
臨床note⑧|身体が重い場所では、何が止まっているのか。
長く身体を観ていると、
不思議なことに出会う。
同じ人の身体なのに、
軽い場所。
重い場所。
柔らかい場所。
硬い場所。
触れた瞬間に変化する場所。
なかなか変わらない場所。
がある。
何が違うのだろう。
昔は、
ただ「硬い」
ただ「凝っている」
そう思っていた。
でも長く身体と向き合っていると、
それだけでは説明できない感覚がある。
動いている場所と、
止まっているように感じる場所。
その違いだ。
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身体は、
ただの物体ではない。
皮膚に触れる。
圧をかける。
伸ばす。
捻る。
その瞬間、
身体の中では小さな反応が起きている。
私たちの身体に多く存在するコラーゲンには、
力が加わることで電気的な変化を起こす性質がある。
これは比喩ではない。
1950年代、
骨に力を加えると電気的な変化が起こることが報告された。
骨だけではなく、
腱。
皮膚。
筋膜(ファシア)。
身体を支える組織は、
ただそこに存在しているだけではない。
刺激を感じ、
反応している。
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そう考えると、
「触れる」
という行為の見方が変わる。
施術者の手は、
ただ筋肉を押しているのではない。
硬いものを柔らかくしているだけでもない。
圧という刺激を通して、
身体がもう一度反応するきっかけを作っている。
そんな感覚に近い。
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皮膚もまた面白い。
皮膚はただ身体を包む袋ではない。
外の世界と身体をつなぐ、
大きな情報器官だ。
触れる。
温度を感じる。
圧を感じる。
振動を感じる。
その情報を、
絶えず身体へ送り続けている。
傷ができた時もそうだ。
身体はただ壊れた場所を埋めるだけではない。
周囲との電気的な変化も利用しながら、
細胞は必要な場所へ移動していく。
身体は想像以上に、
賢く反応している。
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ここからが臨床の話になる。
不調のある場所に触れると、
止まっている感じがすることがある。
流れがない。
変化しない。
反応が返ってこない。
昔はただの感覚だと思っていた。
でも今は少し違う。
もしかすると、
身体にとって大切なのは、
正しい形でいることよりも、
変化できることなのかもしれない。
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健康な身体とは、
固まらない身体。
完璧な姿勢を保つ身体ではなく、
変化できる身体。
刺激を受け取り、
反応し、
また戻れる身体。
そんな身体なのだと思う。
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だから僕は、
「整える」
という言葉をあまり使わない。
身体は外側から正解の形にはめ込むものではないと思っているから。
本当に必要なのは、
身体の中に残っている力が、
もう一度動き出す条件をつくること。
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止まっていたものが流れ始める。
忘れていた感覚を思い出す。
呼吸が変わる。
表情が変わる。
動きが変わる。
身体はまだ、
自分で変わる力を持っている。
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では、
その変化のスイッチになるものは何なのか。
圧なのか。
呼吸なのか。
動きなのか。
それとも、
それらが重なった時に生まれる何かなのか。
身体はまだ、
僕たちが知らないことをたくさん持っている。
だから今日も、
触れながら問い続けている。