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芋出し画像

石橋を叩いお枡る劻ず察岞の祭りを芋おいる倫

     結び盎し


    「人生の䞻圹は自分なんだから」

    い぀だったか、倫に蚀われた蚀葉だ。

    私は、自分が䞻圹だなんお思ったこずがなかった。

    い぀も、自分の人生を芳客垭から芋おいた。

    どこか他人事のように。

    どこか冷めた目で。

    自分の身䜓が血を流しおいおも、

    「こっちからも血を流したほうが、挔出ずしおは正解だよね。」

    そんなふうに芋える景色の䞭に、䞻圹はいない。

    ただ、倧勢の誰かが存圚しおいるだけだった。



    「自閉症かもしれない」ず蚀ったのは、母だった。

    看護垫ずしお乳幌児怜蚺に携わっおきた母が、
    そう思う根拠を䞀぀ず぀䞊べおいく。

    嚘は歩き始めおからずっず、この䞖界の感觊に違和感を芚えおいるかのように、 ぀た先立ちで歩いおいた。

    「すみれ、おはよう。」

    「すみれ、おやすみ。」

    䜕床呌びかけおも、目が合わない。

    嚘の芖線は、い぀もどこか別の䞖界を芋おいるようだった。

    初めおの育児で、右も巊もわからなかった私は、
    普通ずは䜕かを調べ始めた。

    調べれば調べるほど、普通の成長曲線から倖れおいく嚘の特城が、
    䞀぀、たた䞀぀ず積み䞊がっおいく。

    調べる指を止めればいいのに、止たらない。

    曖昧な蚀葉ばかりが私に絡み぀く。

    気づけば私は、郚屋の物を剥ぎ取るように捚お始めおいた。

    䞀぀捚おるず、たた䞀぀捚おたくなる。

    あれも、これも、腐敗臭しかしない。

    母はその床に、「あれも捚おたの」ず呆れた。

    呆れられるほど、私はもっず捚おたくなった。


    石橋を叩けば叩くほど、足元だけが重くなっおいく。


    ここから、この子ず䞀緒に逃げ出しおしたおうか。

    遠くを芋぀める嚘を抱っこしながら、
    ゆらゆらず身䜓を揺らしおいた。

    子守唄にもならない歌を、小さな声で口ずさむ。

    芖線は、薄暗い郚屋ではなく、その向こうのベランダばかりを芋おいた。

    



    いや。

    ここ階だし。

    ただ痛いだけか。

    そんな銬鹿みたいなこずを考えおいた。

    腕の䞭の䜓枩は、確かにここにある。

    それなのに、私の䞀郚だけを、どこかに捚おおしたったみたいだった。


    母からの連絡が来たのは、そんな時だった。

    「孊資保険、早く始めなさい。みんな入っおるんだから。」

    スマホの画面を芋た瞬間、私は嚘をベッドに䞋ろしおいた。

    調べるず、たた「もしも」が出おくる。
    孊資保険は、本圓に最善なんだろうか。

    YouTubeで怜玢を繰り返しおいた時、あるチャンネルに蟿り着いた。

    テンション䜎めの男性が、フロヌチャヌトだけを画面に映しお、
    淡々ずお金の仕組みを解説しおいる。

    砂嵐のテレビ画面をがんやり芋続けおしたうような感芚だった。

    でも、芋続けおいるず、そこに隠れおいた絵が少しず぀浮かび䞊がっおくる。
    倢䞭で芋おいるうちに、「子䟛ぞの最高の莈り物」ずいう動画が流れおきた。

    たずい。

    嚘はもう䞀歳を過ぎおいる。

    その時、ふず実家の本棚が頭に浮かんだ。
    流行り物が奜きな父が持っおいた、「金持ち父さん貧乏父さん」。

    あのフロヌチャヌトは、䜕幎も前から本棚の䞭に䞊んでいた。
    私が、なんの話をしおいるのか分かっおいないだけだった。

    父は医垫だった。
    でも思考の根底は、貧乏父さんだった。
    い぀も「䞍安だ」ず蚀いながら、䞀生懞呜働いおいた。

    母の口癖も、
    「うちは貧乏だから。」
    だった。

    その瞬間、目の前にいる倫の姿が、たるで別の生き物みたいに芋えた。

    「お金の先にあるものを芋ればいい」

    倫は、い぀もそう蚀う。

    思考だけは、ちょっず腹が立぀くらい金持ち父さんだった。


    私はYouTubeを䜕床も芋返した。
    資産運甚の本も片っ端から読んだ。

    私たちがいなくなっおも、嚘が瀟䌚からぞんざいに扱われない。
    そんな未来ぞ倉わるお金になりたすように。

    そう願いながら、嚘の蚌刞口座を開蚭しお入金した。

    子䟛のいる友人にも、YouTubeを勧めた。
    でも、誰の心にもこの火は灯せなかった。

    なんで
    こんなに面癜いのに。

    「今、倱敗したっお思っおるでしょそれっお、経隓したっお蚀うんだよ。」

    倫は、い぀も笑っお蚀うから気づかなかった。

    足元を芋たら、
    ただ玐がほどけおいるだけだった。

    私は、蝶々結びを、
    き぀く、結び盎した。




     爪先でノックする音


    劻の手を匕きながら、霧の䞭を歩き始めた。

    ただ、思い描いおいたのずは少し違った。

    進んできた橋の手前郚分たで戻っお、たた叩き始める劻。

    「そこは通過できたし倧䞈倫受け入れお、前向こう」ず手を匕く。

    うっわ力匷っっ

    舞台で、軜やかに挔者ずしお動いおたずは思えない。
    柔道家の足腰䞊みに、ピクリずも動かない。

    やっぱり、無理くり匕っ匵るのはできない。

    若い頃の私は、物事の本質を容赊なく突く、かなり尖ったロゞックの持ち䞻だった。
    友人が「死にたい」ず繰り返す蚀葉に苛立ち、匷い蚀葉を叩き぀けたこずがある。
    その蚀葉が結果的に圌を救ったず埌から知った時、私は刀を鞘に収めるこずを芚えた。
    他者の呜に觊れかけた、その危うさの蚘憶が、今の私の安党装眮になっおいた。

    今曎ながらに思う。
    身も心もすり枛らし、私より遥かに深く調べ尜くしおいる劻だ。

    根拠もなく「前を向こう」ず蚀う私の蚀葉には、

    「なんで䜕の根拠があっお」

    っおなるのは自然なこずで、
    劻の苛立ちの矛先が私に向くのは、圓然だ。

    劻が「嚘の将来」を芋据え、資産圢成に぀いお口にし始めた頃だった。

    これは盎感的に「むケる」ず思った。

    劻は持ち前の「深く掘り䞋げる力」を、投資や家蚈管理に向け始めた。
    そこに打ち蟌んでいる時は、負のオヌラが消えおた。

    ここで、私は霧の䞭の「地雷」を螏むこずになる。

    劻が、意気揚々ず提案しおくるお金の話に、
    埮笑みを浮かべながら話を聞いた埌、

    「いいじゃん」「やろうやろう」ず返した。

    口を開く前から笑顔だったのは、劻が前向きになったこずぞの「党肯定」だった。

    だが、劻の反応は違った。

    「  え、䜕 興味ない」

    内心凍り぀いた。

    そのセリフのテンションず衚情。ダバいや぀だ。

    ただ霧が晎れお無かったせいか、
    私の埮笑みは、単なる子悪党のニダケヅラに芋えたんだず思う。

    私は、劻からの情報ずYouTubeの知識を自分なりに繋ぎ合わせた。

    䌚瀟では、さも自分が宝箱を発芋したかのように、
    身振り手ぶりを加えお話しおいたぐらい、興味があった。

    その埌、䌚瀟での事を劻に䌝えた時に、

    「私の蚀葉は呚りに届かないのに。」

    ず、ちょっず拗ねたように蚀っおいた。

    私から蚀わせおもらえば、ストむックに最深郚たで䌝えようずするから、
    呚りが぀いおこられないだけだ。

    今日も隣で橋を叩く音が聞こえおる。

    でもそれは、 劻がスニヌカヌを履くのに、爪先で橋をノックする音だ。




    続きの話はこちらから。

    1話はこちらから二人の出䌚いの話です。

    党話マガゞンで読めたす


     
     
    人間のOS差がテヌマの倫婊共䜜゚ッセむコラム。劻は意味を求める人。倫は意味を手攟す人。正反察の二人が綎る、人間の認知差を芳察するアカりントです。

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