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[継ぎ妄] 秋はガトーショコラの気分

    金木犀の香りを感じる頃。

    この街にも、やっと少し慣れてきた。
    新卒で入った会社。
    東京本社勤務の希望はあっさりと裏切られ、大阪支社で始まった私の社会人生活。

    控えめに言ってクソだった。
    大阪支社に配属されたのは私ともう一人、岩手出身の男の子。
    彼には、みんな優しい。
    なのに、私が東京出身というと、大阪人にとって私は「東京モン」という生き物になるらしい。
    「やっぱり東京の人はセンスがいいわ〜」
    ってさあ、なんか含みを感じる私が悪いのかな?
    地方採用の地元の同僚の女子とはあまり気が合わない。
    もちろん大阪の人みんながみんな、そうじゃないって、分かってる…

    あーーー!!Tiara行きたい!!

    ストレス溜まったら友達とプリンセスパフェ「Tiara」に行くのがいつもの流れだったのに!
    東京から離れるし…しかも…しかも…Tiaraは閉店してしまったらしい…。
    私はこのダンジョンみたいな駅の街で、どこでプリンセスになればいいっていうの?

    秋は大好きな季節だから、毎年このくらいのときは遊びの予定を立ててワクワクして過ごしているのに…
    せっかくの休日なのに、なんだか沈んだ気分のまま、なんとなく街をぶらついていても気分は晴れない。

    ふと、一件のお店が目にとまった。
    ひっそりと佇むPatisserie。
    あれ、こんなとこにケーキ屋さん…
    店の中に飾られたアレンジメント、開店祝の札に書かれた贈り主を見て、衝撃だった。

    「祝開店 夢ヶ丘ミラージュ」
    「祝開店 プリンセス喫茶 My Road」

    嘘…!絶対「Tiara」関係だ!
    店内に入ると、確信した。
    Tiaraほどにはキラキラしてない。
    でもこの白を基調とした、品がありながらも落ち着ける、居心地のいい雰囲気…。
    Tiaraだ…!

    「いらっしゃいま…」
    店の奥から店主らしき男性が出てきて、私を見て、ぎょっとした。
    そうだよね、だって私、泣いてる。

    「お客様、大丈夫ですか?」
    「Tiaraですよね?」
    「…はい?」
    「池袋の、プリンセスパフェの、Tiaraと関係あるんですよね?」
    「あ、ええ。Tiaraは母の店で、私もいくつかパフェを作ったりしていまして。」

    その後、私は店主の男性に、いかにTiaraを愛していたかを涙混じりに熱弁し、おすすめだと言うガトーショコラを買って帰った。

    お気に入りの紅茶を淹れて、ガトーショコラを味わう。
    これ!2月限定のパフェ「バレンタインの秘密〜ガトーショコラの囁きに秘めた想いを伝えて〜」のガトーショコラだ!食べ進めるとさらにショコラの香り、奥深さが増している気がする。
    でもこのガトーショコラは。

    Tiaraだ。
    まさか、オーナーの息子さんのお店に出会えるなんて。
    「Patisserie Éclat」
    Éclat…輝き、か。
    このガトーショコラがあるなら、私もここで、もう少し輝けるように、頑張れるかな。
    お店の袋の中に、最後に店主さんが渡してくたものが入っている。

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    「よかったらどうぞ」って、なぜか少し恥ずかしさそうに個包装タイプのピンクの可愛い綿棒もくれた。
    綿棒って、なんで?

    まあ、いっか。
    プリンセスは小さいことは気にしないしね!

    マロさんの書いてくれたTiaraのオーナーの息子さんが開いたPatisserieにプリンセスがご来店されました。よかったね…

    つぎつぎ継ぎ妄が…。
    楽しすぎますね。


     
     
    散歩と妄想と質問箱の質問に答えるのが好きな文化系中年女性です。 あんこは粒あん派です。

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