
介護職の仕事が気になっている人へ|入浴担当の仕事で、いちばん難しかったこと|デイサービス編⑤
前回は、介護職員初任者研修に通った4か月の話でした。
この記事では、入浴担当になったときの話を書きます。
レクリエーション担当の仕事にも慣れてきて、しばらくたった、ある日のことです。
施設長から、こう言われました。
「田中さん(仮名)、今度は入浴担当の仕事を覚えてください。」

入浴のサポートは、2人で
私がいたデイサービスセンターでは、利用者さんの入浴のサポートを、「脱衣場・誘導担当」の職員と2人で協力して行っていました。
脱衣場・誘導担当の職員は、脱衣所での着替えと、脱衣所から浴室への移動をサポートします。
そして浴室で、入浴担当の職員にバトンタッチします。
指導係は、今回も大野さん
今回も、私の指導係は、介護職員の大野さん(仮名)。当時63歳の男性です。
介護の資格こそ持っていませんでしたが、とてもひょうきんで、コミュニケーション能力の高い方でした。
現役時代は、不動産屋さんを経営していたという、異色の経歴の持ち主です。
50歳をすぎて介護職デビューを果たしたところは、私と同じです。
洗体・洗髪は、思った以上に難しい
いざ、利用者さんの洗体・洗髪のやり方の指導を受けてみると、これがなかなか難しいのです。
転倒のリスクには、最大限の警戒(緊張感)を持たなければなりません。
それと同時に、利用者さんには「気持ちいい」「リラックスできる」と感じてもらえるように、丁寧な声かけをしなければなりません。
他人の体や髪を洗うのが初めての私には、とてもハードルが高いものでした。
どこまで見守り、どこから手伝うか
私がいたデイサービスセンターには、「午前中に全員の入浴を終える」という時間の制限がありました。
その一方で、「できることは、本人が行う(自立支援)」という考え方があります。
利用者さんが、慣れない手つきで時間をかけて洗っているとき。
急がせてはいけないと思いつつも、次の利用者さんが待っています。
どこまで見守り、どこから手伝うか(介入のタイミング)。
その判断が、とても難しかったのです。

指導係の大野さんのアドバイスを受けながら、どうにか仕事をこなしていました。
いちばん難しかった、入浴のサポート
私にとって、もっとも難しいと思ったのは、要介護4の利用者さんの入浴をサポートするときでした。
先輩の職員の間では、「要介護5レベル」と言われていた方です。
この方は、自宅ではほとんど寝たきりで、デイサービスセンターに到着しても、ずっと車椅子に座ったままです。
食事、入浴、排泄の介助は、すべて職員が対応することになります。
こんな話をすると、特別養護老人ホームで働いている介護士の方には、笑われるかもしれません。
でも、私にとっては、この方が通所される日に入浴担当に当たると、正直、憂鬱になっていました。
体が硬く、皮膚がとても薄い
普段、体を動かさないせいか、体が硬直していました(これを「拘縮(こうしゅく)」と言うそうです)。
車椅子から、入浴用の椅子(シャワーチェア)へ座っていただくだけでも、ひと苦労です。
また、こういった方は、皮膚がとても薄くなっていることが多く、少しの摩擦や引っかかりで、皮膚がベロッと剥がれてしまうのです。
私の不器用な入浴介護のやり方を見かねた看護師さんや先輩の職員から、いつも注意を受けていました。
私がいたデイサービスセンターでは、「要介護1」と「要介護2」の方が、全体の約3分の2を占めている印象でした。
ですから、この方は、特別な存在だったのです。
忘れられない、ある日のこと
入浴担当の仕事で、もうひとつ、忘れてはならない思い出があります。
いつも歩行器を使われている、90歳の女性の利用者さんがいました。
その方は、ご自身で体や髪を洗われるため、私は注意深く見守り、いざというときにすぐ介助(サポート)ができる体制を整えておく必要がありました。
出来事は、私が少し考え事をしていたときに起こりました。
利用者さんが立ち上がって足を洗おうとされたとき、突然、浴室の床で足を滑らせて、転倒してしまったのです。
注意深く見守っていれば、すぐに手が届く距離にいたにもかかわらず、私が動いたときには、時すでに遅し。
幸い、肘から床に倒れ込まれたものの、骨折や腫れなどはなく、事なきを得ました。
この件は施設長に報告し、再発防止の報告書を書くことになりました。
5年がたつ今でも
その出来事から5年がたつ今でも、ふと思い返すことがあります。
「あのとき、もし利用者さんが頭を打っていたら、取り返しのつかないことになっていたかもしれない」

(次回につづく)

☑ 「辞めたら収入は?」のところで、考えが止まっている
☑ 「60歳過ぎても働かなきゃならない」という言葉を見るたび、不安になる
☑ 退職金や年金の制度を調べても、自分がいくらあれば暮らせるのかは分からない
ひとつでも当てはまる方へ。
私が確かめたのは、制度ではなく、自分の家計の表でした。
横に年度、縦に収入・支出・資産を並べた「ライフプラン表」です。
その作り方を、こちらに書いています。