
締め後に届いた請求書はどうする?ひとり社長の月次決算を止めない3つのルール
「請求書がまだ全部そろっていないので、今月の数字は確定できません」
月次決算が遅れる理由として、よく聞く言葉です。
たしかに、締めた後から請求書が届けば、数字を直したくなります。すべての請求書を待てば、より正確な数字になるようにも思えます。
しかし、請求書が全部そろうまで待っていたら、月次決算はいつまでも終わりません。
必要なのは「完璧な数字ができるまで待つこと」ではなく、いつ数字を確定し、間に合わないものをどう扱うかというルールです。
まず「確定日」を決める
最初に決めたいのは、毎月の数字を動かさなくする日です。
たとえば、「翌月10日までに入力し、15日に月次を確定する」と決めます。確定後は、原則としてその月の数字を戻して修正しません。
締め日は、請求書の受付をいったん区切る日です。一方、確定日は、その月の数字を経営判断に使える状態にする日です。
この2つを分けると、月次決算を回しやすくなります。
ルール1 毎月遅れる費用は見積もって計上する
請求書が届いていなくても、すでにサービスを受けており、金額を合理的に見積もれる費用はあります。
たとえば、次のようなものです。
外注費
システム利用料
水道光熱費
運賃や倉庫料
本社や関係会社からの請求
前月実績、契約金額、利用量などを基に概算額を計上し、請求書が届いた翌月に実額との差額を調整します。
大切なのは、毎月ゼロから悩まないことです。「この取引先の請求は1か月遅れる」「この費用は契約額で見積もれる」と一覧にしておけば、締め作業はかなり安定します。
ルール2 締め後の処理方法を統一する
請求書が締め後に届いたとき、担当者や月によって処理が変わると、数字を比較しにくくなります。
あらかじめ、次の順番で判断するルールを決めておくと迷いにくくなります。

この図は、左から順番に見ていきます。
まず、サービス提供や納品が当月中に完了しているかを確認します。当月分でなければ、原則として翌月分として処理します。
当月分であれば、次に金額を合理的に見積もれるかを確認します。前月実績や契約金額などから見積もれるものは当月に概算計上し、請求書が届いた翌月に実額との差額を調整します。
見積もりが難しい場合は、その金額が月次の経営判断に与える影響を確認します。影響が大きければ個別に当月反映を検討し、影響が小さければ社内ルールに沿って翌月処理を検討します。
判断のポイントは、請求書が届いた日だけで処理を決めないことです。
月次決算では、すべてを1円単位で合わせることより、重要な数字を一定のルールで早く把握することが大切です。
ただし、年度決算や税務申告まで機械的に翌月・翌期へ回してよいという意味ではありません。特に決算期末は、金額の重要性や取引内容に応じて、税理士や会計士への確認が必要です。
ルール3 遅れる原因を記録する
初回から完璧な締めルールを作る必要はありません。
まず一度締めてみて、その後に届いた請求書を記録します。
どの取引先から届いたか
何日遅れたか
金額はいくらか
毎月発生するものか
事前に見積もれるものか
2〜3か月続けると、「いつも遅れる請求書」と「たまたま遅れた請求書」が分かれてきます。
前者は概算計上の対象にする。後者は金額や重要性に応じて処理する。こうして、実際の運用を見ながらルールを改善していけば十分です。
月次決算の目的は、経営判断を早くすること
月次決算は、数字を永久に確定させる作業ではありません。
売上は伸びているか。利益は残っているか。現金は足りるか。今の状態を早く把握し、次の行動を決めるためのものです。
請求書1枚を待つために数字の確認が1か月遅れるなら、その月次決算は経営判断に間に合っていません。
まずは仮でも確定日を置く。間に合わないものは見積もる。締め後の処理を統一する。そして、実際に発生したズレを見ながらルールを直す。
月次決算を早くする第一歩は、作業を急ぐことではなく、どこで区切るかを決めることです。
「あとから届いた」を忘れない仕組みにする
請求書があとから届くこと自体は、完全にはなくせません。
だから大切なのは、
「届いていないものを覚えておく」ではなく、「未処理として残しておく」こと。
そのために、未処理一覧・月次チェック・取引入力などをまとめたGoogleスプレッドシートを作りました。
「ひとり社長の経理整理キット」
月末に「何が終わっていて、何が残っている?」と探し回る時間を減らすためのキットです。
▶︎ ひとり社長の経理整理キットを見る(¥1,980)
https://note.com/right_swift262/n/n195585b5339f
領収書や取引データを整理し、freee・マネーフォワード・弥生へつなげるまでの作業を、できるだけ説明書なしで進められる形を目指しています。完成後、このnoteでご案内します。
はじめての方へ|記事のご案内
このnoteでは、ひとり社長の経理・月次決算や、中国子会社の会計・税務について発信しています。
「ほかにどんな記事があるの?」と思った方は、こちらからテーマ別の記事を探せます。
※本記事は一般的な月次管理の考え方を説明したものです。年度決算や税務申告における個別の処理は、取引内容や重要性に応じて専門家へご確認ください。