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【簡単あらすじ】WHO INSIDE 封印再度(微ネタバレ)【森博嗣/講談社文庫】


    『人間って結局、自分のことで涙を流すのだ』


    ある日本画家が残した「天地の瓢」「無我の匣」という家宝と、密室での謎の死に、犀川創平と西之園萌絵が臨みます。

    ー

    S&Mシリーズ第五作であり、
    シリーズの転換点になる作品と感じました。

    犀川助教授と西之園萌絵の変化
    重要人物?萌絵の叔母の登場
    密室の謎とそれを取り巻く人間関係

    すべてがFになる、を読んだ方に是非読んで頂きたいです。



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    『はじめに』
    日本各地で雪の便りが届くようになり、東北南部も外出には厚手のコートが必要な季節になりました。そうすると、必然的に家や自室で過ごす時間が増えることになり、読書も捗る季節とも言えます。
    このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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    すべてがFになる

    を読了し、S&Mシリーズにハマり、ついにシリーズ五作目になりました。

    本作は、中心となる謎の存在(香山家の家宝「無我の匣(むがのはこ)」には鍵がかかっており、その鍵は「天地の瓢(てんちのこひょう)」という、口が細く・壊さないかぎり取り出すことの出来ない、壺の中に入っている。)にかけて「○○は△△のなかに」という見出しになっています。

    私がS&Mシリーズにハマった一因として、このシリーズは「完全な理系ミステリー」というところにあり、普段そういったミステリーを読まない(学生時代から現在にかけて、理系の学習に触れていない)私には、毎作、様々な気付きと学びがあります。

    日本の美は、だいたい753のバランスだ。シンメトリィではない。バランスを崩すところに美がある。もっと崇高なバランスがある。
    門松の竹の長さや法隆寺の伽藍配置・漢字の「森」・東西南北など、左右対称を全部微妙に崩している。
    最初からまったく非対称というのではだめなんだ。対象にできるのに、わざとちょっと崩す。完璧になれるのに、一部だけ欠けている。その微少な破壊行為が、より完璧な美を造形するんだよ。

    P269~270

    私のイメージの「完璧な美」というと、世界共通の美しさの比率・黄金比を思い出すのですが、こういった日本の美としての考えはとても新鮮でした。

    そして、各シリーズで異彩を放っている犀川助教授にも、内面での変化が見られます。

    一人暮らしの単調さが自分らしいと信じていた。
    支配されること、隷属することの美徳か。面白い発想だ。それもひょっとしたら、良いものかもしれない。

    P168~169

    明らかに、今までの四作では見られなかった変化です。

    例えは違うかもしれませんが、本作を読了した後に、
    ガリレオシリーズの湯川教授と同じような変化を感じました。

    犀川助教授は、完全な理系の考えと振舞いをしているため、どこか浮世離れし、尖っていると感じさせるような言動をしていましたが、少しずつ、丸くなり世間に適応していると感じます。

    これは良いことなのか・どうなのか。

    個人的には、東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズのようなキャラが大好きなため、こういった変化は好ましく感じるのですが、これについては、賛否両論があるのではないかと思います。

    しかし、こういった変化が起こることによって、犀川助教授と周辺の人間関係にも変化が生まれ、また新しい展開で楽しませてくれるのではないかと思います。


    ―

    上記のように犀川助教授の内面の変化が感じられ、そして、
    その変化の原因となったエイプリルフールの一件は、どのような結末を迎えるのか。

    新キャラとして、警視監であり・愛知県警本部長である西之園捷輔の妹であり、現職の愛知県知事夫人という、西之園萌絵の叔母・佐々木睦子が登場します。

    個性がつよつよで、やはり萌絵の叔母と納得出来るような、突飛な行動を起こしますが、しかし常識人としての一面も持ち合わせています。

    愛知県警察のトップと、愛知県行政のトップの夫人。

    本作でこの二人が揃いましたので、またここから様々なことが発生しそうです。

    S&Mシリーズの転換点となりそうな一作、是非ご一読ください。


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