
【タイ・バンコク】FM受信と考察
こんにちは、ラジオと地理です。
遅くなりましたが、バンコクにおけるFM受信について、結果と感想を書いてみましょう。
(参考 関連する前記事)
72波(周波数)も聞けた
バンコクで聞けたのは72波(周波数)にも達し、欧米の大都市に匹敵するもの凄い数に驚いた!のが最初の印象です。
うち、RDSに対応していたのが32局、非対応が40局となり、対応局の方が少ないという、私にとっては珍しい結果でした。
(参考記事)
後述しますが、これは恐らく、大半がタイ語による放送のためかと察しています。
なぜ数が多くタイ語ばかりなのか?
なぜこんなに局数が多いのか?ですが、色々と調べてみると幾つかの地理的・文化的な背景が浮かび上がって来ます。
まずは人口規模。
バンコク首都圏は人口約1,000万人を超える巨大都市圏で、タイに限らず東南アジア指折りの経済・政治・文化の中心地です。
広告市場も大きいため、放送局にとって魅力的な市場があり、広範囲にわたるリスナーが存在しますから、多様なニーズに応える放送局が乱立しやすい環境にありますね。
バンコクと周辺は平坦な地形のせいもあり、FMの電波も都市部での受信環境は良好で、建物内でもクリアな音質が得られると思います。
車社会のバンコクでは運転中のエンタメ・情報源としてのニーズが高いですし、災害時や交通情報の取得手段としても重宝されているようです。
確かにバンコクではBTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)といった鉄道が次第に路線網を拡大していますが、まだまだ道路渋滞は頻繁に発生していますね。

FMラジオは運営コストがTVよりも低く、規制が緩いこともあり、地元企業や地方政治家の広告媒体としても有用だそう。
つまり、ニッチなリスナー層を狙う局も、オンエアしやすい環境にありますね。
次に、行政側の関与も大きいでしょう。
タイのFMには政府・軍関係の団体による局が多くオンエアしており、各部門が独自にFM局を運営しています。
特に2000年代以降では、FM帯がコミュニティ放送や「仮免許」局にも解放されたようで、局数が大幅に増加する契機となりました。

なぜ外国語使用局が少ないのか?
今回の受信で明確に確認出来た外国語(タイ語以外)使用局は、驚くことに僅か1局のみ!だったのです。
先月カタール・インド・スリランカ各国でFMラジオを聞いてきたので、めちゃくちゃ違和感があって、「バンコクって国際都市じゃなかったっけ?」と、不思議で仕方ありませんでした。
スワンナプーム国際空港も24時間運用で、深夜早朝でも多くの便が離発着し、周辺国を中心に多くの航空会社が乗り入れ、とても国際的ですよね・・・なんで?

どうやら一番の背景は、タイではタイ語が「国家の統一言語」として強く打ち出されていること。
メディア政策や教育政策でも「タイ語の使用」が原則とされ、公共の電波で外国語を使うのは基本的にご法度だそうです。
FMラジオは「公共的な影響力が大きい」とみなされ、タイ語での放送が推奨または事実上の義務だそうで…。
開局にはタイ国家放送通信委員会(NBTC)の許可が必要で、言語やコンテンツも審査対象に含まれ、外国語を希望する場合も「タイの文化・安全保障に反しないこと」といった感じで、基準が厳しいそうです。
よって、外国語放送を希望する際は、慎重にならざるを得ないのだとか。
タイ人の愛国心と「棲み分け」
確かにタイ人は愛国心がことさら強い?印象がありますね。
「国家・宗教・王室」の3つが国民の精神的な支柱とされ、これに対する忠誠心が愛国心の中核となります。
毎日午前8時と午後6時に国歌が流れ、人々は立ち止まって敬意を表す(公共の場・駅・学校など)のは有名な話ですね。
学校や軍隊での教育でも、国家と王室に対する敬意が強調されるそうです。
(参考 Wikipediaより)
以前の記事でも書きましたが、バンコクには外国人が多いとはいえ、外国語を母語とする層は少数派でスポンサーが付きにくい点と、外国人向けには他のメディアが優勢な点も大きいようですね。
駐在者や観光客など、外国語話者向けには英語の新聞(Bangkok Post)やデジタルメディアが主流ですし、YouTube、Spotify、Podcast、ネットラジオなど、ネット経由で母国の情報を得られる手段が豊富。
よって、FMで外国語を聞くニーズは相対的に小さいのだそうです。
バンコクでも高速ネット環境は行き渡っていますから、リアル地上波ラジオとネットラジオといった手段による区別で、ユーザー層が棲み分けられている…といった感じでしょうか。
引き続き、バンコクのFM受信について投稿して参ります。