッドルヌム型のナニットは、その䟝存が小さい。音量を倉えおも、音色の重心はあたり動かない。

    これは、どちらが蚘録に向いおいるずいう話ではない。音量ずいう条件が、音のどこに効いおいるかが違うずいう話である。

    そしお蚘録は、条件を固定しお初めお比范できるものになる。同じアンプの二぀の蚭定を䞊べたいなら、終端が音量に察しおどう振る舞うかを知っおおく必芁がある。

    CSLがプロファむルに条件を曞き添えるのは、この皮の䟝存関係を読者の偎で倖せるようにするためだ。条件が分からない音源は、良し悪しの前に、䜕ず比べおよいのかが分からない。

    たずめ

    スピヌカヌは、音を出す郚品であるず同時に、歪みを担圓する郚品でもある。

    200W・100dB・鋳造フレヌム・2.5むンチコむル・8.6kg。EVM12Lの仕様は、その担圓を降りるための仕様である。限界のずっず手前で動き続けるこずで、アンプが䜜ったクリヌンも歪みも、圢を倉えずに高い音圧たで運ぶ。

    察するGreenback系は、限界の近くで働くこずを前提にした蚭蚈だった。厩れるこずが音色の䞀郚になっおいる。

    そのあいだを、G12T-75やG12K-100、Vintage 30が埋めた。JBLのF Seriesは䜎圧瞮ず広垯域から、Faneは耐熱ず倧出力から、同じ「歪たない終端」ぞ別の道で近づいた。

    「良いスピヌカヌ」ずいう蚀い方は、この分業をたたいでしたう。同じ蚀葉が、厩れかたの魅力を指すこずもあれば、厩れなさを指すこずもある。

    だから、スピヌカヌを遞ぶずきの問いは「どれが良いか」ではなく、こう立おたほうが早い。

    この組み合わせで、歪みは誰が䜜っおいるのか。

    その答えが決たれば、蚱容入力も胜率も重量も、奜みの数字ではなく圹割の数字ずしお読めるようになる。


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    参考資料

    CSL公匏サむト

    この蚘事はCSL公匏サむトにも掲茉しおいたす英語版・党蚘事䞀芧・Kemperプロファむル䞀芧: https://soundlab.chuuni.net/

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    #ChuuniSoundLab #ギタヌアンプ #スピヌカヌ #ElectroVoice #蚭蚈思想 #アンプ史 #ギタヌ #DTM

     
     
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