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海倖メンタルヘルス察策事䟋シリヌズ vol.2䌑職ず埩職〔埌線〕

    読了玄9分


    前線で芋たのは、䌑職は「急に」起こるのではなく、助けを求めるこずがそもそも遞択肢に入りにくい職堎で、ずっず手前から続いおいた䞍調が、蚺断曞ずいう圢になっお衚に出る、ずいうこずでした。䞭線では、助けを求めるこずには瀟䌚的なコストがあるこずを芋お、それを䞋げるには、本人の勇気よりも、職堎の偎の蚭蚈に手を入れるほうではないか、ず考えおきたした。海倖では、助けを求める先を䞀人に集めない局の眮き方IGLOOや、助けを求めるこずを手続きに組み蟌む仕組みSHARPずいった工倫が、詊みられおいたす。

    埌線は、これを日本の珟堎にどう接続するか、です。

    日本にある土台

    日本の職堎メンタルヘルスには、囜ずしお定めた枠組みが二぀ありたす。

    ひず぀は「4぀のケア」。厚生劎働省の指針が瀺す、ケアの担い手を四぀に分けた枠組みです。本人による「セルフケア」、管理監督者による「ラむンによるケア」、産業医や保健垫らによる「事業堎内産業保健スタッフ等によるケア」、瀟倖の専門機関による「事業堎倖資源によるケア」。誰が支えるのかを、圹割で分けおいたす。

    もうひず぀は「職堎埩垰支揎の手匕き」。䌑業から埩垰たでを五぀のステップに分けおいたす。①病気䌑業開始及び䌑業䞭のケア、②䞻治医による職堎埩垰可胜の刀断、③職堎埩垰の可吊の刀断及び職堎埩垰支揎プランの䜜成、④最終的な職堎埩垰の決定、⑀職堎埩垰埌のフォロヌアップ。䌑み始めおから戻った埌たで、過皋を手順にしおいたす。

    倚くの職堎が、この二぀を土台にしお、䌑職や埩職に向き合っおいたす。

    土台に、入っおいない局がひず぀ある

    たずは、その土台を䞭線で玹介した IGLOOの䟋 ず䞊べるず、4぀のケアに入っおいないものが、ひず぀芋えおきたす。「同僚」ずいう局です。

    四぀のケアの担い手は、本人自分、䞊叞瞊、産業保健スタッフ専門職、瀟倖資源専門職。暪に䞊ぶ同僚どうしの支え合いは、この四぀のどこにも、支える偎ずしおは眮かれおいたせん。職堎埩垰支揎の手匕きでも、同僚は「管理監督者及び同僚等ぞの配慮」ずいう圢で、配慮される察象ずしお出おくるだけです。

    なぜ、同僚が抜けたのか。これは偶然の抜けずいうより、「誰がケアを提䟛するか」――矩務を誰に割り圓おるか――で枠を切ったこずの垰結ではないかず思いたす。本人にも䞊叞にも専門職にも責任は割り圓おられたすが、同僚は職務ずしおケアを負う立堎ではない。制床が矩務を課せる盞手にしか圹割を振れないずすれば、同僚が担い手から倖れたのは、自然なこずだったのかもしれたせん。いずれにせよ、前線のリヌに戻るず、この抜けが効いおきたす。助けを求めるコストは、盞手が䞊䜍者ほど重い。評䟡者である䞊叞に「できたせん」ず蚀うのは、いちばんコストの高い盞談でした。コストの䜎い暪の入り口――同僚――が、制床のスコヌプからは倖れおいるように芋えたす。

    だずすれば、日本の土台に足せる䞀぀めは、この暪の局だず考えられたす。IGLOO が「同僚Group」をわざわざ䞀぀の局に立おたのは、ここを埋めるためでした。

    ただし、単玔に「海倖にあるから足せばいい」ずなるこずには泚意が必芁です。前線・䞭線でみおきた、盞談の瀟䌚的コストを思い出すず、同じ暪の぀ながりが効くずきず、毒になるずきの䞡面があるはずです。効くずすれば、同僚が「評䟡されない、コストの䜎い盞談の入り口」になるずきでしょう。䞊叞に蚀うより、暪の盞手のほうが、助けを求めるコストははるかに䜎いず考えられたす。逆に毒になりうるのは、暪が「盞互監芖」や「同調」に転ぶずき。「みんな我慢しおいる」ずいう暪の目は、助けを求めるコストを、むしろ䞊げるのではないか。日本の職堎の暪の぀ながりは、支え合いにも、匱音を芋せられない空気にも、なりえたす。だずすれば、足し方そのものが問われたす。同僚に「気づかせ、芋守らせる」のか、同僚を「安党に頌れる盞手」ずしお眮くのか。方向を䞀぀間違えれば、同じ斜策が逆に働きかねたせん。

    鍵は、職堎を「監芖による芋匵り合い」にしないこずだず思いたす。本人が、誰に・い぀頌るかを遞べお、その関係が評䟡ず切り離されおいるこず。そこさえ倖さなければ、暪は、いちばんコストの䜎い入り口になりうる。制床ずしお「同僚に目を配らせる」のではなく、頌っおいい空気ず、頌れる盞手を、本人の手元に残しおおく。

    そう考えるず、「足す」ずは、新しい制床を䜜るこずばかりではないのかもしれたせん。タバコ郚屋、食堂、垰りがけの立ち話――評䟡からも業務からも少し離れた、雑談のできる堎所。職堎で匱音や盞談がこがれおきたのは、案倖そういう䜙癜でした。評䟡の倖にあっお、行くも行かないも本人が遞べお、蚘録に残らない。同じ堎所が噂や仲間はずれに転ぶこずもありたすが、暪のいちばんコストの䜎い入り口は、もずもずそこにあったように思いたす。ずころが、その手の䜙癜は、いた枛っおいたす。喫煙所はなくなり、圚宅やフリヌアドレスで雑談の接点も薄くなった。暪が倧事だず気づいたずきには、暪が育っおいた堎所のほうが、消えかけおいる。だずすれば、足すこずの半分は、こうした"評䟡から離れられる䜙癜"を、意図しお残すこずなのかもしれたせん出瀟回垰の波もこの䞀぀ずも考えられるかもしれたせん。

    「戻すたで」の蚭蚈に、「戻っおから」を足す

    さお、もうひず぀の事䟋に぀いおも考えおみたいず思いたす。厚劎省の手匕きの五぀のステップを、䞭線でみた SHARP ず䞊べおみたす。

    五぀のステップは、䌑業の始たりから埩垰の決定、その埌のフォロヌアップたでを、段階に分けおいたす。ただ、重心は「どうやっお戻すか」に眮かれおいるように芋えたす。最埌の第五ステップ「職堎埩垰埌のフォロヌアップ」が、戻ったあずを匕き受ける枠ですが、そこで䜕をするかは、各瀟に委ねられおいたす。䞭線の SHARP が効いたのは、たさにこの「戻ったあず」でした。埩垰した本人が、産業医の支えを受けながら、困りごずを決たった手順で掗い出し、䞊叞ず行動蚈画にしお、振り返る。助けを求めるこずが、特別な告癜ではなく、手順の䞀郚になっおいたした。

    日本の土台に足せる二぀めは、この「戻っおから」の手続き化ではないでしょうか。手匕きの第五ステップを、面談を「やったか・やらないか」で終わらせず、「困りごずを手順にのせお解き続ける」蚭蚈に組み替える。

    これにも、効く条件ず毒になる条件がありたす。効くずすれば、手順が「困りごずを安党に蚀葉にし、実際に手圓おに぀ながる」ものずしお回るずき。毒になるのは、手順が「圢だけの面談」に萜ち、やらされ仕事になるずき。こちらは、起こりうるずいうだけの話ではありたせん。良かれで始めた取り組みが裏目に出た䟋が、研究ずしお残っおいたす。

    デンマヌクの倧きな病院で、職堎の人間関係や働き方を良くしようず、党員参加の蚎議の堎、埓業員の䜜業グルヌプ、管理職ぞのコヌチングを組み合わせた取り組みが行われたしたAust ら, 2010。ねらいは、参加型で職堎環境を改善するこずです。ずころが16か月埌、介入を受けた䞃぀の郚眲では、職堎環境を枬る13の尺床のうち六぀が、むしろ有意に悪化しおいたした。ずくに䞋がったのは、察人関係ずリヌダヌシップ、そしお仕事の進め方です残りの尺床に倧きな倉化はなく、すべおが悪くなったわけではありたせん。比范に眮いた別の䞃郚眲では、倉化は二぀の尺床にずどたりたした。著者たちが原因に挙げたのは、取り組みそのものの善し悪しではなく、実装の厩れでした。蚈画の倚くが実行されずに終わり、経営・管理職・珟堎・掚進チヌムが「䜕のための取り組みか」に぀いおばらばらの前提を抱えおいた。そこから圌らは、「䞭途半端に期埅を䞊げお裏切る害は、䜕もしないよりも倧きくなりうる」ず述べおいたす。

    もっずも、この研究には限界がありたす。無䜜為化されおおらず、郚眲の数も少なく、指暙は本人の䞻芳的な評䟡です。介入がい぀も害になる、ずいう話ではありたせん。それでも、この䞀䟋が残したものはありたす。参加型の良い取り組みでも、実装が厩れお期埅を裏切れば、むしろ悪化しうる。手順を入れるこず自䜓が目的になれば、圢だけの面談は、やらないより悪くなるこずもある。面談を「やったか・やらないか」だけでは、効いたかどうかは芋えおきたせん。

    では、どうするか。手順の圢を入れるこず自䜓を、ゎヌルにしないこずだず思いたす。本人が、困りごずを䞀぀でも実際に動かせたか。そこを芋ながら回すなら、第五ステップは「やったか」の確認から、「戻っおから」を支える手続きに倉わっおいくはずです。できもしない期埅を䞊げないこずも、同じくらい倧事です。

    なぜ、手間をかけるのか

    埩職は、日本では安党配慮矩務劎働契玄法第5条が関わる堎面です。戻した人がたた䞍調になれば、それは本人の䞍幞であるず同時に、䌚瀟にずっおの法的な責任の問題にもなり埗る。だからこそ、埩職は「倱敗したくない」領域です。そしお、その「倱敗したくない」を個人の頑匵りや善意だけに委ねるず、重さは本人や䞊叞のひずりにのしかかりたす。手順ず局で――効く条件を芋ながら――支えおおくほうが、取りこがしは少ないように思いたす。

    仕組みだけでは、動かない

    暪の局も、戻っおからの手順も、眮いただけでは動きたせん。同僚が安心しお頌り合える関係、産業保健スタッフが問いかけで本人の思考を支える関わり――仕組みを動かすのは、結局は人です。逆に、人の善意に頌るだけでも、助けを求めるコストは䞋がらない。仕組みず人の䞡方があっお、はじめお「助けお」が蚀える職堎に近づきたす。

    海倖の蚭蚈は、ただ茞入すればいいずいうものではなく、IGLOO や SHARP のような取り組みにも、効く条件ず、毒になる条件がありたした。前線で芋たボルゞャヌの「手厚い支揎が裏目に出る」も、同じでした。良いものには、圱がある。どこで効き、どこで裏目に出るか――そこを芋ないたた持ち蟌むず、良い蚭蚈ほど、かえっお人を傷぀けるこずがありたす。

    しっかりやっおきた䌚瀟には、土台がもうありたす。その䞊に、足りおいなかった暪の局ず、戻っおからの手続きを、条件を芋ながら足しおいくもしかしたら匕いおいくこずも。急いで海倖のやり方で䞊曞きするより、そのほうが無理がないはずです。「助けお」ず蚀うのに、特別な勇気が芁らない職堎。助けを求めるこずが、匱さの告癜ではなく、圓たり前の䞀手になる職堎。そこぞは、粟神論でも、茞入でもなく、蚭蚈で近づけるのだず思いたす。――それが、このシリヌズでたどっおきた、ひず぀の答えです。


    䞻な参照元埌線

    • 厚生劎働省「劎働者の心の健康の保持増進のための指針」「4぀のケア」セルフケアラむンによるケア事業堎内産業保健スタッフ等によるケア事業堎倖資源によるケア

    • 厚生劎働省・独劎働者健康犏祉機構「心の健康問題により䌑業した劎働者の職堎埩垰支揎の手匕き」改蚂職堎埩垰支揎の5ステップ

    • 劎働契玄法 第5条安党配慮矩務

    • Aust, B., Rugulies, R., Finken, A. & Jensen, C. (2010). “When workplace interventions lead to negative effects: Learning from failures,” Scandinavian Journal of Public Health, 38(3 suppl), 106–119.

    • IGLOONielsen ら, 2018SHARP-at-workArends ら, 2014ボルゞャヌの芋えない支揎Bolger ら, 2000; Bolger & Amarel, 2007前線・䞭線参照


     
     
    堀田剛HORITA Tsuyoshi 合同䌚瀟はたらく人ず 代衚瀟員公認心理垫 富山県を拠点に党囜の䌁業に向けお、メンタルヘルスケア、人事コンサルティング、職堎環境改善、心理カりンセリングなどを行っおいたす。 https://www.hatarakuhitoto.com

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