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音楽レビュー『大瀧詠一』大瀧詠一(1972)はっぴいえんどのようで、はっぴいえんどとも違う

    【約2200字/5.5分で読めます】

    【こんな人にオススメ】
    ・はっぴいえんどが好き
    ・いろんなジャンルが混じった音楽が好き
    ・遊びのある音楽が好き

    【こんな時にオススメ】
    ・聴く音楽がマンネリ化している
    ・のんびり自宅で
    ・気分転換に

    大瀧詠一のアルバムを
    はじめて聴いた

    17歳のときに YMO を聴き、細野晴臣を知り、彼のソロに手を出し、18歳ではっぴえんどの『風街ろまん』('71)にハマった私ですが、大瀧詠一の作品にはなかなか手が伸びませんでした。

    はっぴいえんども『風街ろまん』しか聴いていませんし、なんとなく大瀧詠一の楽曲にまで興味が向かなかったんですよね。

    中学時代にはシングル『幸せな結末』('97/ドラマ『ラブジェネレーション』主題歌)が売れていましたし(オリコン2位)、YMO を聴く前は彼が楽曲を提供していたラッツ&スターにハマっていたので、気にはなっていたのですが、なぜか後回しにしていました。

    なんとなく語りにくい

    細野さんのことならスラスラ書けるのですが、大瀧詠一には近づきがたいイメージがあるのです。

    何より彼のことを知らないというのも大きいですが、恐れ多い感じがするんですね。

    このソロデビューアルバムが、はっぴえんどの活動期間に発表されていたというのも、今回調べるまで私は知りませんでした。

    なぜ、はっぴえんどの活動期間中にソロを発表したのか気になって調べてみると、レコード会社の関係があるようです(はっぴえんどは URC、大瀧詠一のソロはキングレコード)。

    これも最近まで知らなかったのですが、『風街ろまん』は大瀧詠一がレコーディングに参加していない曲も多いようで、一人で楽曲制作ができるくらいの時間があったようなんですよね。

    はっぴえんどのメンバーも
    参加していますし

    サウンド的にもはっぴいえんどと似ているのですが、はっぴいえんどにはない要素もあります。

    例えば⑩『乱れ髪』のようなストリングスが入るサウンドは、はっぴえんどにはないですね。

    はっぴいえんどに近いサウンドで、壮大なストリングスも違和感なく入るところが大瀧詠一のソロならではでしょう。

    全体的にアメリカのロックやポップスのムードが強く、はっぴいえんどにもそういう感じはありますが、こちらのアルバムの方がアメリカっぽさが強い気もします。

    ①『おもい』は

    コーラスではじまる楽曲で、明らかにビーチボーイズのようなドゥーワップへの意識を感じさせます。

    ②『それはぼくぢゃないよ』は、はっぴいえんどのアルバムに入っていても違和感がないギター主体のフォークロックです。

    ③『指切り』は、アル・グリーンの『Let's Stay Together』('71)を意識して作られたとのことで、松本隆のドラムがかなりそれっぽい超フラットな音色になっています。フルートが入るところにオリジナリティーを感じます。

    ④『びんぼう』は、明らかにファンクを意識して作られたサウンドです。リズミカルなボーカルが気持ちいい一曲です。

    ⑤『五月雨』は④から曲間なしでシームレスに繋がり、ファンクのビートは受け継ぎつつ、ソウルフルなコーラスも入り、細野作曲のはっぴいえんどの『あしたてんきになれ』(『風街ろまん』に収録)に通じるものを感じます。

    ⑥『ウララカ』は

    レコードでいうと A 面のラスト曲で、若干ロック色が強いビートになりますが、こちらにものどかなコーラスが入っており、柔らかい聴き応えです。

    ⑦『あつさのせい』も引き続きロック的な楽曲になっています。歌詞のリズム感がおもしろく、粘っこい歌い回しと刻むような節回しが組み合わされており、大瀧詠一の真骨頂を感じさせます。

    ⑧『朝寝坊』は、イントロのアコギがブルースっぽいかと思いきや、すぐにホーンやウッドベースが入ってきて、レトロなジャズやアメリカンポップスを彷彿させます(こういうサウンドは細野さんもよくやるやつ)。

    ⑨『水彩画の町』こそ、はっぴいえんどの『風街ろまん』的な雰囲気が濃厚です。ドラムやベースはなく、フォーク的なギター弾き語りが『HOSONO HOUSE』('73)っぽいですが、多重録音のコーラスは大瀧詠一ならではですよね。

    ⑩『乱れ髪』は

    冒頭でも述べたようにストリングスも入り、壮大なサウンドになっています。イントロのストリングスには、クラシックの味わいがあって驚かされました。

    ⑪『恋の汽車ポッポ(第二部)』では、再びロックなギターサウンドに戻り、リズムを感じさせる英語+日本語の歌詞が秀逸ですね。

    「第二部」となっているのが気になり調べてみると、シングルとして同じタイトルの楽曲が「第一部」として発表されていました(アルバム発表の翌月。第一部の方があっさりしたアレンジ)。

    ⑫『いかすぜ!この恋』は、古いラジオから流れているようなモノラルサウンドで、左のチャンネルからしか音が鳴りません。音が若干小さくなり、遊び心のある歌にインパクトがありますね。

    ⑫の終盤で、再び⑦『あつさのせい』のイントロが流れ、フェードアウトでアルバムは終幕を迎えます。

    こうして並べてみると、音楽性がとっ散らかった印象です。最初のソロアルバムなだけに、やりたかったことを全部詰め込んだアルバムだったのでしょうね。


    【作品情報】
    リリース:1972年
    アーティスト:大瀧詠一
    レーベル:ベルウッド・レコード/キングレコード

    【アーティストについて】
    1948~2013。'69年、細野晴臣らとともに「はっぴいえんど」を結成。'72年からソロ活動を開始。

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    1982年生まれ(♂)エンタメソムリエ。おもに、映画、本、音楽、テレビ番組、ゲームのレビューやコラムを執筆。エッセイ、写真、詩も投稿します。

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