
KENTのコーム モノとルキ#57
僕は髪質にはそれなりに恵まれている方だと思う。
洗いざらしでも、ボサボサにならずにまとまる。
そのせいで、長い間コームのことは考えたことがなかった。
休み時間の度にトイレで前髪を直したりしていたら、
同級生に「そんなの気にしてんのかよ」
と思われるのも嫌だから、洗った手の指先を
クシにして、歩きながら整える程度だった。
スタンド・バイ・ミーの線路を歩く有名なシーンがある。
ジェリー・オコンネルがポロシャツの胸ポケットから、
コームを出してどやった瞬間、リバー・フェニックスが
"What's that for?"(何に使うの?)と突っ込みを入れる。
テレビ映えの為と反撃するが、ふーんという反応。
気にする人は気にする、気にしない人は気にしない。
僕は気にするけど、気にしてることを、人に知られるのを
気にするという、非常に面倒くさいタイプだ。
その僕が近年、KENTのコームを買った。
1777年創業、イギリス王室御用達。
今でも職人が手作業で作っている。
手に入れた時に髪に一度通しただけで
その良さはわかった。ツヤと品格が加わったように感じた。
そして、デイリー用、ヒゲ用、携帯用と3本も揃えてしまった。
ギターで言えば、ストラト、レスポール、テレキャスの
役割が違うように、僕にはこの3本が必要だった。
"What's that for?"
その答えが出るまで、ずいぶんかかった。
