
🚒 第2話「消防車にも喉頭鏡を積んではどうか?」―あるベテラン救命士が出した提案と、組織が出した答え―
お疲れ様です🍵
あおぞらです🌤️
第1話では、
「救急車が来るまで、何ができる?」
という問いについて、一緒に考えていただきました。
今回は、その問いをさらに一歩進めてみたいと思います。
実は以前、
こんな提案をした救命士がいました。
🗣️「消防車にも、喉頭鏡を積んではどうか?」
最初にこの話を聞いたとき、
私は少し考え込んでしまいました。
「なるほど……」
確かに、と思う部分があったからです。
その救命士は、決して
「消防隊員なら誰でも喉頭鏡を使えばいい」
と言っていたわけではありません。
そうではなく、
救急の経験や知識を持った職員が消防隊として先着したとき、救急車が到着するまでの時間をどう生かせるのか。
そこを考えていたのです。
🚑 なぜ、そんな発想が出てきたのか?
窒息によるCPA。
これは、救急隊にとっても非常に厳しい現場です。
胸骨圧迫を続ける。
人工呼吸を行う。
AEDを装着する。
それでも、
「原因となっている異物が気道に残っている」
という状況があります。
もちろん、消防隊が先着した場合でも、できる処置はあります。
そして、まず何よりもCPRを開始し、AEDやBVMなどを用いて救命処置を継続することが重要です。
しかし、
「もし、そこに救急の教育を受けた職員がいたら?」
「もし、その職員が喉頭展開・異物除去の技術を身につけていたら?」
「そして、救急車が到着するまでに、その技術を安全に活用できる仕組みがあったら?」
そんな疑問が、
あの提案につながったのだと思います。
🔎 ここで、少しだけ整理してみます
ここは誤解してほしくないところです。
「救命士の資格を持っているから、消防隊として出場したときも自由に喉頭鏡を使える」
という話ではありません。
救急隊員が行う応急処置には、法令上の基準があります。
消防庁の「救急隊員及び准救急隊員の行う応急処置等の基準」では、一定の救急隊員について、喉頭鏡や異物除去用の鉗子などを使用して吐物・異物を除去する処置が定められています。
また、消防庁の教育指針では、兼任救急隊員の教育項目として、「喉頭展開・異物除去」も挙げられています。
つまり、
「喉頭鏡を使う技術そのものが、救急の世界で特別なものとして存在している」
わけではありません。
問題は、
誰が、どのような資格・教育を受け、どのような体制のもとで、それを行うのか。
ここなのです。
⚖️ 「できる・できない」だけでは終わらない
私は、この話を考えるとき、
「消防隊だからできない」
という一言だけでは、少し違うように感じます。
一方で、
「救命士ならできる」
と単純に考えるのも危険です。
実際の救急活動では、
・ 教育
・ 技術の維持
・ 組織としての運用
・ 医療機関や医師との連携
・ メディカルコントロール
・ 活動時の安全管理
など、いくつもの条件があります。
だからこそ、
「できる人がいるなら、やればいい」
という単純な話ではありません。
むしろ、
「できる人を、どう安全に活用できる仕組みにするのか?」
という問題なのだと思います。
🚒 消防車は「火を消すため」だけの車なのか?
ここで、少し視点を変えてみます。
消防車に乗っている隊員の中には、
救急隊として活動した経験を持つ人もいます。
救命士として多くの現場を経験した人。
救急隊員として傷病者に接してきた人。
救急の教育を受け、訓練を重ねてきた人。
そんな人たちが、
現在は消防隊として活動していることもあります。
では、その経験や技術は、
消防隊になった瞬間に、
すべて使えなくなってしまうのでしょうか?
もちろん、
「資格や経験があるから何でもできる」
ということではありません。
でも、
せっかく身につけた救急の知識や技術を、救命のために生かせる場面はないのだろうか。
そう考えること自体は、
決して間違っていないと思うのです。
💭 「難しいから、やらない」のか?
私は、ここが一番考えさせられるところでした。
新しいことを始めるには、
当然リスクがあります。
教育も必要です。
訓練も必要です。
活動基準も必要でしょう。
そして、組織として責任を持って運用する仕組みも必要です。
だから、
「難しいからやらない」
という判断になることもあると思います。
でも、
もし本当に必要性があるのなら、
私はもう一つの考え方もあると思っています。
「難しいからこそ、できる人を育てる。」
「難しいからこそ、安全にできる仕組みを考える。」
という考え方です。
🚑 救急救命士の気管挿管も、そうでした
救急救命士が行う気管挿管も、
「誰でもできる処置」ではありません。
教育を受け、
必要な資格・認定等の条件を満たし、
定められた手順や医療との連携の中で行われています。
つまり、
「危険だから、できない」
で終わらせるのではなく、
危険性があるからこそ、
教育し、訓練し、条件を定め、安全に実施できる仕組みを作る。
そういう考え方が、救急医療の世界にはあります。
だから私は、
「消防車に喉頭鏡を積む」という提案を聞いたとき、
単純に
「できるのか?」
だけではなく、
「どうすれば、安全にできるのか?」
という視点で考えてみてもいいのではないかと思いました。
🌱 もちろん、答えは簡単ではありません
ここまで読んで、
「それなら消防車にも喉頭鏡を積めばいいじゃないか」
と思われる方もいるかもしれません。
でも、実際にはそんなに簡単な話ではありません。
誰が使用するのか。
どこまでの教育を必要とするのか。
どのような訓練を継続するのか。
医師からの指示や助言をどうするのか。
活動後の検証をどうするのか。
そして、
そもそも現在の制度では、どこまで認められているのか。
ここまで考えると、
「消防車に喉頭鏡を積む」
という一つの提案が、
実はかなり大きな問題につながっていることが分かります。
🔎 そこで、私は調べてみました
「消防隊員だからできない」
本当にそうなのだろうか。
「救命士だからできる」
本当にそうなのだろうか。
そもそも、
救急隊員とは、どこまでを指すのか?
そして、
救急の教育を受けた消防職員が、消防隊として活動するとき、その知識や技術はどのように位置づけられているのか?
調べていくと、
思っていた以上に興味深いことが見えてきました。
次回は、この部分をもう少し掘り下げてみたいと思います。
🌤️ 第2話を終えて
今回も最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました😊
「消防車にも喉頭鏡を積んではどうか?」
一見すると、少し大胆な提案に聞こえるかもしれません。
でも、その背景にあったのは、
「救急車が到着するまでの時間を、どうすれば救命につなげられるのか?」
という、現場から生まれた素朴な疑問だったのだと思います。
私自身も、この記事を書きながら、
改めて考えさせられました。
次回は、
「喉頭展開は、本当に消防隊員にはできないのか?」
というところから、制度や教育について調べてみたいと思います。
それでは、第2話はここまでです。
お疲れ様でした🍵