
エルダーフラワー&ローズコーディアル モノとルキ#36
夏至の日には、七時になっても沈まない夕日を見ながら
ビールを飲むのが、何年も続いている習慣。
これは僕にとっての夏至祭。
北欧では夏至祭に向けて、フラーデルサフトを仕込む。
エルダーフラワーで作ったシロップのこと。
それを使ってパンチ(カクテル)を楽しんだり、
エルダーフラワーの香るヌッベ(蒸留酒)を傾けたりと、
エルダーフラワーとの関係性はとても深い。
コーディアルという飲み物を最初に知ったのは、
ハーブ専門店の陳列棚の前だった。
オーガニックとかマクロビとか、
そういうものに自然と目が向いていた時期のことだ。
小洒落た瓶に入ったそれを、
僕は「飲むサプリ」みたいなものだと思っていた。
値段はそれなりにしたけれど、試飲で口に含んだ瞬間、
その値段の意味はわかった気がした。
後から知ったのだけれど、コーディアルというのは
ハーブや果実をシロップに漬け込んだ英国発祥の飲み物で、
千年以上飲み継がれてきた歴史がある。
あのボトルの中に、そんなに長い時間が詰まっていたとは。
エルダーフラワーを摘んでシロップを仕込む、
そこまで本格的なことはしないけれど、ある時気づいた。
市販のコーディアルをビールに小さじ一杯加えるだけで、
あの花の香りが静かに広がることを。
オレンジ色のビアグラスに夕日を重ね、
ニワトコの木に宿る精霊エルダーマザーと、
太陽の恵みに感謝を込めて。
