
ネットコミュニティで、身に覚えのないことで犯人扱いされた話―10日間の記録〈5〉
< Day 2(2)>
- コミュニティの狂気 -
トビオとやり取りした後、他のメンバーからメールが次々届いた。
A「トビオが、『ひのきはそんなことしない』と言っていた。ひのき、違うよな?」
B「ひのき、告げ口なんてしていないよね?」
もちろん、なにもしていない。
そもそも、何を内通したことにされているのかもわからないのだ。いったいなにがどうなっているんだ。
メールのやり取りを繋ぎ合わせて見えてきたのは、あまりに短絡的な犯人捜しだった。
①チャットグループ内でヨルBとアオイがユウさんに対しアンチ発言をした(のかもしれない)
②その発言直後、ユウさんが二人をYouTubeからBANした(のかもしれない)
これらのタイミングの重なりから、ヨルBのチャットグループ内で「内通者」がいるのではと騒ぎになった。
そして、チャットグループの中でユウさんのアンチではない「ひのき」と「サシャ」の二人に、内通者の疑いがかけられた。
「危険人物はユウさんの信者である、ひのきとサシャだ!排除しよう!」と盛り上がり、何の証拠もなく一方的に、二人は追い出されたのだ。
怖い……。

背番号さんのグループメンバーは約20名。
彼は元々、ユウさんのYouTubeチャンネルで厚い信頼を得ていた人物だ。スポーツ好きで家族に優しい、真面目な人柄で慕われていたが、現在はユウさんと距離を置いている。
ヨルBのグループメンバーは30名ほどいた。
ヨルBは、ユウさんから一目置かれている優秀な投資家で、音楽とグルメが好きな人だ。ヨルBの周りには、知識を求めて勉強熱心な人が集まっている。初心者的な質問にも、優しく丁寧に答えてくれるからだ。ひのきも、お世話になっていた。
2つのコミュニティは、掛け持ちしているメンバーが多く、とても仲の良い印象だった。
ひのき・サシャの2人だけが、犯人扱いで排除された。
「ひっそり見ていて、無言で仲間を売る奴らだ」と……そんな人間扱いをされたのだろうか?その理由は、わたしたち二人はユウさんの悪口を言わないからだ。
なにかが狂っている。
B「ひのきは違うってトビオが言っていた。サシャで確定だな」
そう吐き捨てられた瞬間、ひのきは気づいてしまった。
このグループメンバーはもう、誰が真犯人かなどどうでもよく、「生贄」を求めているのだと――。血の気が引いた。
ひのき「犯人はいないと思うよ……」
同じことを言い続ける。

ひのきが犯人じゃなかったらサシャが犯人になる?
どうして「仲間の中に内通者がいる」なんて悲しいことを、みんなが信じているのだろうか。
画面の向こう側でなにが起きているのか、ひのきにはもうわからない。まるで得体の知れない「自分たちの正義」を守る為の暗い密室へと変貌してしまったかのようだ。
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