
「ハロウィンの衣装、どうしても着てくれない」それ、感覚の苦手さかもしれない話
こんにちは、みみみです。保育士・児発管(児童発達支援管理責任者)として、療育の現場で7年目になります。
発達が気になる子の保護者の方や、支援者の方に向けて書いています。
今日は、仮装や服を嫌がる理由と、「感覚の苦手さ」との付き合い方について書いていきます。
もうすぐハロウィンです。
かわいい衣装を用意したのに、着せようとすると泣いて嫌がる。園のハロウィンの日に、ひとりだけ着替えられなかった。せっかく楽しみにしていたのに、と少しがっかりしてしまう方もいるかもしれません。
嫌がっているのは、衣装の「見た目」じゃないかもしれない
衣装を嫌がるとき、その子が気にしているのは、デザインより「着たときの感じ」かもしれません。たとえば、こんなことです。
生地の手ざわり:チクチク、ゴワゴワ、シャカシャカする
しめつけ:帽子やかぶりもの、フードが頭や首にあたる
顔にふれるもの:お面やフェイスペイントが気になる
いつもとちがう自分:鏡にうつる姿が、いつもの自分じゃない
会場のにぎやかさ:音や人の多さに、もう疲れている
わたしの見立て:感じ方は、人によってちがう
同じ服を着ても、ある子には何でもないのに、ある子には「ずっと気になってしかたない」ことがあります。音や光、におい、さわったときの感じ。感覚の受け取り方には、ひとりひとりちがいがあります。
大人で言えば、サイズの合わないチクチクのセーターを、一日中着ていなければいけない感じに近いかもしれません。
「がまんが足りない」のではなく、「本当に、いやな感じがしている」のかもしれない。
だから、「みんな着てるよ」「少しだけがまんして」と言われても、どうにもならないことがあります。わがままと思われやすいところですが、その子の中では、ちゃんと理由があるのだと思います。
ふだんの服にも、ヒントがある
感覚の苦手さは、ふだんの生活にも出ていることがあります。
服のタグや、靴下の縫い目を気にする
同じ服ばかり着たがる
新しい服や、帽子を嫌がる
髪を切る、爪を切るのがとても苦手
当てはまっても、すぐに心配しなくて大丈夫です。どんな服の、どんなところが苦手なのか。気づいたことを、少しずつメモしておくと、その子の「好きな感じ」と「苦手な感じ」が見えてきます。メモのとり方は、「様子を見ましょう」の記事にまとめています。
ハロウィンを楽しむための工夫
いつもの服に、少しだけ足す:衣装を着るのではなく、いつもの服にシールやバッジをつける。カチューシャは「手に持つだけ」でもOK
素材は、本人と一緒に選ぶ:お店で実際にさわってみて、「これなら大丈夫」を本人に決めてもらう
家で、先にためしておく:本番の前に、家で少しだけ着てみる。最初は1分でも十分です
着ないで楽しむ形も用意する:お菓子を配る係、写真を撮る係など、衣装がなくても参加できる形をつくる
「みんなと同じ形」でなくても、楽しみ方はいろいろあります。参加の形の話は、発表会の記事にも書いています。
支援者の方へ
行事の日に「着替えない」「参加しない」姿が出たときは、気持ちの面だけでなく、感覚の面からも見てみてください。手ざわりなのか、しめつけなのか、音なのか。理由がわかると、本人が選べる形を一緒に考えやすくなります。
無理に慣れさせるより、本人が「これなら大丈夫」と思える選択肢を増やすこと。そのほうが、次の行事への安心にもつながると思っています。
感覚の苦手さが、着替えや食事など毎日の生活でも強く出ているときは、作業療法士など、感覚にくわしい専門職に相談する方法もあります。
さいごに
ハロウィンは、衣装を着ることより、「その日が楽しかった」と思えることのほうが大切だと思います。いつもの服のままでも、ちゃんとハロウィンは楽しめます。
気になることが続くときは、ひとりで抱えずに、園の先生や地域の子育て相談窓口、かかりつけ医などに相談してみてくださいね。
※記事に出てくるエピソードは、個人が特定されないよう、複数のケースを組み合わせたり内容を変えたりしています。