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フェルメール展に行かない方へ贈るオンラインフェルメール展

    数あるnoteの中から
    おいでいただきありがとうございます。

    大阪にて
    フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展
    が開催中!ですね
    (8月21日から9月27日まで)

    私はというと
    一般抽選で落選しました。。

    今回は、
    特に
    抽選に落ちた方や
    さまざまな事情から
    行くことを見送った方へ
    一緒に楽しんでいただきたく
    オンラインフェルメール展
    のような感じで
    絵をご紹介したいと思います。

    行かれない方も
    もしくは行くご予定の方も
    もちろん
    最後まで
    お楽しみいただけたら嬉しいです。

    1666年

    今回フェルメール展で
    展示される
    真珠の耳飾りの少女は
    1665年頃の作とされ、
    1666年前後の
    フェルメールを考えるうえでも
    興味深い一枚です。

    レンブラント先生から
    「年代で絵を見る楽しさ」
    を教えていただきましたので
    現在大阪で展示されている
    「真珠の耳飾りの少女」と
    同時期のフェルメールの絵から
    その当時のフェルメールを
    楽しんでいただければ
    幸いです。

    (余談ですが
    レンブラントから
    教えていただいたという
    年代別鑑賞はこちらのnoteで
    書かせていただきました。

    レンブラントで
    注目しているのは
    「1642年」です。)


    《絵画芸術》ウィーン美術史美術館

    この二枚は
    ほぼ同じ時期に描かれているそうです。

    「真珠の耳飾りの少女」と
    「絵画芸術」。

    画像
    フェルメール 「絵画芸術」 ウィーン美術史美術館所蔵 1666-68年頃

    (展示風景も楽しんでいただければと思い
    今回は写真のトリミングなどは
    しませんでした。
    もうちょっと引きで撮影して
    ウィーン美術史美術館の雰囲気も
    お伝えできればよかった・・・)

    絵そのものを
    楽しみたい方は
    Wikipediaで鑑賞することもできます。

    (ウィーン美術史美術館の公式ページもどうぞ)

    フェルメールの絵がもつ「距離」と「節度」

    前にフェルメールについて
    絵との境界・距離感について
    書かせていただきました。

    フェルメールの絵は
    鑑賞者には絶対に干渉してきません。
    絵の中に世界を閉じ込めている安心感。

    こう書くと
    「干渉してくる絵なんてあるの?」
    と思われる方も
    いらっしゃるかもしれませんが

    実際は、ほとんどの絵が
    鑑賞者へ干渉してくるのです。

    現代美術などには
    目が合っただけで
    オラついて殴りかかってくるような
    作品もあります(怖・・・)。

    長く見ていると
    「深淵を覗くときには……」状態で、
    戻ってこれなくなりそうな絵もあります

    そういう絵は
    危なっかしくて、
    おちおち深く潜れません。

    フェルメールの絵は
    こちらとの距離感を
    正しく設定してくれています。
    私はこれを
    礼儀正しく節度あり
    と受け取っています。

    礼儀正しく、節度のある絵が好きな私にとって
    フェルメールは
    とても好感が持てます。


    こちらがどれだけ近くでみても
    いきなり「ぐいっ」っと
    手を引っ張られるような
    危うさがないのです。

    そういったフェルメールの良さが、
    作品を重ねるごとに
    さらに上手になっているように
    思います。

    この時期の絵をもう一枚。

    画像
    フェルメール 「恋文」 1669-70年頃
    アムステルダム国立美術館

    (アムステルダム国立美術館の公式ページもどうぞ!)


    《絵画芸術》の1666年より
    少し後の絵になります。


    《絵画芸術》でも使っていた
    カーテンなどの効果を存分に使って
    隙間から覗き見るような構成です。

    恋文という
    ドキッとするスリリングな
    状況の絵にもかかわらず

    やはり世界を
    閉じ込めているかのような表現で、

    鑑賞者は
    あちら側から干渉されたり
    攻撃されることのない
    絶対的に安全な位置から
    秘密のシーンを
    覗き見しているかのような。
    そんな絵です。

    そして、1666年の少女へ

    ここでもう一度
    今回大阪にやってきた
    《真珠の耳飾りの少女》へ
    戻ってみたいと思います。

    https://www.mauritshuis.nl/en/our-collection/artworks/670-girl-with-a-pearl-earring?utm_source=chatgpt.com

    (マウリッツハイスの公式ページもどうそ!)

    《絵画芸術》では
    カーテンや椅子
    画家の背中などを使って
    こちらと絵の中の世界との間に
    いくつもの境界を作っています。


    少し後の《恋文》になると
    さらに面白く

    今度はカーテンやドアを使い
    隙間も狭くなっています。

    私たちはまるで
    隣の部屋から
    二人の女性を
    覗き見しているような位置に
    置かれています

    フェルメールは
    絵の中の世界と
    鑑賞者との距離を作るのが
    ものすごく上手です。

    ところが。

    1665年頃に描かれた
    《真珠の耳飾りの少女》には
    そのための道具が
    ほとんどありません。

    部屋もない。
    窓もない。
    ドアもなく、カーテンもない。

    少女と私たちの間を
    遮るものがありません。

    しかも
    少女はこちらを見ています。

    それなのに私は
    この絵から
    「近い」と感じないのです

    少女はこちらを見ているけれど、
    こちらへ踏み込んではこない。

    何かを訴えかけてくるわけでもない

    微笑んでいるようにも
    何かを言いかけているようにも見えるのに
    その答えをこちらへ要求しない

    ちゃんと
    「あちら側」にいる

    これって
    かなりすごいことなのでは
    ないでしょうか。


    1666年、距離を描かなくても距離がある


    私は以前、
    フェルメールの良さを
    「境界」や「距離」だと
    書きました。

    でも今回
    1666年前後の作品を
    改めて並べてみて
    少し考えが変わりました。

    フェルメールが上手かったのは
    「距離を作ること」
    だけではなかったのかもしれません。

    《絵画芸術》では
    カーテンや椅子、
    画家の背中を使って
    距離を作っています。

    《恋文》では
    暗い前室まで置いて
    私たちをさらに遠ざけている。
    でも
    《真珠の耳飾りの少女》では、
    そんなものを全部取っ払っても
    なお、距離が保たれているのです。

    つまりこの頃にはもう、

    距離を「描かなくても」
    距離を作れるところまで
    来ていたのではないか

    そんなふうにも
    私には見えてきました。

    だから私は
    《真珠の耳飾りの少女》を
    単に「美しい少女の有名な絵」
    として見るよりも

    1666年頃のフェルメールが
    どこまで来ていたのかを
    見る一枚として
    とても面白く感じています。

    まとめ
    行けなかったので、1666年を見てみた


    今回私は
    大阪の抽選に落ちました。

    残念!

    本物の《真珠の耳飾りの少女》を
    目の前にして
    この距離を確かめることは
    できませんでした。

    でもその代わりに
    自分がこれまで
    ヨーロッパで見てきた
    フェルメールを並べながら、

    1666年頃
    この画家は何をしていたんだろう。

    と考えてみました

    そうすると
    何度か記事でとりあげて
    見ていたはずの
    《絵画芸術》も《恋文》も
    少し違って見えてきました。

    一枚の絵をきっかけに
    別の美術館で見た絵を思い出したり
    年代を並べたり
    画家が何を描こうとしていたのか
    考えてみたり

    そんな鑑賞も
    結構楽しいものです。

    今回、フェルメール展に
    行かなかった方も、
    行きたくても行けなかった方も。
    この記事を読みながら
    少しでも素敵な時間が
    流れていたら
    私もうれしいです。


    いつか今度こそ、
    本物の少女に会えたら。

    その時は
    どれくらい近くまで行っても
    彼女がこちらへ
    踏み込んでこないのか。

    じっくり確かめてみたいと
    思います。

    今回実際に見に行かれた方、
    ぜひ感想を教えてください。
    本物の彼女は
    どのくらい遠かったでしょうか。


    画像
    アムステルダムのミッフィーショップに飾られている
    ミッフィのデルフト焼き
    よくみると結構攻めたデザイン
    最後にどうぞ🎵




    質問、聞きたいこと、ご感想等、
    お気軽にコメントを書いていただけるとうれしいです。




    記事をまとめてみました。
    ご興味のある記事がありましたらぜひお読みください!

    ○フェルメールについての関連記事

    ○フェルメールと同じオランダ関連(ゴッホ)

    はじめに01 -絵の声を聴く、アート鑑賞について- 好きな画家さん一覧
    https://note.com/killamaru/n/n0cb504116a87
    書き始めた経緯やこのNoteの説明など

    はじめに02 -アートの声を聴く鑑賞について-
    https://note.com/killamaru/n/n3b42879699f8
    「はじめに」の続きですが、私のNoteの中では、♡率が高くて、ありがたいです。

    はじめに03 -審美眼は何年で身につくもの?
    https://note.com/killamaru/n/ne9792bc439fe

    美術鑑賞の余談と後日談
    https://note.com/killamaru/n/nd40d5d0af577

     
     
    絵の声を聴いたり、描かれていない世界を感じたり。ちょっと不思議な美術鑑賞を綴っています。 絵の見え方は人それぞれ。あなたにも、あなただけの鑑賞能力があるはず。 いつかこの楽しさを一冊の本にして、もっと多くの人に届けたい。 記事は随時推敲中。すべて自分の言葉で書いています。

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