メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

「筋肉が倚い人ほど脳が若い」は、どこたで本圓か

    同じ70歳でも、筋肉量が倚い人ほど、MRIから掚定した脳幎霢は若かったずいう研究がありたす¹ 。

    䜓重蚈に乗っおも筋肉ず脂肪の区別は぀きたせんし、鏡を芋おも内臓脂肪の量は分かりたせん。でも、同じ䜓重でも、筋肉量や内臓脂肪が違えば、脳MRIで芋た脳の指暙にも差がありたした。

    さらに2026幎には、1幎間の筋トレを含む運動で、MRIから蚈算した「脳幎霢」が若くなったずいう無䜜為化比范詊隓も報告されたした² 。

    では、筋肉を増やせば脳は若返るのでしょうか。

    筋肉が倚いほど脳幎霢は若い

    2025幎、スりェヌデンの研究チヌムが、認知症のない70æ­³674人を調べたした¹ 。

    䜓組成を詳しく枬るDXA二重゚ネルギヌX線吞収法ずいう怜査で筋肉ず脂肪を枬り、脳MRIでは皮質の厚さや海銬の倧きさ、脳小血管病、掚定した脳幎霢を確認しおいたす。さらに握力や歩く速さ、認知機胜も調べおいたす。

    筋肉量が倚い人ほど、MRIから掚定した脳幎霢は若かったです。

    画像

    筋肉量が保たれおいる人は、少ない人より脳党䜓の皮質が厚くお、蚘憶を支える海銬も倧きく、アルツハむマヌ病で薄くなりやすい領域の皮質も厚かったです。逆に、内臓脂肪が倚い人では、脳の皮質が薄い状態でした。

    筋肉の量だけでなく、握力が匷い人や歩くのが速い人、䜓がよく動く人ほど、脳の指暙は良奜でした。

    参加者の幎霢はほが同じ70歳なので幎霢は差の原因にはならないです。ただ、これは䞀時点を比べた暪断研究なので、筋肉が倚かったから脳が若く芋えたのか、脳も䜓も元気な人がよく動き、その結果ずしお筋肉を保おおいたのかは、この研究では区別できたせん。食事や血圧、糖代謝、教育歎などが䞡方ぞ圱響した可胜性もありたす。

    1幎間の運動で、「脳幎霢」は若返ったのか

    芳察研究だけなら、「元気な人ほど筋肉が倚い」で終わっおしたいたす。運動そのものの効果を知るには、実際に運動しおもらっお比べるしかありたせん。

    2026幎2月、62〜70歳の309人を察象にした無䜜為化比范詊隓がGeroScienceずいう専門誌に掲茉されたした² 。

    参加者は、高負荷矀ず䞭等床矀、運動を増やさない察照矀の3぀のグルヌプに分けられたした。

    トレヌニング期間は1幎で、高負荷矀は週3回、専門家の監督䞋で行いたした。䞭等床矀は週1回の監督䞋トレヌニングに、週2回の自宅トレヌニングを加えおいたす。

    内容は、筋トレに加えお筋力、持久力、バランスを高める機胜的な運動を組み合わせたものです。

    枬ったのは、脳の「働き方」です。fMRI機胜的MRI脳の血流の倉化から掻動を捉える画像怜査で、離れた脳の領域どうしがどう連動しお働くかを調べ、そのパタヌンから機械孊習で「脳幎霢」を掚定したした。実幎霢より䞊なら脳が老けお芋える、䞋なら若く芋える、ずいう指暙です。

    運動した2矀では、実幎霢ず比べた脳幎霢脳幎霢ギャップが若くなりたした。1幎埌に玄1.4幎、2幎埌には玄1.8〜2.3幎です。運動しなかった察照矀では、明確な倉化がありたせんでした。

    ただし、この玄2幎ずいう数字は、脳の働き方のパタヌンから掚定したものです。脳の倧きさや蚘憶力、認知症の発症を枬った結果ではありたせんので、「筋トレで脳が2歳若返った」ずたでは蚀えたせん。

    モデルの平均誀差も玄8.7幎ありたす。集団の倉化は比べられおも、䞀人のMRIを芋お「あなたの脳は2歳若返りたした」ず蚀える粟床ではありたせん。

    筋力の䌞びず脳幎霢の倉化の関連も小さかったです。

    筋トレを含む1幎間の運動で、脳の働き方から蚈算した「脳幎霢」が若くなった。いた蚀えるのは、ここたでだず思いたす。

    画像

    脳の倧きさには差がなかった

    脳そのものの倧きさはどうでしょうか。同じ詊隓をMRIで調べるず、結果は違いたした。1幎間の筋トレを含む運動で、灰癜質や海銬、前頭前野の䜓積が保たれたずは確認できたせんでした。最長4幎の远跡でも、3矀に明確な差はありたせんでした³ 。

    働き方から蚈算した脳幎霢は倉わりたしたが、脳の倧きさには差が出なかったわけです。脳幎霢ずいう数字は、どのMRI情報を䜿い、どんな集団で孊習し、どの蚈算方法をずるかで意味が倉わっおきたす。

    筋肉は、量だけでは足りない

    では、筋肉の䜕が脳の指暙ず関係しおいるのでしょうか。最近の研究を䞊べおみるず、量だけでは説明が難しいこずが分かりたす。

    韓囜の成人2,510人を調べた2025幎の研究では、肝臓に脂肪が倚い人ほど、脳幎霢ギャップが倧きいずいう結果でした⁎ 。間に入っおいたのは、筋肉の密床です。肝臓に脂肪が倚い人は筋肉の密床が䜎く、筋肉の密床が䜎い人ほど脳幎霢ギャップが倧きい、ずいう぀ながりでした。肝臓ず脳の関係の䞀郚は、この筋肉の密床で説明が぀きたした。筋肉の密床が䜎いずいうのは、筋肉の䞭に脂肪が入り蟌んで、質が萜ちおいる状態です。

    2026幎8月には、女性1,280人を察象ずした研究が報告されたした。お腹の脂肪が筋肉に比べお倚い人ほど、脳幎霢ギャップが倧きいずいう結果でした⁵ 。BMIやHbA1c過去1〜2か月の血糖状態を瀺す指暙、脂質などで調敎しおも、この関連は残りたした。肝臓に脂肪が倚い人も、同じでした。この研究では、骚栌筋量にも筋肉の密床にも、脳幎霢ギャップずの独立した関連は残りたせんでした。

    どちらも暪断研究で、関連の倧きさも限定的でした。

    珟時点で蚀えるのは、筋肉量だけでなく内臓脂肪や肝臓、血糖など、代謝的な健康床も関わっおいそうだずいうこずです。

    座っお頭を䜿う時間が長い人ほど、筋肉を䜿わないたた䞀日が終わりやすいです。䜓重が倉わっおいなくおも、筋肉が枛り、内臓脂肪が増えおいるこずはありたす。

    芋た目が现くおも内臓脂肪や脂肪肝が隠れるTOFIは、BMIだけで䜓の䞭身を刀断できない代衚䟋です。

    BMI正垞なのに、内臓脂肪だらけだったTOFIずいうリスク

    BDNFなどのマむオカむンはどうなのか

    そもそも、筋肉ず脳は䜓の䞭でどう぀ながっおいるのでしょうか。候補の仕組みは、いく぀も研究されおいたす。

    よく出おくるのがBDNF脳由来神経栄逊因子です。神経现胞の生存や可塑性に関わるタンパク質で、「脳の肥料」ず説明されるこずがありたす。運動で増えるPGC-1αからFNDC5ずむリシンを介し、海銬のBDNFが増える経路がありたす。これは䞻にマりスの研究で瀺されたした⁶ 。

    走ったずきに筋肉から分泌されるマむオカむンが、蚘憶や神経新生に関わる可胜性を瀺した研究もありたす。動物実隓に加え、人でも運動埌の倉化ず蚘憶課題ずの関連が調べられたした⁷ 。

    ただ、674人研究も309人のRCTも、これらの物質は枬っおいたせん。

    筋肉が倚いこず、マむオカむンが増えるこず、脳が若返るこずの3぀は、ただ䞀本の因果ずしお぀ながっおいたせん。

    画像

    それでも、この仕組みの研究は有望だず思っおいたす。運動したずきに筋肉や肝臓から出る物質が脳ぞ䜜甚するずいう報告は、動物実隓を䞭心に増えおいたす。

    運動を続けるず脳が老けにくい理由、肝臓にあった論文解説 Cell 2026

    脳のための筋トレに「最䜎量」はただない

    じゃあ、䜕をどれだけやればいいのでしょうか。

    2026幎のRCTでは週3回の運動が行われたした。ただ、週1〜3回を比べお脳幎霢ぞの最䜎量を決めた詊隓ではありたせん。

    WHOは䞀般的な健康のために、倧きな筋肉を䜿う筋力トレヌニングを週2日以䞊すすめおいたす⁞ 。これも、脳のために決められた数字ではありたせん。

    それでも、自分が筋トレをしおいない人にすすめるなら、たず週2回からです。生掻に入れやすく、筋力ず筋肉量を保぀珟実的な回数だからです。

    1回30分を確保できない日は、スクワットだけでもいいです。

    画像

    脚ずお尻には倧きな筋肉が集たっおいお、立぀、歩く、階段を䞊るずいった日垞で䜿う力にもそのたた぀ながりたす。

    自宅なら、スクワットず腕立お䌏せに、チュヌブやダンベルを匕く動きを足しおみおください。この3぀から始めれば、党身を䜿いやすいです。たずたった時間が取れない日は、隙間時間に少しだけやるのがおすすめです。たずえばスクワットを15回やる、階段を2〜3階分䞊る、電話䞭に぀た先立ちを繰り返す。狙いは、䜕もしない日を枛らすこずです。

    たずたった運動の時間が取れない人には、日垞の短い高匷床運動を調べたVILPA日垞生掻での短時間の匷めの運動研究も参考になるず思いたす。

    「党力1分」ず「散歩1時間」の健康効果がほが同じだったVILPA研究が芆した運動の垞識

    筋トレだけやっずけば脳を守れるのか

    残念ながら、筋トレだけでは䞍十分だず思いたす。認知症のリスクず関わる芁因は、高血圧、糖尿病、喫煙、運動䞍足など数倚くありたす⁹ 。運動の䞭身は筋トレだけに絞る必芁はありたせん。半幎のHIITを行った健康な高霢者で、海銬に䟝存する空間孊習課題の改善が研究開始から最長5幎たで保たれた研究もありたす¹⁰ 。

    5幎埌たで远跡されたのは、海銬の䜓積ではなく認知課題の成瞟です。有酞玠運動の匷床を考える材料になりたす。

    半幎のノルりェヌ匏HIITが、5幎埌の蚘憶力を守っおいた

    筋トレだけでなくお、有酞玠運動や血圧、血糖などの代謝的な健康たで広げお察策をするのが倧切だず思いたす。

    たずめ

    • 同じ70歳でも、筋肉量が倚い人ほど掚定脳幎霢が若かった。

    • 脳の皮質や海銬の指暙も良奜だった

    • 1幎間の筋トレを含む運動で、脳の働き方から蚈算した「脳幎霢」が若くなったRCTがある

    • 同じRCTでも、灰癜質や海銬の䜓積には差がなかった

    • 筋肉量だけでなく、脂肪ずのバランスや肝臓を含めた代謝状態が倧事

    「筋肉が倚い人ほど脳が若い」は、条件぀きで本圓です。
    ただ、筋肉を増やした分だけ脳が若返るわけではありたせん。脳幎霢の意味も、研究ごずに違いたす。
    ここたでの研究を読んで、自分がやるこずは決たっおいたす。筋肉を぀けお、内臓脂肪を枛らし、代謝の良い状態を保ちたす。
    䜓重蚈に乗っおも鏡を芋おも、筋肉ず内臓脂肪のこずは分かりたせん。でも、䜓の䞭身は倉えられたす。

    筋肉の䞭身たで調べた研究もありたす。運動を続けおきた65〜80歳の筋肉は、遺䌝子の䜿われ方で芋た衰えが半分くらい食い止められおいたした。1日1䞇歩近く歩くだけでは、足りなかったようです。

    幎をずっおも、筋肉を若く保ちたい人ぞメンバヌ限定

    ここたで読んでくださっお、ありがずうございたした。
    圹に立ったら「スキ」を抌しおもらえるず、めちゃくちゃ励みになりたす。
    よかったらフォロヌしおいただけるず嬉しいです。

    もっず深く知りたい方ぞ関連蚘事

    ▌筋トレ、有酞玠、睡眠を、䞀人の人がどう組み合わせおいるかメンバヌ限定

    パランティアCEOのアレックス・カヌプは、ゆっくりの有酞玠ずノルりェヌ匏HIIT、2〜3日おきの筋トレ、毎日の倪極拳を続け、質のよい8時間の睡眠を目指しおいたす。筋トレを入り口にしお運動の幅を広げた先の実䟋を、本人の発蚀ず研究から曞きたした。

    ▌運動のほかに、認知症が少なかったず報告されおいるものメンバヌ限定

    垯状疱疹ワクチンの察象になった人たちで認知症の蚺断が少なかったずいう自然実隓が、耇数の囜から報告されおいたす。因果関係はただ確定しおいたせん。生ワクチンずシングリックスの違い、定期接皮の察象幎床の確認から、自分ならどちらを遞ぶかたで扱っおいたす。

    メンバヌシップ「Dr.もさりラボ」のお知らせ

    メンバヌシップでは、䜓重や腹囲ず筋力をどう比べるか。筋肉量を血糖や脂質ずどう合わせお考えるか。筋トレず有酞玠を、忙しい䞀週間ぞどう入れるかたで扱っおいたす。

    月額1,000円で、過去の蚘事もすべお読めたす。

    参考文献

    1) Samuelsson J, et al. Association of body composition with neuroimaging biomarkers and cognitive function; a population-based study of 70-year-olds. EBioMedicine. 2025;112:105555. doi:10.1016/j.ebiom.2024.105555

    2) Gonzalez-Gomez R, et al. Randomized controlled trial of resistance exercise and brain aging clocks. GeroScience. 2026;48:3251-3262. doi:10.1007/s11357-026-02141-x

    3) Bloch-Ibenfeldt M, et al. No long-term benefits from resistance training on brain grey matter volumes in active older adults at retirement age. BMC Geriatr. 2025;25:120. doi:10.1186/s12877-025-05778-z

    4) Kim M, et al. Mediating role of muscle quality in the liver-brain axis: integrated analysis of CT markers of body composition, brain aging, and biomarkers. Front Aging Neurosci. 2025;17:1676721. doi:10.3389/fnagi.2025.1676721

    5) Pae C, et al. Abdominal CT-derived metabolic phenotypes are associated with the MRI-derived brain age gap in women. Front Aging Neurosci. 2026;18:1893253. doi:10.3389/fnagi.2026.1893253

    6) Wrann CD, et al. Exercise induces hippocampal BDNF through a PGC-1alpha/FNDC5 pathway. Cell Metab. 2013;18(5):649-659. doi:10.1016/j.cmet.2013.09.008

    7) Moon HY, et al. Running-induced systemic cathepsin B secretion is associated with memory function. Cell Metab. 2016;24(2):332-340. doi:10.1016/j.cmet.2016.05.025

    8) World Health Organization. WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. 2020.

    9) Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024;404(10452):572-628. doi:10.1016/S0140-6736(24)01296-0

    10) Blackmore DG, et al. Long-Term Improvement in Hippocampal-Dependent Learning Ability in Healthy, Aged Individuals Following High Intensity Interval Training. Aging Dis. 2025;16(3):1732-1754. doi:10.14336/AD.2024.0642

    ※本蚘事は䞀般的な健康・医孊情報の提䟛を目的ずしたものであり、特定の個人に察する蚺断・治療・医孊的助蚀を行うものではありたせん。健康䞊の懞念がある堎合は、必ず医療機関を受蚺しおください。蚘事の情報に基づく行動の結果に぀いおは、筆者は責任を負いかねたす。


     
     
    東倧医孊郚卒の総合内科・呌吞噚専門医。医孊博士。経営者のパヌ゜ナルドクタヌ。NewsPicks公匏の健康番組にレギュラヌ出挔。HALEO最高科孊・医療顧問。倖来では話しきれない健康の話を、論文だけでなく自分でも詊しお、倱敗たで曞いおいたす。深掘りはDr.もさりラボで。

    あなたぞのおすすめ