
なぜ滋賀のAMは「KBS京都」、TVは「びわ湖放送」、FMは「e-radio」なのか?
こんにちは、ラジオと地理です。
ところで、滋賀県のTV/ラジオ事情を眺めていると、少し不思議なことに気づきますね。
TVは「びわ湖放送」、FMには「e-radio」という地元局があります。
ところが、民放AMラジオでは「KBS京都」。
なぜでしょうか?
放送の府県境が違う?
実はTV、AM、FMで「放送の府県境」が違うのです。
まずTVが「大阪+滋賀」。
滋賀県では、MBSテレビ、ABCテレビ、関西テレビ、読売テレビという大阪の準キー局を見ることができます。
これらは滋賀を含む、近畿広域圏を対象とするテレビ局です。
例えば関西テレビも、放送エリアを「近畿広域圏」としていますね。
その一方で、地元独自の民放TVとして1972年に開局したのが「びわ湖放送」。
つまりTVでは、「関西全体を見る大阪の局」+「滋賀県を見るびわ湖放送」という組み合わせになっています。
京都府のKBS京都テレビも独立局ですが、こちらは京都府域局。
すなわち、京都と滋賀それぞれに独自局があるワケです。
AMラジオは「大阪+京都」
ところが、AM(中波)ラジオは、景色が変わります。
大阪にはMBSラジオ、ABCラジオ、ラジオ大阪(OBC)の在阪AM3社があり、滋賀県でも概ね受信可能。
この3社は1997年に、京都市と大津市西部の都市型難聴や海外混信への対策として、京都市内に共同のAM中継局まで設置していました。
ただし2023年に廃止されています。
そこにもう一つ加わるのがKBS京都。
KBS京都は1951年にラジオ放送を開始し、1960年には彦根市に滋賀放送局(1215kHz/1kW)を開局。
滋賀でKBS京都が聞こえるのは、単に京都から電波が伝わってくるだけ…ではありません。
KBS自身が滋賀県内に放送拠点を置き、滋賀をエリアとしてきた歴史があります。
私は大津、彦根、長浜でKBS京都を受信しましたが、こうして見ると「京都の局を県外で聞いている」という感覚ではありませんね。


FMは「滋賀県独自」
1996年には「e-radio」(エフエム滋賀)が開局しました。
本社は大津市、送信所は湖南市の岩根山。
放送区域は滋賀県と周辺地域です。
ここまでを時系列にしてみましょう。
1960年 AM=KBS京都が滋賀へ
1972年 TV=びわ湖放送開局
1996年 FM=e-radio開局
滋賀県の放送地図は、一度に作られたワケではなかった…のですね。

放送の県境は一つではない
そして2026年3月、KBS京都の滋賀AM中継局は休止されました。
現在の滋賀県内ではFM補完放送の94.9MHz(比叡山/3kW)、AM親局1143kHz(久御山町/20kW)、またはradikoで聞く形になります。
もしかしたら、京都府舞鶴のAM中継局(1215kHz/2kW)か、福知山AM中継局(1485kHz/100W)が、入る所があるかも…ですが。
つまるところ、
TVなら「大阪の広域局+びわ湖放送」
AMなら「大阪の広域局+KBS京都(休止中)」
FMなら「e-radio」ですが…
県内でも大阪府の県域FM各局(FM大阪・FM802・FM COCOLO)、及び京都府の「α-STATION」が聞ける場合があります。
生駒山付近から送信中の、在阪3社のFM補完放送も同様で、福井県との県境が近いJR長浜駅近くでも聞けました。
関西・中部・北陸の接点という場所柄、名古屋各局まで聞こえることもありますね(下に記事リンク)
地図に描かれた県境は一本だけ。
しかし電波の観点から眺めてみると、そこには「見えない県境」もあるようですね。
滋賀県は、その違いをラジオとTVの両方で実感できる、とても興味深い場所だと思います。
参考記事
滋賀県でのAM受信についの記事です