
あなたの会社では、AIをどこに置きましたか?——「AIを使う」から「AIを配置する」へ
「君、今日から我が社でもAIを導入しよう」
「はい」
「ところで、月いくらだね?」
「1人月20〜25ドル程度です」
「じゃあ、とりあえず10人で」
AI導入完了。
……本当にそうだろうか。
AIを配る
生成AIが普及して、企業でもAI導入が進んでいる。
社員にアカウントを配る。
AI研修をする。
議事録を書かせる。
メールを書かせる。
資料を要約させる。
確かに便利だ。
2時間かかっていた仕事が30分になることもある。
だが、それだけでは会社全体の生産性は、それほど変わらない。
仕事の構造そのものは変わっていないからだ。
人間がやっていた仕事を、そのままAIに手伝わせているだけである。
AIを配置する
では、AI導入とは何なのか。
たとえば仕事を、
入力 → 判断 → 処理 → 確認 → 承認 → 記録
と分解してみる。
そのうえで考える。
どこをAIに任せるのか。
どこを人間が判断するのか。
どこで人間がAIの出力を確認するのか。
どこから先はAIに触らせないのか。
ここまで考えて、初めて「AIを配置する」という話になる。
AIを社員に配ることと、
AIを仕事の中に配置することは違う。
「どこに置くか」という問い
AIをどこに置くかを考え始めると、妙なことが起きる。
AIそのものより、仕事について考える時間が増える。
この判断は誰がしているのか。
何を根拠に判断しているのか。
必要なデータはどこにあるのか。
例外が起きたら誰が処理するのか。
最終的に誰が責任を持つのか。
AIの話をしていたはずなのに、いつの間にか業務分析になっている。
たぶん、それでいい。
AI導入とは、新しい道具を買うことではなく、
人間とAIの配置図を描き直すこと
なのだと思う。
そして数か月後
「君!」
「はい」
「1人月20〜25ドル程度と言ったじゃないか!
すごい請求書が来てるぞ!」
「はい。なんでもAPIというやつでして」
「API?」
「どうやら会議の音声データを全部AIに渡していたようです。先日の報告書も、それを使いました」
「……そうか」
「はい」
「よくまとまっていたな」
AIは、もう会社のどこかにいる。
問題は、
どこにいるのかを、会社が知っているかどうかだ。