
ネットコミュニティで、身に覚えのないことで犯人扱いされた話―10日間の記録〈8〉
< Day 2(5)>
-「眠れない夜・奪われた日常-
昼間はサシャと3時間に渡って話した。
サシャは、ヨルBのチャットグループだけに在籍していた。
ひのきは、ヨルBと背番号さん両方のチャットグループに在籍していた。ひのきの方が少し、コミュニティの事情に詳しかった。
ひのきとサシャがかけられている容疑は「ヨルBのチャットグループ内でのヨルBとアオイに関わる何らかの出来事をYouTuberのユウさんに告げ口した」という内容である。
共通の仲間が多く所属している「背番号さんのチャットグループ」からもひのきは追い出された。「ユウさんのアンチではない2人が怪しい」というのが理由ということは、2つのグループ内ではいつのまにか、ユウさんへのアンチにまわっていた人が多数派になっていたということだろうか。
ひのきは、他人がユウさんを嫌いになることに興味がなかった。投資の仲間である事が共通点であり、学ぶことはたくさんある。教科書はみんな違っていていい。
この事件で腹立たしいのは、事情を知らない相手ほど、疑いの目を向けられたことだ。
リアルタイムで参加していて、事情を知る人が「内通者」と言われているのならまだわかる。
その場にいない、無関係な人のことを「内通者」と決め付けて責めているのだ。
もしその場にいたとしても、それをユウさんに告げ口する理由がひのきにはない。サシャも同じだろう。
ヨルB「勘違いでBANしてすみません。え?ひのきさんが??とは思ったんですが……よかったら招待を送りますので再度お入りください」
誤解が解けたヨルBから、チャットグループへの再招待が送られてきた。ひのきは遠慮して入らなかった。
まだ、なにも解決していない。

背番号さんに「証拠を出して」と言われたことを思い出し、チャットグループのアクセス履歴を証拠として出せるのか調べてみた。
設定 → データ&プライバシー → データをリクエストする
これで、出せるかもしれない。
トビオ「やれ。いますぐやれ。」
事件が長引いていることに、トビオもイライラしていた。ひのきは急かされるように、データ請求の準備を進めた。
機械音痴のサシャに、うまく伝えられるだろうか。
「犯人はいない」と考えるひのきにとって、証拠を出すなら自分だけでは意味がなかった。サシャにも同じように、データを請求してもらう必要がある。

サシャが「眠れない」と、メッセージを送ってきた。そのままやりとりは朝まで続いた。
お互い不安を抱えたまま、何度も確認し合った。
もし、これで証拠を出せたら。
それなら逆に、『内通者だという証拠』も出してもらおう。
窓の外が白み始めても、ひのきの夜は終わらなかった。
次の日は友達と旅行の約束があった。
一睡もしていない。
スマホの充電も忘れていた。
もうすぐ、出かけなくちゃ。
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