
コミュニケーションは「能力」ではなく「環境」である
京都大学SCD養成講座で、私のコミュニケーション観が変わった
AI時代「コミュニケーション能力を高めましょう」と教育現場やビジネス研修でよく聞きます。でも、もしコミュニケーションの問題が個人の能力ではなく「環境設計の問題」だとしたらどうでしょうか。
私はその問いに向き合うため、
京都大学ソーシャル・コミュニケーションデザイナー(SCD)養成講座を受講しました。
結論から言うと、この講座は私のコミュニケーション観を大きく書き換える体験でした。
コミュニケーションの問題は、人ではなく「環境」デザインの問題
なのだと、私は考えるようになりました。
コミュニケーションは「複雑系」である
講座の中で印象的だったのは、次の考え方です。
コミュニケーションデザインとは
コミュニケーションを「複雑系」として捉え、その環境を設計すること。
私たちはつい、
✔ 話し方が下手
✔ 説明が苦手
✔ 空気が読めない
といった個人の能力に原因を求めてしまいます。
しかし京都大学SCDでは違います。
コミュニケーションは、
✔ 人
✔ 関係性
✔ ルール
✔ 場
✔ 情報
✔ 感情
などが絡み合う複雑なシステムです。
つまり問題は「誰が悪いのか」ではなく
「どんな環境ならコミュニケーションが成立するのか」
なのです。
この視点を知ったとき、私は強い納得感を覚えました。
あらゆる現象を「コミュニケーションデザイン」で見立てる
講座を受けてから、私の思考にある変化が起きました。
それは、このnoteにも沢山投稿していますが、すべてをコミュニケーションデザインとして見立てる視点です。
例えば講義の中では
「管理会計もコミュニケーションデザインである」
という体験がありました。
中小企業診断士の勉強で財務・会計を学んだ私は、正直、驚きました。

しかし考えてみると、数字は単なるデータではありません。
数字は
✔ 組織の行動を変え
✔ 意思決定を導き
✔ 共通理解を生む
つまり組織のコミュニケーション装置なのです。この視点を得てから、私は日常の出来事をこう考えるようになりました。
これはどんなコミュニケーション環境が設計されているのだろう?
この「見立てる力」は、問題解決の可能性を大きく広げてくれます。
「きこえにくい」を体験するワークショップ
講座の後半では、グループで社会課題に対する仕組みをデザインする演習がありました。私たちのチームが取り組んだテーマは、難聴者のコミュニケーション理解です。
難聴は、決して特別な人だけの問題ではありません。
✔ 加齢による難聴
✔ ストレスによる突発性難聴
✔ 片耳の聞こえづらさ
誰にでも起こり得るものです。
そこで私たちは、「きこえにくい」を体験するワークショップを設計しました。
家庭や公共空間のシーンを想定し、健聴者が「聞こえにくさ」を体験しながらコミュニケーションの難しさを理解するプログラムです。
準備にかけた時間は、約2000分。
協働作業の過程で
✔ 難聴当事者へのヒアリング
✔ 補聴器の専門家へのインタビュー
✔ 視覚障害体験プログラムへの参加
など、フィールドワークも行いました。
この経験を通して強く感じたのは、
小さな声を社会につなぐ仕組みの必要性
でした。
コミュニケーションは「社会のインフラ」である
このワークショップはまだ完成ではありません。発表後のフィードバックでは、
✔ 進行設計
✔ 体験デバイス
✔ 情報提供のタイミング
✔ 運営の標準化
など多くの改善点が見つかりました。しかしそれは同時に、社会実装へのヒントでもありました。
修了後には社会実装に向けて
✔ プログラムのブラッシュアップ
✔ 当事者インタビュー動画の制作
✔ スポーツイベントでの実施
などを検討しました。
コミュニケーションを設計することは、社会のインフラをつくることなのかもしれません。
私の実践は、すでにSCDだった
振り返ると、私がこれまで取り組んできた活動は、まさにソーシャル・コミュニケーションデザインそのものでした。
私は企業200社の若手リーダーが参加する研究会で、
✔ 異業種の人たちの関係性をつくり
✔ 共通の問いを設定し
✔ 協働研究の場をデザインする
というファシリテーションを行っています。
さらに個人活動では
✔まちづくり
✔ NPOの組織開発
✔ 高校生のキャリア支援
✔ 大学サッカー部の社会性教育
など、対話・共創の場づくりに関わっています。
SCDの学びは、これらの活動に新しい意味を与えてくれました。
コミュニケーションを「設計」する人へ
コミュニケーションは偶然に任せるものではありません。
適切な環境を設計すれば
✔ 人は協働できる
✔ 小さな声は届く
✔ 社会は少しずつ変わる
そう私は確信しています。
もしあなたが
✔ ファシリテーター
✔ ワークショップデザイナー
✔ 組織開発に関わる人
✔ 社会課題に関心がある人
なら、京都大学SCD養成講座はきっと大きなヒントになるでしょう。
私自身、この学びを社会に実装していきたいと思っています。
そして次回の講座で、新しい仲間と出会えることを楽しみにしています。
さあ、みんな
ソーシャル・コミュニケーションデザインという共通言語で、
「誰ひとり取り残さないこと」、言い換えれば「基本的人権の尊重」を建前に終わらせず、現実の社会で実現していこう!