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ほっぺた【シロクマ文芸部|お題「小さな手」】

    「小さな手だな。」

    彼女の手を自分の手に重ねながら、
    僕がそう言うと、彼女は頬を膨らませた。
    僕は、彼女のこの表情が好きだ。

    「どうせ子供用の手袋しか合わないもん。」

    手のことはコンプレックスらしい。

    彼女は僕の手を振り解くと、バッグから小さな手袋を取り出してはめてみせた。

    その手袋は僕が何年か前にプレゼントしたものだ。

    彼女は両手を僕の前にかざすと、
    満足げに、手袋をじっと見つめていた。

    突然、彼女がこちらを見ながらニヤニヤしだした。

    「小さな手でも捕まえられるよ。」

    彼女はその手の中に僕の顔が収まるように後ずさりした。

    「ほらね。」

    彼女の息が白く見えた。

    僕はさらに後ずさって手をかざした。
    彼女の全身がすっぽり僕の手の中に収まった。

    「ズルい!」

    彼女が走り寄って僕の顔をつかんだ。
    僕の顔は、小さな手からはみ出していた。

    「つかめた!」

    「そうかな。」

    すると彼女はまた頬を膨らませた。

    僕の手の内はまだバレていないようだ。


    小牧さん、いつもお題をありがとうございます。


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    #シロクマ文芸部 #小さな手 #ショートショート #恋愛小説 #小説 #創作

     
     
    短編小説やショートショートが好きで書いています。 身近な物や風景を介して、人の感情を感じてもらえたら嬉しいです。 普段は製造業で装置開発をしています。 装置屋の視点が時々紛れ込んだり、込まなかったりします。笑

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