
【簡単あらすじ】あなたへの挑戦状(微ネタバレ)【阿津川辰海|斜線堂有紀/講談社タイガ】
『 私はあなたと競うため、とっておきを献上する 』
今年一の作品に出会いました。
最高でした。
ありがとうございます。
あなたに対し「これを解いてみよ」と挑戦した競作。
このお二人だからこその作品です。
巻末にある、お二人の競作執筆日記も必見。
是非ご一読ください。
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『はじめに』
ついに、東北南部も梅雨明け宣言がなされ、夏日・真夏日となる日が多くなっています。
毎日30℃超えの気温が続きますと、外出する気力も失われてしまうので、部屋で過ごすことが多くなり、現在は読書が捗る時期とも言えます。
このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
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気鋭の若手二人の「あなたへの挑戦状」をテーマとした、二作の中編作品です。
1.水槽城の殺人/阿津川辰海
「宿命を持って謎に立ち向かい、
事件を解決に導く存在こそ、
名探偵と呼ぶにふさわしいのではないか?」
森の中には水槽城と呼ばれる、ゲストハウスが存在する。
魚住栄太・鯖江/甲斐勝男・鮎美の二組の夫婦は
ご近所付き合いから仲良くなり、海水浴を楽しみ、その夜、水槽城に宿泊した。
水槽城の目玉は、その名の通り、建物をぶち抜いて設置されている深さ十メートルほどのプールのような巨大な水槽。
水槽周辺には柵があるものの、覆いが全くされていないため、泳ぐことは禁止の上、12歳以下の子どもの宿泊が禁止されている。
魚住栄太は、その水槽と防火シャッターに挟まれた区域で殺されていた。
栄太は、子どもの頃のトラウマから全く泳ぐことが出来ない。
そう、これは密室殺人だったのだ・・・
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2.ありふれた眠り/斜線堂有紀
「四日間。
僕達が本当の兄妹になるには短く、不理解を通すには長すぎる時間」
勤務後に帰宅すると、自宅前の愛用のバイクに跨って待っていた妹・千百合。
二年ぶりに会う妹は、「帝都芸術大学を受験するので、終わるまで泊まらせて欲しい」と言う。
妹の才能にコンプレックスを抱いていた兄・一寿はしぶしぶ承諾するが、家族に隠していた勤務先で殺人事件が発生する。
その被害者は、妹が受験する大学の教授だった。
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また、これもこの作品の性質上なのですが、本編を読了し自分自身に理解を落とし込むまでは、巻末は読まないほうが良いです。
他の「読者への挑戦状」をテーマにした作品はどうか分かりませんが、今作品については、巻末から読んだ場合に、作品の価値と興味がかなり下がること間違い無いです。
私のように、阿津川辰海さん・斜線堂有紀さんの両者がとても好きな方でも、微妙な感想を持ってしまうと思いますので、私ですらそうなのですからいわんや他の方も、です。
ここからは、恐らく理解して頂けない私の性質なのですが、
私に合う作品を全部読了して、内容を理解した際には、
まず、背中側の腰あたりから後ろ首・盆の窪あたりまで、背筋を伝ってゾワゾワ感が這い上がります。
そしてその後、一気に目が覚めて(これが覚醒というものなのでしょうか?)、とにかくこの気持ちを何かに書き留めたい、という状況になります。
このように書くと、ホラー映画を見る方の理由(私の友人はそう表現しました)と感じるかもしれませんが、そのように、生命の危機を感じるような状況から得られるものではなく、この感触はとても心地良く、この感触を何度も味わいたいのでミステリー小説を読んでいると言い切って良いくらいのものです。
この感触を味わえた小説は(覚えている限り)、古くは、
終戦のローレライ/福井晴敏
バトルロワイアル/高見広春
から始まり、最近は(私がnoteで小説レビューをした作品は)
ホワイトラビット・マリアビートル/伊坂幸太郎
全員犯人、だけど被害者、しかも探偵/下村敦史
世界で一番すきとおった物語/杉井光
[映]アムリタ/野﨑まど
容疑者Xの献身・悪意/東野圭吾
だからあなたは殺される/水生大海
リバース/湊かなえ
などがあります。(恐らくもっとあったのですが、いかんせん記憶が…)
そして本作も、これらのラインナップに入る、とても心に深く残る作品でした。
※ちなみに、私がサッカーを見ているのもこの感触を味わうことが出来るから、という側面もあります。
最近は、三苫薫の一ミリでおなじみの「2022年W杯スペイン戦」です。
試合中なのに涙した、あの男性サポーターの気持ちが分かります…
Jリーグでも、2025年J2リーグ「ベガルタ仙台×サガン鳥栖」で味わいました。
一人人数が少ない中の、二点差逆転勝ちは凄まじいものでした…
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本作の本編ミステリーの素晴らしさは上記で少しは伝わって頂けたかと思うのですが、それだけでなく、最後の競作執筆日記も読む価値あり過ぎでした。(私が好きな作家さんが出てきた時は、これもちょっと体温が上がりました)。
ミステリー好きな方、阿津川辰海さん・斜線堂有紀さんが推しな方だけでなく、読者への挑戦状が好きな方にもおすすめな一作。
是非ご一読ください。
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