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ねえ、生成AIの癖って結局どうなったの?生成AIを作る側から見た、AI癖の全貌① AIの癖おさらい 


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    こんにちは黒パグです🐾
    「AIっぽい文章」と聞いて、どんな文章を思い浮かべますか?

    きれいに並んだ見出し。何でも三つに分ける説明。やたらと深まる理解。最後に登場する「未来への第一歩」。

    ああ、見覚えがあります。
    文章なのに、妙に顔なじみ。

    今の生成AIは、指示や設定に合わせて文体を変えられます。短く書く、くだける、説明を減らす。見た目を変えられると、昔覚えた「AIっぽさの見分け方」が、そのまま通用するとは限りません。

    一方、口調が自然になっただけで、説明の中身まで自然になったとは限らない。

    今日は、モデルや指示、評価の仕組みを作る側の視点から、そんな癖をゆるく棚卸ししてみます。前半は、おなじみのあるある。後半は、文章をもう少し丁寧に見るための「鑑識」の話です。

    ちなみに、以下の例文は説明のための作例です。特定のモデルの発言や、誰かの実体験を再現したものではありません。

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    昔の「AIっぽさ」は、いまどうなっている?

    この記事は、全モデルを同じ条件で測った進化の年表ではありません。モデルや指示、アプリの設定で、同じ時期でも文章は変わります。本当にモデルの進化が早くて驚くほど大変です。

    以前から見覚えのある癖を入り口に、現在の改善報告と研究、それから文章の見方を描きます。

    そして、モデルの進化が進んでも現時点では変わらなかったものを検出するシステムは出来上がりつつあります。

    今回は知ってる方も多くいると思いますがおさらいですね。

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    ① 何でも三つに分ける

    「ポイントは三つあります」

    三つに分けると、読みやすいですよね。説明する人も安心します。私も使います。

    ただし、元の内容は二つなのに、三つ目に「今後の展望」が生えてくることがあります。項目を並べ終わるために、新しい項目を作ってしまう。

    「見出し不要」「箇条書きなし」といった指示で、この形を変えられるモデルもあります。でも、普通の段落に直しても、内容の重複まで消えたとは限りません。

    三つ目が本当に新しい話をしているか、読んでみます。

    ② 「重要です」で、話を終える

    「信頼関係を築くことが重要です」

    ええ。それは分かります。
    で、明日の朝、誰が何をするのでしょう。

    抽象的な結論は、いろいろな場面に置けます。そのぶん、置けただけで説明が済んだように見えやすい。

    「誰が何をするかまで」と指示して、行動に落とした答えを求めることもできます。「担当者が毎週金曜日に回答状況を確認する」となれば、少なくとも仕事が一つ見えます。

    ただ、「具体的に」と言われて、根拠のない担当者や曜日を追加してしまうこともありえます。詳しくなった文章が、正しくなった文章とは限らない。この二つ、見た目がよく似ています。

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    ③ 同じことを、少しずつ言い換える

    「日々の積み重ねが大切です。継続することが成果につながります。一歩ずつ進む姿勢が未来を開きます」

    三周しました。まだ同じ場所です。

    「詳しく説明して」に応えた文章が、補足ではなく言い換えで長くなっていることもあります。短く書かせる工夫はできますが、短い文章にも言い換えだけの一文は入ります。

    一方で、繰り返しが必要な文章もあります。注意事項を再確認する。前半の言葉を結末で回収する。少しずつ意味を変えながら、感情を積み上げる。

    同じ言葉があることより、二度目に何が増えたかを見たいところです。

    ④ 何にでも、いい面と悪い面を用意する

    「便利ですが、注意も必要です」

    間違いではありません。便利なものには、たいてい注意点があります。

    困るのは、比較が必要ない場面でも、左右の皿を埋め始めること。「この文の誤字を直して」に対して、文章表現の自由と正確性について議論されると、誤字が取り残されます。

    たとえばOpenAIは、2025年のGPT-5公表で、指示に従う能力の改善を報告しました。ただ、両論が書いてあること自体は問題ではありません。読者の判断に必要な違いを示しているか、ただ無難な位置に着地しているか。そこが分かれ目です。

    ⑤ やたらと、こちらを褒める

    「素晴らしい着眼点です!」

    まだ「こんにちは」しか言っていないんですが。

    親しみやすさと、過剰な同意は近い場所にあります。気持ちよく会話できる返答が、いつも正しい返答とは限りません。

    これは、単に昔のモデルの話でもありません。OpenAIは、2025年4月のGPT-4o更新で過剰な迎合が増えたとして、更新を戻しました。その後のGPT-5では、迎合を減らしたと報告しています。

    調整によって良くなることも、逆に悪くなることもある。だから「新しいからもう大丈夫」とは片づけられません。

    褒め言葉の量より、こちらが間違っているときに、理由を示して訂正できるか。そのほうが付き合ううえでは大事です。

    まあ、モデルがいくら進化しようとジェミニは変わらないんですが……😰

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    ⑥ 小説の最後に、教訓がついてくる

    物語が終わる。
    主人公が窓を閉める。
    余韻が残る。

    そこへ、解説員が入場します。

    「この経験を通じて、彼は人とのつながりの大切さを学んだのだった」

    せっかく閉めた窓から、結論が入ってきました。

    「教訓を書かない」「最後は行動で終える」といった指定で、締め方を調整できます。ただ、説明を消すと、今度は何が起きたのか分からなくなる文章もあります。

    結末の説明が、読者に必要な情報を渡しているのか。それとも、すでに伝わったことをもう一度言っているのか。余韻は、文末の静かさだけでは作れません。

    この癖には研究の裏付けもあります。CHI 2025の専門家による編集研究では、クリシェや不要な説明などが整理されました。対象はGPT-4o、Claude 3.5 Sonnet、Llama 3.1 70Bなど、当時のモデルです。

    さらに2026年のStoryScope研究でも、対象の英語物語集合で、AIの物語は主題を説明しすぎ、整った一本道の筋を好む傾向が報告されています。今の研究でも「解説員」は話題なのです。ただし、日本語のnote原稿すべてに当てはまる結果ではありません。

    ⑦ 情景が、きれいすぎる

    淡い光。かすかな風。静かな決意。

    どれも使える表現です。でも、どの部屋にも同じ光が入り、誰もが同じ決意を抱くと、その作品ならではの景色が薄くなります。

    描写を具体的にする指示はできます。「窓枠に残った塗料」「机の脚に挟んだ紙」といった細部も書けます。

    ただ、具体的な小道具があるだけで、人間が書いた証明にはなりません。AIも小道具を出せます。

    その細部が、人物の暮らしや、後の行動につながっているか。飾りとして置いただけか。ここまで見ると、文章の話ができるようになります。

    ⑧ 急に距離が近くなる

    少し前まで「ご検討ください」だったのに、次の段落では「やってみよう!」。

    声の衣替えが早い。

    文体の指定に合わせる改善が進むと、くだけた文章も作りやすくなります。そのため、昔のような丁寧語の連続だけを探しても、見逃す場面が出てきます。

    気になるのは、何も変わっていないのに語り手だけが突然別人になる場合。口調の種類より、切り替わる理由があるかを見ます。

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    ⑨ つなぎ言葉だけは、立派

    「したがって」「一方で」「つまり」。

    この三人、仕事ができそうな顔をしています。

    でも、「したがって」の前後が、本当に理由と結論になっているとは限りません。話題を移しただけなのに、結論を導いた形になることがあります。

    接続詞を削ると文章は軽くなりますが、筋道が直るわけではありません。反対に、接続詞がなくても、話のつながりが明確な文章はあります。

    前の段落が、次の段落の判断を支えているか。ここは見た目の自然さだけでは確認しにくい部分です。

    ⑩ 途中で、条件が入れ替わる

    最初は「一人で使う場合」の話。
    結論では「チーム全体の効率」が良くなっています。

    いつの間に増員したのでしょう。

    こうしたずれは、整った文章の中にも入り込みます。対象、時点、単位、前提のどれかが、途中で動いている。

    「月曜に七件」「火曜に九件」なら、増えたのかもしれない。「七人」と「九件」なら、数えているものが違います。

    比較するときは、何と何を比べているのかをそろえる。この地味な確認が、かなり効きます。

    ⑪ 出典があるので、安心してしまう

    参考文献が並んでいる。
    リンクもある。
    なんだか急に、文章が正装しました。

    ところが、リンク先が存在しても、その資料が目の前の主張を支えているとは限りません。ある条件で得られた結果を、条件を外して紹介している場合もあります。

    検索や資料参照を組み合わせると、確認に使える材料は増えます。でも「資料が出てきた」と「資料との対応を確認した」は、別の作業です。

    「検索しました」「確認しました」という報告も、その言葉だけで完了を確かめられるわけではありません。何を開き、どの箇所を根拠にしたのかまで示せると、読み手も後を追えます。

    本文の主張と、出典に実際に書かれていることを照らし合わせたいところです。

    ⑫ 「分かりません」が、丁寧になる

    「一概には言えません」「追加の確認が必要です」。

    誤った断言を避けるのは大切です。ただ、確認が必要と言われても、何を確認すればよいのか分からない場合があります。

    たとえば、応募要項に「締切日の23時59分までに受信した応募を受け付ける」とあるのに、受付記録が見つからないとします。

    「受信時刻を確認します。締切までなら受付対象、締切後なら今回の受付対象外です」と書けば、足りない情報と確認後の道筋が見えます。

    必要なのは、丁寧な保留の言葉だけでなく、判断に足りないものと、確かめた後の道筋。ここまで書いて初めて、保留が仕事をします。

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    作る側から見ると、癖はどこから来るのか

    生成AIは、どこかにある「AI文体テンプレート」を、毎回取り出しているわけではありません。

    まず土台には、大量の文章から、文の続きを作る方法を学ぶ段階があります。言葉の並びだけでなく、文脈に合う展開や説明の形も学習します。「三つのポイント」や結末のまとめも、現れうる形の一つ。単に一番よくある単語を並べる仕組みではありません。

    次に、指示に応えるための追加学習や、人の評価を使った調整があります。役に立つ、分かりやすい、親切だと評価される答えに近づけます。ただ、評価の組み方によっては、補足の多さや気持ちのよい同意が目立つこともあります。

    さらに、使うときの指示とアプリの設定。「詳しく」「短く」でも結果は変わり、アプリが見えないところで丁寧さを指定することもあります。土台、調整、いまの指示。この三層が一緒に働きます。

    使う側には「このAIの性格」に見えるものが、作る側からは「この条件の組み合わせで出ている振る舞い」に見えることがあります。

    そして、文体を変えることと、前提を最後まで守ることは、同じ作業ではありません。

    くだけた口調で、対象を取り違える文章も作れます。短い文章でも、証拠から結論へ飛ぶことがあります。誤字や言いよどみを混ぜても、説明の筋道が良くなるわけではない。

    だから、AI癖を直す作業を「よく使う単語を禁止する」だけで終えると、見た目だけが変わることがあります。丁寧語を脱いだ文章が、同じ寄り道をしている。

    服装は変わりました。道はまだ間違えています。

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    そこで「鑑識」は、文章の働きを見る

    今回まとめた『AI鑑識学v5における関係単位の文章鑑識』では、文章に見える型と、その型が前後の記述の間で何をしているかを分けて記録します。

    やることを、読者向けに四つにほどくと、こんな見方です。

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    文体:繰り返しや言い回しで、内容は増えている?
    閉じ方:結末は、ここまでの展開を受けている?

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    継ぎ目:段落の前後で、対象や条件はそろっている?
    証拠:この主張を、その資料で支えられる?

    入口は、見覚えのある型で構いません。

    「なんだか同じ話が続くな」と思ったら、前の文と次の文を比べる。「この結論、急だな」と思ったら、結論を支える記述を探す。

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    たとえば、こんな二つの反復。

    「大丈夫。心配しなくていい。きっと大丈夫だから」

    母は「大丈夫」と言って、泣く子の手を握った。
    三十年後、子は「大丈夫」と言って、入院した母の手を握った。

    前者は、根拠が増えないまま安心を重ねています。後者は、同じ言葉でも、声をかける側が入れ替わります。誰が誰を支えるのか。その変化に、年月が乗っています。

    どちらも「大丈夫」の繰り返しです。でも、文の間で起きていることは違う。前者も、不安な人物の口癖としては働くかもしれません。そこは前後を読んで判断します。

    必要な働きを見つけたら、それも記録する。気になる箇所だけを探していると、よく書けている理由が消えてしまうからです。

    段落を丸ごと「問題あり」と片づけても、見落とすものがあります。

    引用は正確だけれど、結論は広げすぎている。説明は長いけれど、比較に必要な条件は示している。一つの段落にも、支えられる部分と、支えきれない部分が同居します。

    鑑識では、その混ざり方も残します。

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    分からないところでは、何が未確認なのか、どの資料があれば確かめられるか、確認結果で判断がどう変わるかを書く。先ほどの応募受付も、その小さな例です。

    論文でできたことと、これからのこと

    名前に「AI鑑識」とあるので、「これで誰が書いたか当てられるの?」と思われるかもしれません。

    論文でまとめたのは、文章と資料の関係を記録し、所見を後から確かめられるようにする方法と実装です。誰がどう作ったかまで判断するには、執筆や編集の履歴も必要です。

    2026年10月2日原稿のv0.2では、関係を記録する規約と、それを支えるソフトウェアをまとめ、実装の検査を行いました。実モデルを使った評価は、この原稿ではまだ0件です。文章の判断がどれだけ改善するかは、これから確かめます。作者を当てる精度や「AIが書いた確率」を示した論文ではありません。

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    結局、AIの癖は消えたの?

    見た目の癖は、指示や設定によって減らせるものがあります。メーカーも、文体や指示への対応、迎合について改善を報告しています。

    ただ、「整いすぎているからAI」「誤字があるから人間」「細かい描写があるから実体験」といった見方だけでは、制作工程を決められません。

    文章を読むときには、こんな小さな問いが役に立ちます。

    - この一文で、何か新しいことが増えた?
    - 前と後で、同じものの話をしている?
    - 結論を支える材料は、どこにある?
    - 分からないなら、何を確かめれば先へ進める?

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    noteを読んでいて、少し引っかかったら、一つだけ確かめる。それくらいからで十分です。

    その文章が何を伝え、どこでつまずき、どこがちゃんと働いているのか。そこまで話せると、「AIっぽいね」のひと言より、ずっと役に立つ感想になります。

    そして、最後に大切なことがあります。

    ……と書くと、また解説員が入ってきそうなので、今日はここで閉めます。

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    参考資料

    この記事の基礎資料は『AI鑑識学v5における関係単位の文章鑑識』全文版v0.2です。関係や機能を記録する方法と実装をまとめています。原稿は2026年10月2日、組版は10月13日。

    - StoryScope: Investigating idiosyncrasies in AI fiction
    https://arxiv.org/abs/2604.03136v6:2026年の英語物語研究。主題の過剰な説明や、整った一本道の筋など、物語の構造を分析。
    - AI文学の文体を、専門家の編集から調べた研究
    https://arxiv.org/abs/2409.14509:CHI 2025。GPT-4o、Claude 3.5 Sonnet、Llama 3.1 70Bを対象に、クリシェや不要な説明などを検討した研究。現在のモデル全般の状態を測った資料ではありません。
    - Introducing GPT-5
    https://openai.com/index/introducing-gpt-5/:OpenAI、2025年8月7日。文体、指示追従、迎合などの改善についてのメーカー報告。
    - Sycophancy in GPT-4o
    https://openai.com/index/sycophancy-in-gpt-4o/:OpenAI。2025年4月の更新で生じた過剰な迎合と、更新を戻した経緯。
    - Aligning language models to follow instructions
    https://openai.com/index/instruction-following/:追加学習と人の評価を使ったInstructGPTの調整例。全モデルが同じ訓練を受けるという意味ではありません。


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