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遺書 漫画家アシスタント物語 第1章 3

     
     
                  《 写真上:秋山プロ、私のデスク 2004年 》
     
     
      
    まだ、「第1章〈1〉」をお読みでない方は、先に「第1章〈1〉」をお読みいただく事をお薦めいたします。

    まとめてお読みになりたい方は、去年編集した、改編前のマガジン「第1章、第2章」をどうぞ!
     

     さて‥‥ 本文の前に‥‥ 
     

    マガジン「漫画家アシスタント物語」を、連続で購読してくれた方を紹介させてください。 すぱいくさん ‥‥‥‥‥ ありがとうございました!
     
    今回は、すぱいくさんの裁判記録記事の中から‥‥『自転車のサドルに“興味”を持ってしまった50代男』をリンクさせていただきました!
     
             ⇩      ⇩      ⇩


     
           

            3 漫画家先生の面接試験

     

    三顧の礼を尽くすとは、よく言ったもので・・・・・
     
    ジョージ秋山( ‘78年当時、35歳、週間月間連載合わせて5誌 )には、弟子入りを数回断られました。

    最初は、電話で「 アシスタント? 募集してねぇ! 」と、あっさり断られ‥‥

    しかし、こっちだってバイトを辞めて背水の陣でいるから、『 はい、そうですか 』とはいきません。 
     
    私は‥‥
     
    「 と・・・とにかく、絵を見ていただくだけでもいいんです! 」
    ‥‥と、無理やり面接へ持ち込みます。
     
    自信のある原稿を何枚か持って先生のマンションへ・・・・・・ 


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                       小汚い秋山プロのドアと意味不明の札。2007年撮影


    そこで‥‥ 23歳の世間知らずが‥‥

    生まれてはじめて出会う「 才能 」に震え上がるのです‥‥

     
    1978年3月某日‥‥( 昭和53年・・・ホントに古い話で申し訳ない! )

    ボンヤリとした春の夕暮れ。

    マンションのドア・・・・ ブザーが壊れているのだろうか(カチャカチャと、何度押しても叩いても反応がない)・・・・・・‥‥

    仕方がないのでノックすると‥‥‥‥

    ドアを開けてくれたのは、アシスタントでショートカットの女性でした。 案内されて通されたのが、奥にある先生の個室。

    私が座ったソファの向かい、こっちに背を向けて仕事中の様子。 入り口から個室へ入る、まるで虎の檻へ入るように‥‥

    「 失礼いたしま‥‥す‥‥ 」

    しかし、返事は無い・・・・・ 先生の背中はピクリともしない。

    「 はじめまして‥‥ 小池です 」

    まったく、返事は無い!

    物凄く空気が重い!( 息苦しい、ホントに息が苦しくなる )

    その時、部屋の奥のソファで原稿の仕上がりを待っている編集員が‥‥

    私に話しかけ‥‥ いや、私を救うように‥‥

    「 ここは良いよぉ、アシスタントになれるといいね! 休みは多いし、徹夜は無いし・・・・ 本当に、ここは楽だよ~ 」( それは本当だった ) 
     
    まだ23歳、緊張でガッチガチ‥‥

    私は、編集員の親切な言葉をただ黙って聞いていたましたが‥‥

    『 黙っていてはダメだな‥‥ 何か喋らなくては‥‥ 』

    でも、言葉がなかなか出てこない。


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           アシスタントの仕事場。右のドアを入るとガラスの奥が秋山の個室。1979年撮影



    今、「 浮浪雲 」( 小学館『ビックゴミックオリジナル』当時の大ヒット作 )が仕上がったようだ‥‥ 

    ストーリーは江戸の町、問屋場の頭かしらとその家族のドラマだ。

    デスクから離れ、先生が私の正面のソファーに腰を下ろす。 編集員も先生も黙っている。

    私は、この緊張した沈黙に耐えられない‥‥‥‥

    適当に当たりさわりのない事を考える‥‥ 軽いあいさつを‥‥

    「 あのぉ、先生は結婚してらっしゃるんですか? 」
     
    ジョージ秋山は、私を見切ったように‥‥ 言葉を吐き捨てた。

    「 おみぃ~は、『 浮浪雲 』の何処を見てっだよっ!」

    私は、震え上がって、思考が凍り付いてしまう。

    「 あれが、結婚してねえ奴に描けるかぁ?」

    「 ‥‥‥‥‥‥ 」思考停止。

    「 あれが、子供のいねぇ奴に描けるかぁ?! 」 
     
    たぶん、先生の声は小さかったかもしれない、でも‥‥ 私には落雷に撃たれたような衝撃でした・・・・・・。 

    その後、先生は編集員と何事もなかったように談笑します‥‥‥‥

    私など、最初から‥‥ 何処にもいなかったように‥‥‥‥

     
     
     

                       「第1章 4 」へつづく‥‥

                       「第1章 2 」へもどる‥‥

                          「もくじ」 へ‥‥
     
     
     
     
     
     
      

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    42年、漫画家アシスタントをやって・・・ 馬鹿な男が残したかった・・・教訓! 挫折と後悔の手記を・・・ 全漫画家アシスタントと全漫画家志望者へ!   アシスタント歴:ジョージ秋山、かわぐちかいじ他 1987年ヤングジャンプ青漫賞デビュー 宝塚大学背景美術非常勤講師2010-16年

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