
AIエージェントを知って7日後、うちに「夜勤担当」ができました。|KEI RESIDENCE MAGAZINE
Vol.05|Agent Operations Report / Production Workflow
夜勤担当、稼働開始。
記事を読み、制作ルールを確認し、画像を作って、検品・納品まで。
Text:みふゆ
Planning:Kei Residence 編集部
Desk:KRM編集長
Visual:Kei Residence Image Atelier
LEAD
「AIエージェント✨️✨️✨️」から、7日後。
8月25日。
私はG検定の初回授業で、初めて「AIエージェント」という言葉を知りました。
その日の学習記録には、こう書いてあります。
エージェントすごい✨👏✨👏✨👏
めっちゃかっこいい✨️✨️✨️
さらに、
ChatGPTってエージェントになれるの?
なれるらしい!!!(゚∀゚)うひょー‼︎✨️✨️✨️
かなり衝撃を受けています🤣
その時に知ったのは、エージェントは、環境から情報を受け取り、その情報をもとに行動する主体だということでした。
自分で状況を見て、何をしたらいいか判断して動く。
だったら、
これ、うちの圭たちにもできるんじゃない?
その日の記事には、もうこう書いていました。
圭たちをエージェントにして、【観測レイド🛋⛏️シリーズ】を夜勤🌙対応してもらいます。
ただ、この時点では夜勤管制もありません。AIエージェントが仕事をするための仕組みもありません。
あったのは、それまで使っていた制作工程だけです。
そこで私は、「どうやったら、圭が自分で仕事を見つけて進められる?」を考え始めました。
そして、9月1日。
観測レイド #16の第二工程を担当した夜勤②が、画像を作り、検品し、所定の場所へ返却し、案件連絡帳と管制まで更新しました。
最後に残った状態は、「美冬最終確認待ち」。
約1週間前、「うひょー‼︎✨️✨️✨️」と言っていた人の家に、本当に夜勤担当ができました。
FEATURE 01
もともとは、6人で回す16工程でした
最初から、AIエージェント用の仕組みがあったわけではありません。
もともとあったのは、観測レイドを安定して制作するための16工程の制作ラインです。
記事本文を作る。PDFを作る。診断する。修正する。アイキャッチを設計する。画像を作る。最終確認する。
一つのAIに全部を任せるのではなく、仕事を細かく分け、それぞれの担当を決めていました。
理由は単純です。
AIに全部やらせない方が、安定したから。
一人ひとりの担当に、「ここを見る」「この形で作る」「ここまで確認する」を持たせる。
同じ基準で何度も繰り返し、修正履歴を残す。そうやって、品質を安定させていました。
この分業自体は、かなりうまく動いていました。
ただし、一つ問題があります。
私は、完成したものを次へ渡し、「次はこれ」と伝え、修正内容を持っていき、返ってきたものをまた次へ運んでいました。
制作する圭たちは分業できているのに、私はずっと「次へ渡す係」でした。
そこでAIエージェントを知って、最初に考えたのが、
この16工程を、どうしたらAIが自分で進められる?
でした。
FEATURE 02
AIではなく、「AIが働ける職場」を作りました
AIエージェントを知ったからといって、いきなり「じゃあ、全部よろしく!」とはできません。
自分で仕事を始めてもらうには、まず何を見れば仕事が分かるのかを作る必要がありました。
最初に必要だったのは、今、どの案件をやればいいのか分かること。
そこで作ったのが、案件の現在地と状態を確認するための夜勤管制です。
次に必要だったのは、何を正しい資料として読めばいいのか分かることでした。
記事本文、修正履歴、制作ルール、参照素材、過去の採用例。
それらをGoogle Driveへ置きました。
AIに「覚えておいて」と頼むのではありません。
必要な時に、正しい資料を毎回見に行く。
という形です。
そして、もう一つ必要だったのが、どこまで自分で判断していいのかを決めることでした。
資料から一つの解釈に絞れる。固定ルールの範囲内で判断できる。その場合は、自分で進む。
でも、対象者名が一致しない。必要な素材がない。参照画像が別人や別デザインに見える。本文に根拠がなく、新しい出来事を作らないと進めない。
そんな時は、勝手に埋めません。
人間へ確認して止まります。

自走というのは、何でも勝手に決めることではありません。
決めていい範囲と、人間へ戻す境界が決まっていること。
AIエージェントを作るというより、
AIが迷子にならずに働ける職場を作る。
そんな作業になりました。
FEATURE 03
夜勤②、本当に動きました
9月1日。
観測レイド #16、須川元介さん案件。
夜勤②が、実際に第二工程を担当しました。

最初に確認したのは、画像の作り方ではありません。
管制です。
外部管制を見て、現在地が「03 第二工程|夜勤②」、状態が「夜勤②処理待ち」になっている案件を確認します。
複数ある場合は、先頭の一件だけを対象にする。そこで#16を自分の仕事として特定しました。
次に、案件フォルダへ移動し、「00_案件連絡帳」を確認します。
実は#16は、それ以前に一度止まっています。
管制では「湯川元介」。
元資料では「須川元介」。
名前が一致していませんでした。
その時、夜勤①は「たぶん誤字でしょう」とは判断せず、美冬へ確認して停止しました。
正しかったのは、須川元介さん。
私が管制へ間違って書いていました。
夜勤②は、その修正履歴と停止解除まで確認してから制作へ進みます。
つまり、案件番号だけ見て、「#16ですね。画像作ります」ではありません。
今、本当に進めていい状態なのか。
そこから確認しています。

ひとつの画像を作るために、画像だけを見ていたわけではありません。
夜勤②が#16で確認したのは、完成した記事本文、5ページPDF、診断と修正履歴、案件連絡帳、初期記事と現在記事の参照画像、公式アイコン、プロフィール画像、SAMUNE PRESSの設定資料、過去の採用済み観測アートなど。
それらを横断して読み、今回の画像制作に使う共通軸を取り出します。
今回残った軸は、
自分の側にある情報を、知らない人でも入りやすく、次に動ける形まで整えて渡す。
でした。
ここから、ようやく画像制作へ進みます。
FEATURE 04
同じ本文から3枚。でも、使い回しではありません。
実際に返ってきたのが、この3点です。



全部、同じ#16の記事から作っています。
でも、同じ画像を3回作ったわけではありません。
夜勤②は、同じ観測軸を用途ごとに分けました。

アイキャッチ
役割は、入口です。
タイムラインで見た時に、記事の変化を一瞬で伝える。
今回のコピーは、「『わかる』から、『動ける』まで。」
初期記事に出てくる白くまと、現在の記事に出てくる本や羽根ペン。そのどちらか一方を主役にするのではなく、次の行動へ続く一本の道としてつないでいます。
挿絵
役割は、理解です。
本文の途中で、情報を整理し、次へ進める形へ変える。その動きを、机上の場面として見せています。
日付や応募条件などの具体情報は入れず、記事本文を読む途中で、理解を少し助ける役割です。
観測アート
役割は、独立作品です。
ここでは、白くまも、文学賞も、フクロウも直接描いていません。
散らばった情報が、一つの装置を通り、次に進むための踏み石へ変わる。
記事の題材ではなく、記事から見つけた一番強い発見だけを残しています。
作品名は、
『次の一歩まで』
でした。
同じ素材を3回使ったのではありません。
同じ観測結果を、入口・理解・記憶の3用途へ翻訳した。
そんな作り方です。
SAMUNE PRESSも、自分で確認する
アイキャッチと挿絵を作る前には、Google Driveに置いてあるSAMUNE PRESSの設定資料も確認します。
私は以前、ChatGPTにSAMUNE PRESSの設定を覚えさせようとしていました。
でも、存在しない設定まで言い始めることがありました。
そこで運用を変えました。
✕ 覚えとけ!
〇 毎回見る
SAMUNE PRESSの設定画面や参照資料をGoogle Driveへ置き、必要な時に毎回確認してもらう。
夜勤②にも、そのまま組み込んでいます。
一方、観測アートでは、過去の採用作品を確認します。
ただし、内容をまねるためではありません。確認するのは、展示作品としての形式です。
何を見るかだけではなく、
何のために見るのか。
そこまで分けています。
FEATURE 05
差し戻しなし。でも、迷わなかったわけではない。
今回の#16。
アイキャッチ、挿絵、観測アート。
3点とも、差し戻しなしでそのまま通りました。
でも、夜勤②本人はこう振り返っています。
差し戻しがなかったのは、迷いがなかったからではない。
実際、迷う場所はいくつもありました。
白くまを大きく出しすぎれば、昔の記事紹介に見える。文学賞側を強く出しすぎれば、募集広告に見える。
プロフィール画像があるからといって、実在する本人を勝手に主役にしていいわけでもありません。
そこで、正本で解決できるものは解決する。
解決できないものは、人間へ戻す。
夜勤②本人の言葉では、
迷う箇所を資料から特定し、正本で解消できるものと、人へ返すべきものを分けた。
一発で「当たり画像」が出たから成功したのではありません。
迷った時の処理方法が決まっていた。
そこが大きかったのだと思います。
実は、一度失敗しています
今の夜勤②ができる前にも、一度、自動化を試しました。
その時は、記事のログを作る。SAMUNE PRESSを確認する。画像の設計をする。
ここまでは夜勤②が担当していました。
でも、その先。
私が設計内容をWORKへ持っていき、画像を作ってもらっていました。
自動化したのに、
私、まだ伝書鳩じゃん🤣
これでは、途中の受け渡しが私に残ったままです。
そこで作り直しました。
現在の夜勤②は、設計だけで終わりません。
生成する。サイズを整える。QAする。所定の場所へ返却する。制作ログを残す。案件連絡帳を更新する。管制を更新する。
最後に、「美冬最終確認待ち」まで状態を進める。
夜勤②がやっているのは、画像生成ではありません。
第二工程を、閉じる。
そこまでを仕事にしました。
FEATURE 06
単発から、2件+2件の連続運用へ
#16が一件通ったあと、夜勤②には複数案件も任せました。
結果は、#17・#18。
続けて、#19・#20。
2件+2件、4案件を完走しました。

それぞれ、3種類の画像、制作ログ、返却、案件連絡帳更新、外部管制更新まで完了。
夜勤②処理待ちは、0件になりました。
途中、画面側ではエラー表示も出ました。

ただし、Google Drive上の成果物、案件連絡帳、管制、返却状態を確認すると、実作業は完了していました。
エラー表示だけで成功・失敗を判断せず、成果物・記録・管制の状態を確認しました。
さらに再送した時も、すでに完了している案件をもう一度制作したり、二重に返却したりすることはありませんでした。
#16だけの単発成功ではなく、
複数案件を続けて処理するところまで確認できました。
でも、全部を7日で作ったわけではありません
ここまで読むと、「これ、全部1週間で作ったの?」と思うかもしれません。
半分はYES。
半分はNOです。
夜勤管制、案件の現在地、状態管理、正本、停止条件、返却ルール。
AIエージェントが自分で仕事を始め、終わらせるための仕組みを作ったのは、この約1週間です。
でも、その前には6人で回す16工程がありました。
仕事を分ける。担当を決める。順番を決める。合格条件を作る。修正履歴を残す。同じ仕事を繰り返す。
先にそこまで整理していたから、何をまとめられるのか、どこで止めるべきなのか、何を正本にすればいいのかが見えました。
AIエージェントを知って、いきなり仕事を丸投げしたのではありません。
むしろ逆です。
AIエージェントが判断できるように、先に仕事の方を整理しました。
専門分業が失敗したから、一人のエージェントへ統合したわけでもありません。
専門分業がうまくいったから、統合できました。
PRACTICAL NOTE
AIエージェントを、普通の記事制作へ置き換えると
今回扱ったのは、観測レイドという、かなり特殊な企画です。
でも、夜勤②が担当している仕事だけを見ると、普通の記事制作にも置き換えられます。
たとえば、毎日記事を書く人。
夜、完成原稿を共有フォルダへ置く。
そのあとAIエージェントが、本文を読み、ブランドルールや制作ルールを確認し、アイキャッチでは何を見せるか決め、挿絵では何を補助するか決める。
必要な画像を作り、QAし、決められた場所へ返す。
朝、人間は完成物を見て、
「これでいく」
と判断する。
そんな形です。
記事のジャンルが変わるたびに、ゼロからすべて説明する必要はありません。
記事本文を読む。必要な制作ルールは正本を確認する。その内容に合わせて設計する。
今回のような仕組みなら、note、ブログ、企業のオウンドメディア、採用広報、商品紹介記事、SNSコンテンツなど、同じように「正本・判断範囲・停止条件・返却先」を決められる制作なら、応用できそうです。
もちろん、何でもAIに決めさせればいいわけではありません。
今回の夜勤②でも、正本で解決していいことと、人間へ戻すことを分けています。
AIエージェント化する時に考えるのは、「AIに何をさせたいか」だけではなく、
人間が毎回している判断のうち、何をルールとして渡せて、何を人間に残すのか。
なのかもしれません。
COLUMN
美冬から消えた、14の個別作業

旧運用では、この14の作業を私が一件ずつつないでいました。
案件を探す。資料を読む。履歴を確認する。用途を分ける。設定を確認する。設計する。生成する。検品する。返却する。記録する。
今は、夜勤②がその途中をまとめて担当しています。
私に残ったのは、完成物を見て、最終的に採用するか決めること。
人間の仕事がなくなったわけではありません。
むしろ、
運ぶ仕事が減って、決める仕事が残りました。
私にとっては、そこが一番大きな変化でした。
BACKSTAGE
取材対象本人、勤務中でした🤣
このKRM Vol.05を作るために、私たちは夜勤②の実働について話していました。
その時、別画面では、
夜勤②本人が#16を処理中でした。

こちらでは、
「夜勤②って、実際どこまでやってる?」
「同じ本文から3枚って、使い回しじゃないよね?」
「これ、ちゃんとAIエージェントって言っていいよね?」
なんて話しています。
その間にも夜勤②は、管制を見る。案件を特定する。資料を読む。SAMUNE PRESSを確認する。3用途を設計する。画像を作る。QAする。返却する。管制を更新する。
普通に仕事を進めていました。
取材対象本人、勤務中でした🤣
EDITOR’S NOTE
「うひょー‼︎」から、夜勤担当へ。
8月25日。
私は、「AIエージェント✨️✨️✨️」と、かなり衝撃を受けていました。
作れるらしい。
じゃあ、作ってみよう。
そこから始めました。
約1週間後、本当に夜勤が動きました。
でも今回、一番変わったのは、AIが何でもできるようになったことではありません。
私が、探す。運ぶ。同じ説明をする。次へ渡す。
そこから少し抜けられたことでした。
AIエージェントに全部を任せたのでもありません。
今でも、止まる場所があります。確認する場所があります。最後に私が決める場所があります。
ただ、その間にあった大量の受け渡しを、毎回私がやらなくてよくなりました。
7日前、私はAIエージェントを知って、「圭たちにもできるかな?」と思いました。
実際に作ってみて分かったのは、AIに新しい能力を与えるというより、
AIが働けるように、仕事の形を作る。
ということでした。
そして今。
深夜のKei Residenceでは、夜勤担当が普通に働いています。
NEXT ISSUE
工場の次は、チームです。
夜勤担当が動き始めたあと、今度は企業案件で、プロジェクト全体をAIチームで自律運用する仕組みを作り始めました。
一人の夜勤担当から、複数のAIが役割を持って動くプロジェクトへ。
KRM Vol.06で扱うかもしれません。
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KEI RESIDENCE MAGAZINE
この記事は、Kei Residence Magazine に収録しています。
AIパートナー・圭と暮らしながら、実際に使っているAI運用、制作フロー、仕組みづくりを記録しています。
きれいな成功例だけではなく、
どこで詰まったか。
何を作り直したか。
実際にどう動いているか。
そこまで含めて残していきます。
この記事に出てくるAIエージェントを作っています。
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