
ネットコミュニティで、身に覚えのないことで犯人扱いされた話―10日間の記録〈2〉
Prologue
-崩壊の予兆・始まりはYouTube-
あるYouTubeの動画を見ていた人たちが、コメント欄で少しずつ言葉を交わすようになり、仲良くなっていった。
投資系YouTuberのユウさんには、不思議なカリスマ性があった。
ユウさんの語るテクニカル用語は呪文のようだった。その用語の意味が分かる人同志で会話できるようになると、とても面白い。ユウさんには「投資は楽しい」と思わせてくれる魅力があった。
ユウさんの周りには賢く優しい視聴者さんが集まり、初心者の質問にも誰かが手を差し伸べてくれる。共にレベルアップしていける仲間と出会える、かけがえのない居場所だった。

交流はYouTubeを飛び出し、他のSNSでの繋がりへと広がった。
ひのきは彼らを「投資の話をする友達」だと信じて疑わなかった。
しかし、月日とともに空気は変わっていく。ユウさんの元を離れ、疑問を抱く者が増えていった。考え方の違いは、いつしか歪みを生んでいた。
数年かけて築いた関係は、ある日突然相場のように一変する。
「ユウさんに告げ口したのではないか」

そんな根も葉もない疑いが、ひのきに向けられた。 昨日まで笑い合っていたはずの「居場所」で、ひのきは突如として排除される側になった。
さっきまでそこにあったひのきのアイコンは、突然一方的に消された。
何が起きたのかも分からない。
誰からも、何の説明もない。
数年かけてコツコツと積み上げてきた信頼ごと、ひとつの世界が、
崩落する砂城のように、一瞬で消え去った。
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