
猫に会えたらいいな、ビジネスクラスで世界一周旅行|episode 5:モロッコ・マラケシュ
2023年、私は世界一周の旅に出ました。
3ヶ国目のイギリス・ロンドンでの滞在を終え、次に向かうのはモロッコです。
ロンドンからモロッコへ
ロンドン・ガトウィック空港から飛行機に乗り、人気観光都市マラケシュを目指します。
搭乗客の中で最初に機内に入るという、ちょっと特別な体験もできました。

いよいよ、人生初のアフリカ大陸。
楽しみな気持ちがある一方で、未知の土地への不安もありました。

緊張の初アフリカ
マラケシュ・メナラ空港に到着すると、エアポートバスに乗ってジャマ・エル・フナ広場(以下、フナ広場)近くの宿へ。

初めてのアフリカということもあり、正直かなり緊張していました。
香辛料が混ざったような香りや、舞い上がる砂埃…五感で感じるすべてが新鮮でした。
歩いていると、さまざまな人から声をかけられます。
これまで旅してきた場所とは違う独特な雰囲気に戸惑いながら、少し警戒心を強めて宿を目指しました。
そんな中で印象的だったのが、フナ広場の活気と、そこから一本入った路地の静けさとのギャップです。
広場には多くの人が集まり、活気にあふれています。
ところが、一本路地に入ると、迷路のような細い道が続き、驚くほど静かになるのです。
その静けさは不気味に感じました。
同じ街の中にいるはずなのに、まるで別の世界へ迷い込んでしまったような感覚でした。

安らぎのリヤド
マラケシュでは、「リヤド」と呼ばれるモロッコの伝統的な宿泊施設に泊まりました。
迷路のような道を歩いて、ようやくたどり着いた宿。
一歩足を踏み入れると、静かで落ち着いた空間が広がっていました。
優しい宿主に迎えられ、それまで張り詰めていた気持ちが一気にほぐれます。
ウエルカムドリンクでいただいたミントティーも忘れられません。モロッコのミントティーは、生のスペアミントをたっぷり使い、砂糖を加えて飲みます。
飲み物の話でもうひとつ。
モロッコを訪れるなら、ぜひオレンジジュースを飲んでみてください。
フナ広場にもジュース屋さんが並んでいて、搾りたてを気軽に楽しめました。これが本当においしいんです!

そして、私が泊まったリヤドには2匹の猫が暮らしていました。
従業員さんたちと遊ぶ姿をよく見かけ、そのたびにほっこりした気持ちになりました。

慣れない環境に緊張しっぱなしだった私にとって、この猫たちが、滞在中どれだけ癒しになったことか!
本当に助けられました。

ピンク色の街に心を奪われる
マラケシュで印象的だったもののひとつが、街の色です。
マルタが「はちみつ色の街」なら、マラケシュは「ピンク色の街」。
実際には「赤い街」や「オーカー色の街」とも呼ばれていますが、街を歩いていると、その呼び名にも納得します。
赤みを帯びた建物や城壁が続き、街全体が柔らかなピンク色に包まれているように見えました。
そして、その街並みを走る馬車の姿も印象的でした。
車やバイクが行き交う一方で、マラケシュでは今も馬車が交通手段として親しまれています。
ピンク色の街並みと馬車。
その光景は、私の中でマラケシュらしさの象徴として、今でも鮮明に残っています。

何かが変わった、かもしれない
せっかくマラケシュまで来たので、いくつか観光施設にも行ってみました。

そこでも思いがけず猫に出会えました。
チケットを確認する人のそば、警備員さんの足元、お店など……。
人がいる場所には自然と猫がいる。そんな印象でした。

そして、イスラム建築や美しい幾何学模様にも数多く触れました。
それがきっかけだったのかもしれません。
イスラム教だけでなく、世界の宗教に興味を持つようになったのです。

さらに、うまく言葉にできないのですが……「生きること」へのエネルギーのようなものが、街全体から溢れているように感じたのです。
今思うと、モロッコを訪れてから、身の回りのものの見方や考え方がだいぶ変わった気がします。
全く知らない文化や価値観に触れたことで、自分の中の何かが動いた。そんな感覚が残っています。
こうしてモロッコ滞在を終え、次の目的地スペインへ向かいます。
ここが本題かも。マラケシュは、あとから効いてきた
実を言うと、マラケシュ滞在中はかなり気疲れしていました。
カメラを持って歩くにも神経を使うし、カバンからスマホを取り出すのも抵抗がある。
「早く次の国へ移動したいな」「もう部屋にこもっていてもいいかも」そんなことを思う瞬間もありました。
それでも外へ出ていたのは、もしかするとまた猫に会えるかもしれない。
猫たちの存在が、小さな励みになっていました。
ところが不思議なことに、マラケシュを離れてしばらくすると、あれほど神経をすり減らした街が恋しくなってきたのです。
なんなんだろう、この感覚。笑
滞在中は刺激が強くて戸惑っていたのに、あとから無性に求めてしまう。
マラケシュは、まるでスパイスのような街でした。
私はどうやら、その刺激がクセになってしまったらしく……
2年後、吸い寄せられるように、同じく北アフリカにあるチュニジアへ行っちゃうんですよね。笑
写真集『CINEMATIC』には、世界一周旅行で撮影した写真もたくさん収録しています。