
遺書 漫画家アシスタント物語 第1章 4
《 写真上:東京、Jr(旧国鉄)山手線目白駅付近。2005年撮影 》
まだ、「第1章〈1〉」をお読みでない方は、先に「第1章〈1〉」をお読みいただく事をお薦めいたします。
まとめてお読みになりたい方は、去年編集した、改編前のマガジン「第1章、第2章」をどうぞ!
〚 前回のあらすじ 〛
はじめて、漫画家ジョージ秋山に面接した時、最初から不用意な発言で叱責される‥‥ 取り返しのつかないドジを踏んでしまった。
4 うなぎの味もわからない
出鼻をピシャリと撃たれて血の気の失せている私は、何もわからないまま怯えていました。
編集員と談笑していた先生が私を見る。
アシスタントになりたくて‥‥ のこのこやって来た青年を憐れむように‥‥
「 おみぃ~仕事やめちゃって、困ってんだろぉ・・・・でも、俺だって困るぜぇ‥‥」
そう言って苦笑いします。
そのかすかな笑いに、私は希望の灯りを見るのです‥‥
「 机も椅子もみんな使ってっからよぉ、おみぃ~の座るイスはにぃ~んだよな~! 」
私は、溺れては浮かび、また溺れる‥‥ 何度かそれを繰り返します‥‥
しかし、最後に・・・・・・
「 まぁ・・・ また来いや」
・・・・って、いったい、ОKなのかNОなのか・・・・・
とにかく、数日後、アポをとって3度目の挑戦へ向かいます。
東京、目白の夜。
秋山プロのドアのブザーは壊れてる。
それは、もうわかっているので、ノックします‥‥
返事は無い・・・・・・・・・・
もう一度ノックする‥‥
『 どうしよう‥‥ この時間に来ると言ってあるのに・・・ 』
ガチャッ
ドアが大きく開き、ジョージ秋山と連れの男性が一人出て来た。
「 なんだ、おみぃ~? これから、出掛けるところなんだよ 」
アポイントなんて、なんの意味もないのか‥‥
「 まあ縁が無かったって事だな 」
茫然としている私を見て、さすがに気の毒に思ったのか‥‥‥‥
「 せっかく来たんだから、メシでも食うか・・・? 」
1978年の春の夜。
私は、この「 メシでも食うか・・・? 」の一言で救われた気分なりました。
秋山のこの言葉で、『 何とかなるかも・・・・・・ 』と、希望がつながった思いです‥‥

JR線目白駅から10分ほどの所にある、うなぎ割烹料理店へ。
ジョージ先生( 少しだけ親しみがわいてくる )、山際淳司氏( スポーツライター(『江夏の21球』etc 、惜しい事に若くして亡くなられました )、そして私の3人。
高そうなお店で、美味いはずなのに、緊張のため鰻を食ってるんだか、蛇を食ってるんだかわからない・・・・・・
ただ、この時の会話を今でもはっきり覚えています。( 50年前のこの時の会話を! )
ジョージ先生と山際氏との対話に、私が入り込む余地はなく、ただ黙っていました。
鰻をご馳走になり、アシスタントにも使ってくれそうな感じです。( 十分スタッフはそろっているのに )
私はうな重に夢中になっているフリをしながら、沈黙を守りながら‥‥
『 余計な一言で失敗したら、今度こそヤバい 』
一言も喋らない私に、山際氏が話しかけてくれます。( 私に気を使って下さっているんだと‥‥その時には思いました )
山際氏、クールに・・・・( 目の鋭い人でした )
「 いつ頃、プロになるんですか? 」
急に踏み込んで来るような質問に、ちょっと戸惑いつつ・・・・
「 ア・・・アシスタントを2,3年やってから 」
山際氏、表情一つ変えずに・・・・
「 2,3年やって、ダメだったら? 」
ジッと私を見たまま‥‥‥‥
「第1章 5 」へつづく‥‥
「第1章 3 」へもどる‥‥
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