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【簡単あらすじ】目には目を(微ネタバレ)【新川帆立/角川書店】


    『 目には目を、歯には歯を 』


    娘を少年に殺された親が、少年院を出院した少年を殺す。

    題名となっているように、「目には目を」を体現した事件を巡る物語。

    若い方でも、大事な家族がいる方であればさらに、
    様々な思いを受けるであろう本作。

    是非ご一読ください。




    ー

    『はじめに』
    日に日に暖かくなり桜の季節も、そして花粉症の季節も終わりに近づいていますし、そうすると、ぽかぽか陽気につられて外に出かけることも多くなります。
    しかし、ストーブもエアコンも必要の無い時期というのは、読書が捗る時期とも言えます。
    このように、読書をするための絶好のシチュエーションを得られる時期ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

    ーー

    16歳未満で罪を犯し、N少年院に入院した

    大坂将也
    堂城武史
    小堺隼人
    進藤正義
    雨宮太一
    岩田優輔

    という、六人の少年たち(仮名)。

    物語は、上記六人にフリーのルポライター・仮谷苑子が取材し、内容をまとめた描写形式という流れで進みます。

    仮谷が六人の少年院時代、そして現在について取材してはいますが、六人とも

    過去も現在も少年であり
    少年院時代は少し過去の話であり(覚えていないことがあり)
    話したくないことを話さない(嘘をついている)こともあり

    中々事件の真相に辿り着くことが出来ません。

    しかし、仮谷が二年の年月をかけて取材したことにより、少しずつ問題の本質に迫っていきます。

    その時の登場人物たちの心境はどのようなものがあったのか。
    そして今はどのように変化してきたのか。


    ―

    分かるからこそ、どうしたらいいのか分からなかった。
    ーーじゃあ、私は誰を憎めばいいんですか。
    贖罪とはなんなのか。
    目標があれば人間は生きられる。
    あなたに謝るつもりはありませんけど、あなたが私を恨むのは自由です。

    本作品では、一つ一つの言葉が、言葉を発した人の心からの声であり、その立場を自分に置き換えることにより深く考えさせられます。

    復讐と贖罪、ではなく、贖罪と復讐という並びもしっくりきましたし、
    (上手く表現出来る日本語が見つからないので、言葉は悪いですが)
    大変面白い作品でした。

    ある日突然、自分自身が体験せざるを得なくなる日常になる可能性がある一冊。

    是非ご一読ください。


    ー

    ※最後に一つだけ、多くの方に知って欲しい描写を抜き出します。

    「兄は周りを見くだしてばかりで、反省も成長もしてないんですよ。たまに思うんです。結局、兄が母を死なせたのは、自分のストーリーを完成させるためだったんだろうって」
    「天才ゆえに世間から受け入れられない僕、追い詰められた末に母親を死なせてしまう。少年院に行くことになり、さらに社会に馴染めなくなる。重い十字架を背負った僕、みたいな?僕、僕、僕。全部僕なんですよ。僕のためのストーリー」

    P66

    以前から記述していますように、私は以前学習塾の塾長をしていましたし、今も定期的にお手伝いをしております。

    その際、このような考え方が見え隠れする生徒が数名いました。

    何の生産性も無く、前に進むこともないこの考え方は、間違いなく悪い結果につながります。

    もし、この言葉に思い当たることがある方は、少しでも良いので自分自身を見直して欲しいです。

    以前レビューしました暁星もそうでしたが、

    こちらも多くの方に読んで頂きたい作品です。

    両作品とも、ハードカバーで購入すると、特徴的な仕掛けが見つけられるところも良いです。


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